―シュン
「わわっとと!」
マリオ達が転移した先は、ラストホープだった。
ミュウツーは、テレポートを使って一瞬でラストホープに戻ったのだ。
「あら! 皆さん、無事だったのですね」
「ああ、この通り仲間は助けたぜ」
「プリンでしゅ~!」
「ピチューでちゅ~!」
プリンとピチューがとてとてとアスティマに駆け寄る。
「あらあら、こんな小さな生き物まで、飛ばしてしまいましたね」
「? アスティマはポケモンを知らないのか?」
「……あ、はい。申し訳ありませんが……」
「謝る必要はないぜ」
そう言ってピカチュウは笑みを浮かべる。
「……考えてみれば、私って結構自分勝手ですよね。勝手にあなた達を呼んで、世界を救えと頼んで……」
ふふっと微笑むアスティマ。
だが、彼女の微笑みはどこか憂いを秘めていた。
「世界を救う役割をあなた達に押し付けてしまった事は申し訳ないと思っています。
でも、私が生まれた世界を、滅ぼすわけにはいかないので……」
「あら、貴女のやってる事は別に間違ってはいないわよ?」
そんなアスティマのところにやって来たパルテナは彼女に優しく声をかけた。
「どうしてですか?」
「だって、そんな重いものを一人で抱えるよりも、みんなで持っていった方がいいでしょ?
荷物は軽い方がいいしね」
確かにパルテナの言う通り、「世界を救う」というアスティマの役割は非常に重い。
だから、パルテナはアスティマが抱えているものを少しでも軽くするために彼女に助言をしたのだ。
「まぁ、確かにパルテナさまの言う通り、こんなに重い荷物を私だけが抱えれば、
私が潰れてしまいますよね。……ありがとうございます、パルテナさま」
「うふふ、どういたしまして」
アスティマの表情が明るくなったのを見たパルテナは微笑んだ。
「それでアスティマ、次の仲間はどこにいるか分かるかしら?」
「ちょっと待ってください。精神を集中させます」
アスティマが杖を構えて目を閉じると、彼女の頭の中に声が聞こえてきた。
―なんだ、この敵は。
―あまり戦いに慣れていない私達では苦戦しますね。
―リュンヌ、私から離れないでくださいね。
―もちろんですよ、ソレイユ。
―でも、魔物はかなり多いですよ……?
―なら、オレとルキナが前に出る。
―あら、お姫様が前に出て大丈夫なのですか?
―心配しないでください、剣術は得意ですから。
ソレイユとリュンヌとは、この世界でエクササイズをしているラサンテ夫婦の事だ。
この二人は元々一般人だったが、マスターハンドの力により戦えるようになっている。
そして残りの二人が呼び方からルキナと、声質から青年のものだと判明した。
「ソレイユさま、リュンヌさま、ルキナさまの声が聞こえてきました。後一人は分かりませんが……」
「情報ありがとう、アスティマ。マリオ、彼らの捜索は私に任せてよろしいかしら?」
「いいぜ」
「僕達もう疲れちゃったしね~」
スマブラ四天王とプリン、ピチュー、ミュウツーは仲間の捜索をパルテナに任せ、
ラストホープで休む事にした。
「さて、ピット。私と一緒に行きましょうか」
「はい!」
パルテナはピットを連れて、アスティマのところに戻った。
「アスティマ、彼らがどこにいるか分かるかしら?」
「あっ、ええと、魔法地図ですね?」
そう言ってアスティマは魔法で地図を作り、ピットとパルテナの前に広げてみせた。
「これは?」
「仲間達がどこにいるのかが分かる地図です。
ただ、まだ力は戻っていないので、どこにいるのかは手探りで」
「へぇ~、つまり宝探しじゃなくて仲間探しですか。面白そうですね、僕にやらせてください」
「いいですよ」
ピットはアスティマの地図を見ながら、どこに仲間がいるのかを探していた。
「う~ん、この辺りにはいなさそうですね。だとしたら、こっちでしょうか? あれ、違いましたか。こっちかな? そっちかな?」
仲間探しに悪戦苦闘していたピットだったが、5分後、ピットが触った場所が光り出した。
「あっ! 光りました! もしかして、ここに仲間がいるのでは?」
「そのようみたいですね」
「え~と、場所は……8時の方向か。水と食糧はまず、持っていこうか。
アスティマ、水と食糧をお願いします」
「はい」
ピットはアスティマから水と食糧を貰った。
「それじゃあパルテナ様、一緒に行きましょうか」
「ちょっと待ちなさい、ピット。私と二人だけでラストホープを出るのは危険よ。
誰か一人でもいいから他の人を連れていきましょう」
「う~ん……誰にしましょうか……あ!」
ピットは同行者を探すために走っていった。
しばらくして、ピットはゼルダとシークを連れて戻ってきた。
「あら、ゼルダにシークじゃないですか」
「だって、ゼルダとシークが分かれてから一緒に戦ったところを僕は見た事がありませんから」
ゼルダとシークは元は一つの存在である。
