休日にアークは新居にする予定の集合住宅の一室にナタを連れて来ました。
「この部屋にアークと二人っきりで住むの?」
「良い部屋でしょう?窓は南向きですし、景色も良いです」
「うん!なんかここで暮らせるのが楽しみー」
「ゲイザー様の邸は居心地が悪かったのでしょうか?」
「うーん、おじさんがいた頃は楽しかったんだけど、おじさんがいなくなってから、なんか家の中が暗くなっちゃって、息が詰まるの」
「余程、ゲイザー様の存在が大きかったのですね」
「おばさまには悪いけど、あの家にはもういたくないよ…」
「そうですか、それでは今日契約してしまって構いませんか?」
「明日からすぐ、ここに住めるの?」
「明日からが良ければそうしますが、フラウ様が許可しないかもしれませんね」
「おじさんと養子縁組してたから、おばさまは私の養母になってるけど、お師匠様が婚姻届にはサインしてくれてたし、お師匠様に頼めば保証人になってくれるよ」
「そうですね。保証人がいないと結婚も物件の契約も出来ませんから…。私の方は保証人のサインはフォン様に頼んでおきます。婚姻届もフォン様にサインしていただきましたので」
「大人って色々と契約が面倒なのね」
「紙切れ一枚の事なんですけどね…」
アークが契約書を持ってアラヴェスタ城の謁見の間に来ると、フォンがため息をついていました。
「ため息などつかれてどうなされましたか?フォン様」
「うむ、少し…悩みがあってな」
「私で良ければフォン様の悩みをお聞きいたしますよ」
「サラと言う女がメイドにいるのだが…」
「あの黒髪の美人ですか?フォン様はお目が高いですね。サラは清らかなオーラを持っています」
「あの女の本音が知りたい」
「本音と言いますと?」
「恋煩いと言う奴か?なぜかあの女の事が気になって仕方ないのだ…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第47話。