これはゲイザーが死んでしまう少し前の世界のお話。オズワルドとギルバートが生き残った過去の出来事です。オズワルド邸にギルバートが来ていました。アークもオズワルドの使い魔のままでこき使われています。
「アークよ?獣人の国はまだ見つからんのか」
「この付近にはそれらしきものは見当たらないですね。そもそも強制帰還魔法のせいで遠くまで見に行けませんし…」
「強制帰還魔法を解除したら、どうせどこかへ逃げ果せるつもりだろう?お前を闇市で二億も出して買ったんだぞ!他のアークエンジェルの五倍の値段だったのに役立たずめ…」
「オズワルド、この天使には他に使い道があると思うぞ?」
「他の使い道?こいつはすぐにわしに逆らおうとするから呪いを何重にもかけて従わせていると言うのに…。まあわしの使い魔の中では一番戦闘力は高いのだがな」
「戦闘力云々より、この顔ならば女をたらし込むのはお手のものだろう?」
「そんなもの…、何の役に立つと言うのだ?」
「うーん、確かに私が本気で口説いて堕とせなかった事はほとんどないですね」
「実はお前に口説き落として欲しい女がいるんだよ?」
「そうですか。とりあえずやってみましょう」
アークはギルバートに連れられてスラム街にやって来ました。身なりの良い者が現れたので、物乞いが集ってきます。ギルバートは物乞いを足蹴にしました。
「ええい!うっとおしい奴らだ」
「こんなところにいる貧しい女を堕とすのですか?わざわざ口説かなくても金品を与えれば言いなりになりそうですが…」
「ここに毎週決まった時間に現れるシスターがいるんだが、そのシスターを堕として欲しい」
「シスター?神に仕える身なので、男性と二人きりで話すのも禁じられていますね」
「ああ、かなりのカタブツだとかで、騎士団でもあのシスターは堕とせないと有名なんだよ」
「ふむ、思ったより手こずりそうですね」
「しかしお前ほどの手練れなら、なぜビーストテイマーに囚われているんだ?何度かオズワルドがお前を召喚して戦わせているのを見たが、騎士団員が束になってもお前にはかないそうもない…」
「元々、勇者の仲間としてカードに封印されていたのですが…。大方、金に困って私を売り飛ばしたのでしょうね。気が付いたらオズワルド様の手に渡っていました。カードの中にいる間は外の事はわかりませんので…」
…つづく
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本編のパラレルワールドをシナリオにしてみました。ストーリー第1話。