フラウは少し冷静になってきました。
「私も浮気なんて考えた事もないです。でもゲイザー様は他の女性にも優しいから不安で…」
「人間の思考は自分にない考えは理解出来ないものです。その思考に至れるのは、その人が常にその思考に囚われている事になります」
「ごめんなさい…。私、子供が出来なくてイライラしていて、本当に浮気を疑ってたわけじゃないんです」
「子供が出来ない辛さは男の私には理解する事は永遠に出来ませんが、理解したいと思って話を聞いて努力する事は出来ます」
「ゲイザー様…、こんなに愛しているのに、どうして私にはゲイザー様の子供が出来ないのでしょうか?」
「子供は天の授かりものだと言います。もっとラクな気持ちでいれば、その内ひょっこり出来るかもしれませんよ?」
その時、カーテンがまばゆく光り輝きました。ゲイザーは剣を構えずにカーテンをゆっくり開けます。
「やはりミカエル様でしたか…」
「勇者ゲイザー、天啓を告げに来ました」
「ミカエル様ほどの高い地位のお方が、なぜわざわざこんなところまで?」
「ルシファーを畏れて他の者が行きたがらないので…」
「私にはルシファーの復活をそこまで畏れる理由がわからないのですが…」
「フラウは席を外してもらえますか?勇者ゲイザーにだけ話があるのです」
「は、はい!すみません…」
フラウは寝室から慌てて出て行きました。
「あなたに真実を全てお話します。ルシファーの過去を…」
「やっと話していただけるのですね?アーク殿は話したがらなくて聞き出すのをやめたので、気になっていたのです」
「ルシファーの妻のリリスは自殺に見せかけて何者かの手によって殺されていたのです。私はリリスの死に疑問を抱いて、調査した結果、わかったことでしたが…」
「リリスさんが死んでしまったと言うのは、アーク殿から聞いていたのですが、まさか他殺だったとは…」
「はい。しかしそれがきっかけでルシファーは暴走を始めました。ですから私はナターシャを死なせてはいけないと天界を説得していたのです」
「なるほど…。ナターシャを殺せば手っ取り早くルシファーの復活を食い止められるのに、殺そうとしなかったのが不思議だったのですよ」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第130話です。