No.969444

スマブラ Abandon World 38「戦闘! ウルフ」

Nobuさん

闇堕ちウルフ・オドネル戦。
スマブラSPで、またスターフォックス組が競演できてよかったですね……。

2018-10-06 13:57:13 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:828   閲覧ユーザー数:828

「ウルフ、目を覚ませ!」

「俺はとっくに、闇の力に目覚めている」

 フォックスがウルフを蹴って転ばせた後、ファルコがブラスターでウルフを撃つ。

 ウルフはクローブラスターを構えてフォックスを撃った。

「これくらい、かすり傷……!?」

 フォックスは、かすり傷だと思って自分の腕を見てみると、腕の一部が石になっていた。

「なっ……!?」

「フォックス! どうした!?」

「腕が、石に……!」

 心配するファルコをよそにウルフは口角を上げる。

「これがハオスから授かった闇の力だ。このブラスターに当たると、石になる」

「くそっ!」

「さあ、お前達も闇に呑まれるがいい!」

 ウルフがフォックスに飛びかかってきたが、フォックスはそれをかわして蹴りを叩き込む。

 ファルコは吹っ飛んだウルフに突っ込んで羽でウルフを切り裂いた。

「ぐぉ!」

「そこだ!」

 フォックスはブラスターを連射してウルフにダメージを与え、

 直後にファルコが炎を纏った体当たりをする。

「やるな……はぁぁぁぁぁっ!」

「ぐああ!」

 ウルフは闇の力を爪に纏わせてファルコを切り裂き、大きくのけぞらせる。

「ファルコ!」

「俺は大丈夫だ……それよりも、とっとと目を覚ましやがれウルフ!」

 ファルコはブラスターを連射してウルフを怯ませ、フォックスはウルフ目掛けて飛び蹴りを放つ。

 だが、ウルフは平気そうな顔をしている。

「くそっ、効いてないのか!?」

「いや、効いてはいるが痛みを感じないだろう」

 これも闇の力のせいか……とファルコが舌打ちすると、ウルフの紅い目が光り出した。

「まったく、骨のない奴だな……。本気を見せてやるよ……うおおおおおおおおお!!」

 ウルフが叫び出すと、彼を纏う闇の力が大きくなった。

「「ぐ……っ!」」

 ウルフの身体から凄まじい闇の波動が放たれ、地面も大きく揺れ出した。

 背から黒い翼が生え、目の色も赤黒く染まる。

 そして、地震が治まると、ウルフの姿は変わってしまっていた。

「ハハハハハハハハハ……!」

「くそ、早く止めなければ!」

 ファルコは飛び上がったウルフ目掛けてファイアバードで突っ込んでいくが、

 ウルフは旋回して攻撃をかわす。

 ウルフは上空からクローブラスターを連射し、フォックスとファルコを石にしようとする。

 フォックスとファルコはそれをかわしながらウルフに近付き、体術で攻撃する。

 だが、あまりにも攻撃が激しく、攻撃と回避のどちらかに専念しなければいけなくなった。

「ファルコ、ウルフの様子を見てみろ」

「何……?」

 ファルコがフォックスに言われてウルフの顔を見てみると、

 彼の右目はギラギラと紅く輝いており、開いた口からは鋭い牙が見えている。

 さらに、ウルフの両腕が丸太のように太くなっていき、爪も今以上に鋭くなっていった。

 ウルフの中にある闇の力が暴走し、彼を異形の姿へ変えてしまったのだ。

 ハオスの闇の力は、予想以上にウルフを侵食するのが速かったようだ。

「こりゃ、ウルフが完全に闇に支配されるのも時間の問題だな……

 とっととケリをつけねぇと大変な事になるぜ」

「ああ!」

 このままではウルフが完全に闇に染まってしまう。

 フォックスとファルコは遠距離からブラスターを連射してウルフに重傷を与えないようにする。

 一方のウルフは、ブラスターの弾幕を走りながら突っ込んでいく。

 最早ウルフは勢いに身を任せ、目の前の敵を殺そうとする事しか考えられなくなっていった。

「ウォォォォォォォォォォォ!!」

 ウルフはクローブラスターを連射していき、フォックスとファルコの身体を石に変えていく。

 徐々に石化していく腕を庇いながらフォックスはウルフに蹴りを叩き込む。

「ウルフ……元に、戻れ!」

 ファルコはウルフを何とか気絶させたい、と羽でウルフを切り裂く。

 切り裂かれた部分から出血したが、ウルフは闇の力でそこを治す。

「やめろ……ウルフ、もう、闇の力に頼るんじゃない……!」

「これ以上使ったら、お前は死んじまうんだぞ!」

「うるさい、黙れ! 貴様らを殺すのは、この俺様だ!!」

 フォックスとファルコの言葉に動揺するウルフだったが、彼の行動は変わらず、両腕を振り上げた。

 腕が振り下ろされれば、間違いなく二人は殺される。

 それを防ぐために、ウルフを止めるために、フォックスとファルコはブラスターを構え直す。

「すまない……ウルフ……!」

「もう、俺達にできる事は、これしかないんだ」

 ウルフの腕が勢いよく振り下ろされるよりも早く、二人のブラスターがウルフの胸を貫いた。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

「やった……か……?」

 時間にして、僅か10分。

 だが、フォックスとファルコ、そしてウルフには、5時間戦っていたような感覚が残っていた。

「ウ……アアァァ……」

 目の前で倒れている、元の姿に戻ったウルフの身体から、黒い煙が抜け出していく。

 同時に、煙が出た部分からウルフの身体が徐々に透けていっていた。

「もう……俺様は、長くは、ねぇ……」

「ウルフ! そんな事は言うな! 俺が何とかお前を助けてやる!」

 苦しんでいるウルフに対し、フォックスは必死で声をかける。

「……お前に助けられるのは、正直言って、似合わないな……お互い、敵同士なのに……よ……。

 それに……俺様は、助からない……」

 ウルフがだんだんと光の粒になっていく中で、彼は力を振り絞ってフォックスに話していた。

「何?」

「貴様らが俺様を倒した時には、既に俺様は完全に闇に染まっちまった……。

 闇は、俺様そのものとなった……」

「ウルフ……」

「だから、闇を取り払った時点で、俺様の命も消えるという事になる……」

 ウルフの身体はもう腰から下が消えてしまっていた。

 それでもウルフは喋る事をやめず、フォックスに話し続ける。

「ああ、それとフォックス……俺様が死んだ事は、早く皆に伝えておけよ……」

「どうしてだ?」

「これが、悪が最期に受ける報いだからだ……。悪は闇を手にし、そして闇と共に消える……」

「……ウルフ……」

「でも、せめてこういう風には伝えておけよ……?

 ウルフ・オドネルは……スターフォックスとたった一人で戦い……散っていった……と」

「……ああ……分かった……」

 ウルフの真剣な様子に、フォックスは頷いた。

「ふっ……最期に貴様らと真剣に戦う事ができて、本当に……よかった……ぜ……」

 そして、ウルフが最期に二人を見て口角を上げると、

 ウルフの頭は光の粒となり、この世界から完全に消滅した。

 何もなくなった場所を見て、フォックスの目から涙が零れる。

 

「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 この世界中に、フォックスの悲しい叫び声が響き渡った。


 
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