ゲイザーがミカエルに連れ出されて、ナタとアークが二人っきりになってから、別れ話を切り出しました。
「おじさん。私の事、また子供扱いしてる…。レッドドラゴンのお爺ちゃんだって仲間になってくれたのに、ミカエル様はなんで仲間にしちゃダメなのよ?」
「ナターシャ様…。私はもうナターシャ様とはお付き合いできなくなりました」
「どうして急に…。私の事、嫌いになっちゃったの?私がワガママな子供だから?」
「いえ、私の気持ちは変わっておりません。ただ、私はナターシャ様に悪影響を与えてしまう存在のようです」
「嘘よ!本当は私が嫌いなのよ?みんな私の事怖がって嫌いになってしまうの」
「それは絶対にあり得ません。私はナターシャ様を怖いと思った事など一度もないからです」
「みんなそうだった…。おじさん以外はみんな私を怖がって逃げて行ったわ!」
「私は逃げも隠れもしません。これからもお側に支えさせてください」
「私、一歳の時の記憶もあるの。一歳でもう言葉を理解してたから大人たちはみんな怖がってたわ。昔、国を乗っ取った悪い魔女の生まれ変わりだって言われて…」
「その悪い魔女にも悪事を働いたのは何か理由があったのかもしれません」
「五歳の時にお師匠様に連れられて人間の子供がたくさんいるところへ連れて行かれて、そこでも私の事みんな怖がってたの」
「なぜナターシャ様の事を怖がるのか私にはわかりませんが…」
「だから私、一生懸命頭が悪いフリしたの!頭が良すぎると嫌われるってわかってたから…」
「私の前では頭の悪いフリなどしなくて大丈夫ですよ」
「本当はわかっててもわかんないフリしたり、他の人が間違えてて頭が悪いなって思っても本当のこと教えないで黙ってたの」
「それは多分、私も同じ事をしています。愚かな者には言うだけ無駄ですから…。説明するのも疲れてしまいました」
「どんなにわかりやすく説明してあげても理解しないし、私の事頭がおかしいって言われるのに教えたくなくなるよ」
「ゲイザー様は人間なのに、私よりも頭が良いと初めて思った相手でした」
「おじさんは本当にすごいの。私がちょっと説明しただけで、まだ説明してないことも理解してたわ」
「私にはゲイザー様が人間であると言う事が、信じられません。まるで神の領域だと思った事もあります」
「初恋だったのに、私がまだ子供だから好きになってもらえなくて、他の女に取られちゃって諦めて彼氏を作ろうとしたけど、みんなフラれちゃって、私の事本当に好きになってくれる人なんて、どこ探しても誰もいないのよ!」
「ナターシャ様、泣かないでください…。ううっ…、頭が痛い!何だ、このデジャヴは…?」
ナタが泣き出したのでアークは何かを思い出していました。
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
書き残してしまったことを書きたくて考えた本編の続き第27話です。