ゲイザーがミカエルの部屋に戻ってくると、ナタが泣き喚いていて、アークがナタを抱き締めて頭をなでながら、慰めているところでした。
「アーク…ぐすっ…。どこにも行かないで…ううっ…。ずっと側にいて…ひっく!」
「私はどこにも行きませんよ?ずっとお側でナターシャ様をお守りしますから…」
「これは一体、どういう事ですか?ナターシャを泣かせるなんて…。説明してくれますか?アーク殿」
「すみません…。あとで説明しますので」
ユリアーノの塔に戻って、ナタが寝静まってから、アークはゲイザーとフラウの寝室を訪ねました。ゲイザーだけを呼び出します。
「何があったのか話してもらえますか?」
「過去の記憶が全て戻りました」
「ミカエル様からアーク殿の過去の話は大体、聞いております」
「妖精界の場所も金のリンゴの樹であるであろうと思われる樹も大体、どこにあるかわかります」
「それは心強いですね。さっそく明日採りに行きましょう」
「ただ私は金のリンゴを食べるべきではないと思っています。私は人間になってはいけない」
「なぜ気が変わったのですか?」
「ナターシャ様とは別れる事にしたからです」
「それでナターシャが泣いていたのか…」
「はい、でも私は今後もナターシャ様の護衛として死ぬまで支えるつもりでいます」
「いくらアーク殿とは言え、ナターシャを悲しませるようなら側に置いておく事は出来なくなるかもしれませんよ?」
「また昔話をしましょうか…。私がナターシャ様の前世であるリリスに出会った頃の話を…」
「アカデミーにいた頃の話ですか?」
「いえ、それは大体二、三百年前の話なので、つい最近の事ですよ?」
「二、三百年前がつい最近ですか…」
「これから話すのは大体二千年ほど前の話になります」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第33話です。