話を終える隠岐奈。
変陽は話に聞き入っていたが、すぐに我に帰る。
変陽「あぁ、どうしよう。空寝が死んでしまった。」
隠岐奈「お前が殺したのだろう?」
変「そうだよ。仕方なく殺した。でも、殺したくはなかった・・・。」
変陽は嘆き悲しみたいところだったが、そうしたところで空寝が生き返るはずもなし。
せめて、空寝の為に祈る事にした。
”その為に神社を建てるのだ。
そうなると、静玉の助けが必要になる。”
そう考えた変陽は早速動き始める。
そのやがて出来上がる神社の名前は”流仁神社”である。
ソラネは暇をしている。
何故なら、そこが天国だからだ。
ソラネは先の小戦争で負け、死亡した。
それも親友である変陽に殺されて、ここにいる。
妖怪とは本来、邪悪なもので満ち足りた生活には耐えられないのである。
ましも(今代の龍神様)から聞いた話だと、地底下にある矛盾地獄ではそういった妖怪に適した環境があるらしい。
本来、ソラネは空寝であり、悪行を犯し、犯させてきたため、地獄に堕ちるべきだが妖怪にとっては天国こそが地獄なのである。
その天国の主がましもであり、その養育を受けているというソラネの今の境遇があった。
そんな時、二匹の妖怪がソラネを訪ねてきた。
「こんにちは、私は栫 嬢カ(かこい じょうか)。嬢はお嬢様の嬢。カは力(ちから)にかけてカタカナの”か”ね。」
「こんばんは、私は新 抵カ(あたら ていか)。よろしくね。」
二人の挨拶が異なるのは、天国なりのジョークである。昼も夜もないので、こういったジョークが生まれたのである。
二人の妖怪少女は挨拶をすると、勝手にソラネの家に上がる。これはこの”安神郷”では常識である。
嬢カ「さて、私達が人間だった頃の話でもしようか?」
ソラネ「退屈しない話ならば、是非お願いしましょう。」
ソラネがこんな口調なのは、ましもと一緒だからこそ口調に影響を受けたのだ。
嬢「私が生まれたのは栫家。今も存続する家だけど、もうすぐ潰えないかな・・・?と思って見ているけど、まだまだ、潰えそうにないわね。
その家に普通の子として生まれたのね。」
抵カ「神の子なのにね。しかも、龍神様の一撃を耐えたアマツアタボシ様の・・・・。」
嬢「抵カ。黙ってね。話し始めたばかりなのに。」
嬢カはちょっと不機嫌な表情を浮かべた。
ソ「どういう事でしょうか?」
嬢「その・・・仕方ないわ。ばらすけど私、嬢カは神アマツアタボシ(幻想郷オリジナル)の子、抵カは神アマツミカボシの子なのね。」
ソ「ほう、それで・・・・?」
嬢「抵カ、話して。」
抵「それで、私が生まれたのが新家。同時期に生まれたのね。私達は当然、二人だけの秘密にしたよ。なんたって、普通の子だからね。」
嬢「でも、何故か迫害を受けたわ。・・・・・何百年も前の話だけどね。」
抵「遠回しな嫌がらせを受けたよ。まあ、我慢はしたよ。五十年くらいね。」
嬢「老いない私達の姿を見る人見る人、色んな顔をしたわ。恐怖やら侮蔑やら。どうせ迫害するのには変わりないのにね。」
抵「で、私達への扱いが妖怪なみのものになった時、私達はそれぞれの家を見捨てる事にしたわ。て言っても大した事はしてないけどね。」
嬢「妖怪になってやったわ。で、適当に適当な人間に滅ぼされて、ここにいるのね。」
ソ「人間より妖怪の方がましという事ですか?」
嬢「そうよ。」
嬢カは即答する。
よっぽど、人間が嫌いになったのだろう。
話をし終えて満足したのか、嬢カと抵カは勝手に家を出る。
嬢「じゃあね。」
ソ「それでは、また縁が有れば。」
抵「もう、ないと思うな。」
嬢カ・抵カの二人はそう言い残して去っていった。
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死んでしまったソラネは暇をしている。
龍神様の元では満ち足りた生活だけがあり、矛盾すらない。
そういった天国にソラネは住んでいる。
その天国の名前は”安神郷”。
今代の龍神様の支配する郷だ。