ルシフェルはドアを乱暴に開けるとミカエルの執務室から出て行きました。
「ルシフェル!お、お待ちなさい。私の話はまだ済んでいませんよ?」
「ミカエル様…。ルシフェル様は一体、私の何を怒っていらっしゃるのでしょうか?私はリリスを大事にしていたつもりです」
「あなたは知らない方が良い事です」
ルシフェルは自室で荷物をまとめていました。ミカエルが開けっ放しのドアをコンコンとノックします。ルシフェルは振り返りもせずに答えました。
「僕はここを出て行く。二度と帰らない」
「あなたは今、天界のトップなのです。あなたがいなくなると、天界がどうなるかわからないのですか?」
「天界のトップは神だろう?僕には天界がどうなろうが知ったこっちゃないね」
「はぁ…、困りましたね。リリスの件は私も反対したのですよ。リリスを地獄に追放すれば、こうなる事はわかっていました」
「なぜリリスの追放を止められなかった!しかも足を切り落とすなんて、僕から見たら神の方が極悪非道な悪魔に見えるよ?」
「足を切り落とした…ですって?それは私も知りませんでした。申し訳ありません」
「ル、ルシフェル様…!リリスは足を切り落とされてしまったのですか?」
アダムが顔面蒼白になってミカエルの後ろから顔を出しました。
「そうだ。リリスはもう一人では生きていけない」
「なぜそんなことに…」
「お前が男として情けないからだ!リリスはお前と子を作るように神から性欲を与えられている。それなのにお前はリリスを満足させる事が出来なかった…」
「私にも性欲は与えられていますが、それでも私はリリスを幸せにしようと思って…、耐え難い欲求に耐えていたのです」
「僕には性欲は与えられていないが、リリスの幸せそうな顔を見る為ならば、なんだってしたさ?お前がリリスを拒み続けていた事で、どれだけ彼女を傷付けていたのか、気付いていないのか!」
「私の愛し方が間違っていたのでしょうか…」
「お前にはリリスを幸せに出来ない。僕が彼女を妻にして幸せにするよ」
「先程もらった一発で目が覚めました…。新しい妻の事はリリスに出来なかった分も愛してあげようと思います。リリスの事を幸せにしてやってください…。ルシフェル様」
「お前に頼まれなくとも、そのつもりだよ?」
…つづく
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書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第32話です。