アークは仕事をサボってナタとデートする事にしました。ナタも学校をサボっています。
「この服、十年前におじさんに買ってもらったやつなんだ。一番のお気に入りなの。やっとサイズが合うようになったから、今なら魔法で変身しなくても着られる」
「よく似合ってる…。ゲイザーの好みは清楚系のようだな」
「おじさんの事、思い出すからずっと仕舞ったままにしてたの」
「ゲイザーの墓にもナタは一度も花を供えに行っていないんだろう?」
「お葬式の後に一回だけ行ったけど、おじさんのお墓の前に行くと、涙が出てくるから行かない」
「花を供えるのだけが愛情ではないのか…。人間の感情をまだ完全には理解できていなかったようだ」
ブティックに連れて行きましたが、ナタは気乗りしない表情で楽しんでいないようです。
「結局、何も買わなかったな…」
「別に欲しいと思わないの」
「その服は気に入っているんだろ?ナタは清楚系の服が好みなのか…」
「ううん、おじさんが初めて買ってくれた服だからだよ。あのドケチなおじさんが買ってくれたのなんて、後にも先にもこれっきりだもん」
「金を出し渋る男は女性に嫌われると習ったのだが…。ミカエルの授業はアテにならんな!」
「しかもおじさん、ちょっと太ったな?とか失礼な事言ってくるし…」
「余計な一言を言うと女性に嫌われると習ったよ?おかしい…。ミカエルの言う通りにしていたから、ナタに嫌われてしまったのか?」
「ミカエルって人はなんでそんなことばかりアークに教えてるのよ?」
「人間の心理学の授業だった。女性を口説く際には役に立っていたのだが、ナタやフラウには通用しなくて悩んでいたんだ…」
「おばさまの買ってる雑誌にも恋愛必勝法とか載ってるけど、こんな男は嫌われる!って特集におじさんみたいな人の事が書いてあったよ」
「そう言う雑誌には興味がなくて読んだ事もなかったが、僕も目を通すべきだろうか?女心を理解したい」
「読む必要ないと思う。アークは別に何もしなくてもモテるし、おじさんみたいな人が好きって言う人だっているもん。例えば話が小難しくて長いと嫌われるって書いてあっても、私はむしろ小難しい話の方が聞いてて楽しいから平気だったし…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第101話。