休日、ゲオルグがゲイザー邸を訪れました。なぜか玄関には行かずに裏庭に回ります。裏庭には鎖に繋がれたジョルジュが昼寝をしていました。
「おお、よしよし!ジョルジュ」
「グルルルルー」
ジョルジュは普通の犬より巨大な身体をゲオルグに覆い被さるようにしながら、大きな舌でゲオルグの顔をペロペロと舐めました。
「父上、またいらしていたんですか?随分とジョルジュがお気に入りのようですね」
「散歩に行ってやっておったんだ!こんなところにずっと繫れとったら可哀想だろが?」
「繋いでいないと近所から苦情が来るんです」
「だったら散歩くらいしてやれ!お前は誰からも相手にされない哀れな老いぼれの気持ちなどわからんだろ?」
「確かにそうですね。しかし私も色々と仕事が忙しくて…」
「それならジョルジュを、わしに譲ってくれんか?大事に可愛がるから…」
「ナターシャに聞いて見ないと…。私一人には決められません」
「そうか…。ナターシャはどこにいる?」
「ナターシャはアーク殿と一緒にピーターを連れて、アラヴェスタの街へ買い物に出かけております」
「ガウガウ」
ジョルジュが遠くを見る目をして、ゲイザーの方を見ます。
「ん?ジョルジュも世界樹に行きたいのか…」
「お前、もしかしてジョルジュの言葉がわかるのか?」
「なんとなくです。子供の頃は犬とも喋れたのですが、大人になるとわからなくなりました」
「ガウガウガウ」
「ふむ、ピーターは人間になったが、自分は普通の犬になりたい…と言っているようですね」
「ちゃんと犬語が翻訳できとるではないか!お前にそんな特技があったとは…」
「なぜかわかりました…。頭の中にジョルジュの感情が流れ込んで来たんです」
「わしのことはなんと言っておる?」
「えっ、父上のことですか…?」
「ガウガウ、グルルルルー」
ゲイザーは犬語をそのまま翻訳するべきか迷って、わざと嘘の翻訳をしました。
「父上の家の番犬になりたいそうです…」
「おお、そうか!ジョルジュだけだ。わしの味方は…」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第111話です。