真剣な眼差しのアークから目を逸らすように、ナタは顔を背けました。
「ダメだよ?アーク。もう余計な事しないで。あの子たちの事はほっといて!」
「十代のうちからいかがわしい職に付くなんて危険過ぎる」
「あの子たち、蓄音機でアークの歌が入ってるレコード聴く為にバイトしてるんだよ…」
「レコード?あれが売れると一枚につき一割のマージンが手に入るが、レコードは買わないファンが多いし、勝手に録音した模倣品も出回ってるからな」
「アークの気を惹きたくて、お化粧やお洒落にもお金使ってるっぽい。私なんて化粧してないし、服もずっとこんな地味なやつ着てるし…」
「ナタはそのままで良いんだ。服が欲しければ買ってあげるよ」
「私はもう何もいらないよ…。アークと暮らしてるだけで、めちゃくちゃ羨ましがられてるから」
「ナタは欲がないんだね。僕は欲にまみれた女は嫌いだよ」
「この前、酒場でアークと喧嘩したじゃない?あれゴシップ雑誌に載っちゃってて、それ読んであの子たち大喜びしてたわ…」
「まさかあれが記事にされていたとは…」
「しかも同じ雑誌の特集記事で、付き合うと不幸になる職業とかやってて、私が愛されてなくて不幸になってるみたいな噂流されちゃって」
「事実無根の噂を流さないで欲しいものだな」
「でもみんなそれで楽しそうだったから、これで良いかなって思ったの。私の悪口言ってる時が一番幸せみたいだから…」
「そんな人の不幸で幸せになるような女は最低だよ?」
「だからお願い…。サニーちゃんが来てる時は私と仲が悪いフリして」
「なぜそんな事をしなければならないんだ…」
「私がアークとラブラブしてたら、サニーちゃん傷つくでしょ?アークとは仲悪く見える方が良いんだよ」
「そんなのは絶対に間違ってる!僕がナタを愛してはいけないのか?おかしいよ…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第100話。