ギルバートは更に近所の花屋に向かいました。テオドールが花屋の娘と楽しげに世間話をしています。テオドールがいなくなると花屋の娘に話しかけました。
「お前にスパイ容疑がかかっている」
「えっ、私がスパイ?何かの間違いでしょう」
「あのテオドールと言う男はアラヴェスタ王国騎士団の副指揮官なのだが知っていたかね?」
「いいえ、普通の傭兵さんだと思ってました。そんな地位の高いお方だったなんて、思いもしなくて、ビックリしてます」
「嘘をつくな!テオドールが給料の大半をお前につぎ込んでいると密告があった。ベッドで王国の機密情報を聞き出してたんだろう?敵国の女スパイめ」
「そんな!テオとは健全なお付き合いをしていただけです」
「任意同行をお願い出来ますかな?」
「なぜ私が連れて行かれなけらばならないのですか?何も悪い事はしてないのに…」
ギルバートに無理やり腕を掴まれて花屋の娘は連れて行かれます。その頃アークはゲイザー邸の前にいました。ジョルジュがけたたましく吠えています。
「どうしたんだ?ジョルジュ…」
ゲイザーが裏庭の方に顔を出しました。アークはゲイザーに口頭で伝言を伝えます。
「母上がギルバートに囚われただって?私の読みが甘かった…。母上に危険が及ぶのを計算していなかった!」
「天使様は私たちの敵なの?味方なの?」
「どちらでもありません。私はオズワルド様の使い魔なので…」
「あなたがオズワルドの使い魔ならば、なぜマルヴェールに直接攻めて来ないで、母上を捕らえたりしたんです?こんな回りくどいやり方をする必要性がない…。完全に盲点でした」
「おそらく私がなかなか口を割らなかったからでしょう。獣人の国の場所をオズワルド様には絶対に教えたくなかったんです」
「なぜ教えたくなかったのですか?あなたはオズワルドの使い魔なのでしょう」
「私はオズワルド様に好きで支えているわけではないのです…」
「やっぱりこの天使様、悪い人じゃないよー?邪悪な波動も出てないし…」
「ナターシャがそう言うならば信じても良さそうだな」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第7話。