今は二つに分かれていて別々に行動する事が多いが、
ピットはどうせなら一緒に戦わせたいと二人を呼んだのだ。
「シークさん……こうして一緒に戦うのは初めてですが、一緒に頑張って仲間を探しましょう」
「シークでいい、その代わり僕も君をゼルダと呼ばせてもらうからな。さぁ、共に戦おう、ゼルダ」
「はい、シーク!」
ゼルダとシークはがしいっと握手した。
「二人とも意気投合してるわね」
「やっぱり、元々一つだったからでしょうか?」
「よし、みんな行きますよ!」
「はい!!」
そう言って、ピット、パルテナ、ゼルダ、シークはソレイユ達を探しに行くのだった。
その頃、ソレイユ達は……。
「とおっ!」
「マーベラスコンビネーション!」
大量に襲い掛かってきた魔物に立ち向かっていた。
リトルマックとルキナが、戦闘慣れしていないソレイユとリュンヌを守りながら魔物を攻撃している。
「お二人とも、若いのにやりますね」
「お前達はまだ誰かと戦った事がほぼないだろ、だからオレとルキナが先頭で戦うんだ」
リトルマックとルキナは17歳、ソレイユとリュンヌは24歳。
自分達より若いのに前に出て戦えるなんて……とソレイユとリュンヌは感心する。
「そぉれ!」
「ヘディングですよ!」
「助かる」
「私は飛び道具を持ってませんからね」
だが、リトルマックもルキナも飛び道具を持たないため、
遠くにいる魔物はソレイユとリュンヌがヘディングで攻撃した。
こうして魔物が次々と倒れていくと、向こうからドスン、ドスンと足音が聞こえてきた。
「ん? あの音は?」
リトルマックがその音を警戒していると、それは姿を現した。
音の正体は、ミュータントだった。
「この魔物は一体……!?」
戸惑う四人に対し、ミュータントは太い腕を振り下ろして大ダメージを与えようとした、その時。
「せいっ!」
突如、光の矢がミュータント目掛けて飛んできた。
「大丈夫ですか?」
「ピット! それにパルテナまで!」
「うふふ、私が戦っているところを見た事はないかしら?」
「乱闘以外ではありませんね……」
パルテナは亜空軍異変ではピットのサポートをした程度で直接活躍はしなかった。
また、「別の世界」で起きた異変においても自らが異変解決に赴く事はないという。
しかし、今は「この世界」とは異なる世界に飛ばされているため、パルテナも戦う事を決めたようだ。
「私も、伊達に光の女神と呼ばれていない事をこの魔物に思い知らせてあげますよ。
さぁピット、こいつを倒しましょう!」
「はい! パルテナ様!」
「シーク……二つになっても私達は一つですよね?」
「ああ……行くぞ、ゼルダ!」
そう言って、ピット、パルテナ、ゼルダ、シークはミュータントに戦いを挑んだ。
「オート照準!」
「ファントムアタック!」
パルテナがオート照準で牽制を仕掛けた後、ゼルダがファントムを召喚してミュータントを斬りつける。
ピットは豪腕ダッシュアッパーで突っ込んでいきミュータントを吹っ飛ばした。
さらにシークは飛び上がって蹴りを繰り出す。
「よし」
「きゃぁっ!」
ミュータントは腕を振り上げてゼルダを潰した。
幸い、ゼルダは直前に防御していたので、
受けたダメージは大きくはなかったものの大きくよろめいてしまう。
「爆炎!」
パルテナはミュータントを爆炎で攻撃し、さらにピットがパルテナの神弓で追撃する。
「跳魚!」
そしてシークが宙返りしながらかかと落としを放つと、ミュータントは爆散した。
「どうでしたか?」
パルテナが微笑みながらリトルマック達の方へ振り返る。
「パルテナさんが戦えるなんて意外ですね」
「まぁ、この世界では私も戦わなければいけませんからね。
何しろ、普段使っているテレパシーがここでは使えないようですし」
ただ、奇跡を行使する力は残っているようだったので、彼女はそれを使って戦う事を決めたようだ。
「でも、そういうあなた達だって、人の事は言えないでしょう?」
「あっ」
「確かにそうでしたね」
ソレイユとリュンヌもまた、本来は非戦闘員だが、
マスターハンドの力で戦えるようになったスマブラメンバーである。
参戦が決まった時も、一番驚いていたのはソレイユとリュンヌ自身だったという。
「もし、また敵が来たなら、一緒に戦いましょうね」
「ええ!」
ソレイユ、リュンヌ、パルテナは「元非戦闘メンバー」という事で意気投合していた。
「あの~、皆さん、私の事を忘れてませんか?」
「「「「「あ」」」」」
しばらく忘れられていたルキナが、ぽつりと一言吐いたのは、それから3分後だった。
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パルテナ、Wii Fitトレーナー、むらびとのターン。
Forで初登場したこの3人ですが、実は原作では非戦闘員だったとか。