ナタは真っ直ぐアークの瞳を見つめながら言いました。
「アークの言霊がこの前、聞こえて来たの。いつものアークじゃないみたいに本気で怒ってて怖かった…」
「言霊の飛ばし方は主人に伝えたいと強く願うか、理性が吹っ飛んでコントロールできなくなった場合のみですね。オズワルド様に私の思考を読み取られてしまわないように、頭の中では常にオズワルド様に解読不能な天界の言語に変換して思考していましたので…」
「おじさんも普段は暗号みたいに意味不明な…超音波みたいな言霊なの。超音波の爆音が酷くなるとピンチになってる。エッチな事してる時だけ単純な言霊になるから、ハッキリ聞き取れてたわ」
「なるほど…。ゲイザー様もフラウ様の前では理性が吹き飛んでしまっているのでしょうね」
「ところでアークはなんでオズワルドの事を、今でも様付けで呼んでるの?嫌いだったんでしょ」
「条件反射でしょうか?オズワルド様に生意気な口をきくと、拷問を受けていたので今でも様付けにしてしまいます」
「それと私を様付けにしてるのは同じなの?」
「ナターシャ様は拷問などしませんので、恐怖による支配ではなく、敬意を表して様付けにしていました」
「恋人同士なら呼び捨てにするものよ?」
「そのようですね。これからは二人っきりの時だけ呼び捨てにしましょうか?」
「うん、呼んでみて?」
「ナタ…、愛してるよ」
「なんか別人みたい…」
「むしろ普段の僕の方がミカエルの作ったニセモノなんだけどね。こっちが本当の僕だよ?」
「ミカエルって誰の事よ?」
「天界のトップにいるセラフィムの事さ?今も僕らの事を下級天使に監視させてるんだ」
「そうなんだ。アークがおじさんに似てるから好きになったけど、たまに違うなぁと思ってたの」
「本当の僕はゲイザーとは正反対の性格だったんだ。ただこの性格にカスタマイズした理由は僕の望み通りにミカエルが変えたのだろう…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第84話。