サラは昔話を始めました。ゲイザーが騎士団を解雇にされた、あの夜の事です。
「安定した収入のない傭兵では、家を買ってもローンを支払えない可能性が高いです。この前サラと一緒に下見した物件は先程、契約破棄してきました」
「どうして勝手に決めてしまうんです?私が働いてなんとかします!」
「女性に夜の店で働かせて、貢がせるような事だけはしたくないのです。わかってください」
「夜の店じゃなくても仕事なんていくらでもあります」
「サラなら賢いので何でも出来るでしょう。でも良い仕事をするには学歴や資格が必要になるんです。今から学歴や資格を取得するにしても金がかかる」
「お金がなくてもあなたさえいれば、私は何だってします!バニーガールの仕事なんて国王の世話と比べたら屁でもありませんよ」
「私は仲間と酒場へよく行くのですが、ナンバーワンになるような女性は、頭のキレる人が多いです。貧しい家に生まれなければ、あっという間に出世してしまいそうな…」
「その女性にゲイザー様は貢いでおられたのですか?」
「いえ、私は金払いが良くないので、バニーガールには嫌われてますよ?ナンバーワンの女性とは店の外で会ったんです」
「向こうから声をかけてきたんですか?」
「ええ、そうです。店で見るのと雰囲気が違っていましたので、私にはわかりませんでした」
「それって…ゲイザー様に気があったんじゃないですか!」
「いえ、軽く世間話をして別れました。ただその時にこんな賢い女性が、あんな店で働かなくてはならないのは不幸だなと思いました」
「そのお店で働いてたら不幸かどうかなんて、あなたにはわからないでしょう?本番なしのお店もあります。勝手に決めないでください!」
「私は自分の妻が他の客に言い寄られているところなど見たくないのです」
「だったら見に来なければ良いんですよ?私はそんな男、相手にしませんから!私が信用できないんですか?」
「見に行かなくても、想像してしまうのです。私は想像力が逞しいので、サラがバニーガールになって、客に尻を撫でられているところが、ありありと目に浮かんできます」
「お金がないのを理由にフラれる女の気持ちがわかりますか?それなら最後に一つだけお願いを聞いてください。聞いてくれたら別れます」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第104話。