テオドールは斬首台の前で斧を渡されました。ゲイザーは斬首台に首と手を拘束されて、身動きが取れません。ロープを切ればギロチンが落ちる仕組みになっています。
「どうした?早くやれ」
「まだ殺すには…時期尚早かと」
「殺せないと言うなら、お前を売国奴の逆賊として、ゲイザーの代わりに首をはねるだけだ」
「ゲイザー、許してくれ!頼むから化けて出ないでくれよ…?」
テオドールはプルプル震える手でロープに斧を振り下ろしました。アークはそれをただ黙ったままじっと見ています。
「首は城の前に晒しておけ。母親の隣でな?」
ロレインは涙をボロボロこぼしながら、変わり果てた息子の姿を見ないように目を逸らしていました。
「ふぅ…今日の酒は一段と美味い!」
「天使様、また来てくださって嬉しいです…」
「お前を指名したのは私だぞ?私に酒を注げ」
ギルバートに連れられてまたあの酒場に来ていました。ギルバートはナンバーワンのバニーガールを指名しています。
「わざわざゲイザーの親友のテオドール様に首をはねさせたのはなぜですか?ギルバート様」
「その方が最高のショーになるだろう?あの時のゲイザーの母親の顔を見たか。苦痛に歪んで見ていて愉快だったよ」
「テオドール様も言っておられたように、フラウを呼び寄せる罠に使えば良かったのでは?」
「そんな危ない橋は渡れない。テオドールと手を組んで奴を逃す可能性もあったからな」
「確かに…。テオドール様は騎士団を裏切ろうとしていたように思えます」
「天使様。私、あの日の夜の事が忘れられなくて…。会いたくて会いたくて震えながら待っていたんです」
「お前…まさかこの女と宿屋に行ったのか?」
「ええ、店が終わったら会う約束をしていたので、軽くお相手をさせていただきました」
「この店の女はみんな本番は禁止だと言ってなかったか?」
「ええ、本番はしていませんよ」
「本番が出来ない店なんてつまらんな。女の質は良いから通っているが…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第11話。