その頃、ドンキーコングとディディーコングは、巨大蜘蛛や蛆の塊と戦っていた。
「ほいっ!」
ディディーコングのピーナッツ・ポップガンが巨大蜘蛛を撃ち抜く。
「ドンキー、こういう大きな蜘蛛って、スクイッター以外にもいたんだねぇ」
「相手が誰であってもやっつけるまでだ! うおりゃあああああ!」
ドンキーコングはパンチで巨大蜘蛛を攻撃しようとするがあっさりかわされてしまい、
蛆の塊に気付けずまとわりつかれてしまった。
すぐにハンドスラップで吹っ飛ばしたが、ドンキーコングには不快感が残っていた。
相変わらず、ドンキーコングはパワーはあるがおつむが弱い。
ディディーコングはそんな彼をサポートしつつ、自らも果敢に敵に立ち向かう。
「そいやっ!」
ドンキーコングがドンキーヘッドバットで巨大蜘蛛を埋めた後、
ディディーコングは両手を伸ばして巨大蜘蛛に大ダメージを与え戦闘不能にした。
巨大蜘蛛はドンキーコングに向かって糸を吐き、
絡まって動けなくなっている隙に噛みつこうとするが、何故か体が痺れて動けなくなった。
そう、あらかじめディディーコングが足元に痺れるバナナの皮を仕掛けておいたのだ。
「そ~らよっ!」
「ピーナッツ・ポップガン!」
ドンキーコングは狙いを定め、蛆の塊をパンチで怯ませる。
そこにディディーコングの落花生銃が命中し、蛆の塊はバラバラに弾け飛ぶ。
「うえっ……」
「気持ち悪いね、でも敵は残り一体だよ! ドンキー、オイラが足止めするから一気に決めちゃって!」
「おう!」
ディディーコングは巨大蜘蛛に飛びかかり、ドンキーコングに攻撃がいかないようにする。
ドンキーコングはディディーコングが巨大蜘蛛に組み付いている間に己の腕を振り回して力を溜める。
「どりゃああああああああああ!!」
そして、ドンキーコングのジャイアントパンチが巨大蜘蛛に命中すると、
巨大蜘蛛は空の彼方に吹っ飛ばされ、星になるのだった。
「あー、すっきりした! っつーか一体ここはどこなんだよ」
「う~ん、オイラは分からないなぁ」
「オレも分からないぜ」
相変わらず、こんなところに飛ばされても能天気なドンキーコングとディディーコング。
悪く言えば馬鹿……だが、暗い世界の中でも明るさを保っていられるのは貴重だ。
「ま、この先に進めば分かるよね!」
「多分な!」
一方で、マルス、ロイ、アイク、ルフレのDチームは、敵を避けながら仲間を探していた。
「僕の予測では、この辺に仲間がいるはずなんだ」
「そうは見えないが……?」
「ちょっと、足元を見てごらん」
「ん?」
ルフレに言われてマルスが足元を見てみると、大きな足跡と小さな足跡があった。
「これだけで分かるのかい?」
「ああ。そしてこの足跡は、人間のように見えて人間ではない」
「どういう事だ……?」
「まぁ、類人猿だと思えばいいさ」
類人猿と聞いて、連想されるのはあの二匹しかいないとロイは思った。
マルス達がその足跡を辿っていくと、向こうから二つの何かと、土煙がこちらに近づいてきた。
「誰だ?」
アイクがその方向をじっと見ていると、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「助けてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
ドンキーコングとディディーコングが、無数のゾンビ犬に追いかけられていた。
マルス、ロイ、アイクは剣を構え、ルフレは魔道書を開き呪文を唱える。
「「マーベラスコンビネーション!」」
「噴火!」
「トロン!」
マルスとロイが無数の剣閃でゾンビ犬を切り裂き、アイクの剣から放たれる蒼炎がゾンビ犬を焼き、
とどめにルフレが唱えた雷魔法がゾンビ犬を全滅させた。
「す、すげぇ……」
「しかもあの炎と雷、何だろう」
彼らがゾンビ犬を瞬殺するのを見たドンキーコングとディディーコングが感心する。
「無事だったかい? 二匹とも」
「……あ、ああ」
「……ドンキーコングにディディーコングか」
「こんなところにいたら危険だから、一緒に帰ろう」
しばらく唖然としていた二匹だったが、マルス達が自分達を助けに来たと知って我に返る。
ドンキーコングとディディーコングは頷き、マルス達に同行する事を決めた。
「うお~! これが剣っていうのかぁ」
ドンキーコングは、マルス達が持っている剣をまじまじと見ていた。
「えっ? 剣を知らないの?」
「DKアイランドじゃ、こういうのはほとんど見ないからね。その代わり、自然が豊かだけど」
一応、ディディーコングは武器としてピーナッツ・ポップガンを使用しているが、
これは金属製ではない。
そのため、ドンキーコングとディディーコングは金属でできた武器を見るのは事実上初めてと言える。
「僕達の世界では、剣と剣がぶつかり合うからね。DKアイランドがちょっとうらやましいよ」
「こうやってお互いの世界の良いところを見つけ合うのも、また交流、だね」
皆はわいわいと楽しく話しながら、ラストホープへ戻る道を歩いていた。
「あっ、あとちょっとでラストホープだよ!」
そして、ルフレのおかげで敵に出会う事もなく、もう少しでラストホープに辿り着こうとしていた。
「その、ラストホープって何だ?」
「文字通り、この世界の『最後の希望』だ」
「最後の希望……あー、さっぱり分かんないけど、とりあえずここにいれば一安心という意味だな?」
「まぁ、そういう事になるね」
そして、ラストホープに入ろうとした、次の瞬間。
「わぁぁっ!?」
突然、空間が裂けたかと思うと、濁った目と鱗を持つ魚の魔物が飛び出してきた。
ルフレ達はこの魔物に見覚えがあったようで目を開く。
「もしかして、この魔物は……!」
ルフレはサンダーソードを構える。
「知ってるのか?」
「うん。以前に僕達がラストホープに戻ろうとした時に襲ってきた魔物だよ。
その時は何とか逃げられたけど、今度は逃がしてくれそうにないみたいだ」
「だから、戦うしかないってのか?」
「明らかに相手は敵対的だしな」
アイクも剣を構え、この魔物に対峙していた。
「なら、オレもやってやるぜ! 相手がこんな化け物だろうと、このパワーで一ひねりだ!」
「オイラだって、やる時はやるんだ!」
ドンキーコングもやる気満々な様子で戦闘態勢を取る。
ディディーコングも、そんな彼をサポートする体勢に入った。
「ウオオオオオオオオオオオオオ!!」
そして、魔物が叫び声を上げると共に、戦闘が始まった。
「うおりゃぁ!」
「せいっ!」
「たあっ!」
ドンキーコングが転がりながら魚の魔物に体当たりを繰り出し、
そこにマルスとロイのマーベラスコンビネーションが決まる。
魔物は口を大きく開けてドンキーコングに突っ込んできたが、ルフレがサンダーを放ってそれを防いだ。
アイクは飛び上がって剣を振り下ろすが、魔物はいとも簡単にアイクの攻撃をかわした。
「こいつ、巨体の割に速いな」
「おまけに体力もかなりある……これは、かなり時間がかかりそうだ」
「確実にダメージを与えるために……狙いを定めて、そいや!」
ディディーコングは魔物に狙いを定めて落花生を発射した。
すると、上手く魔物の弱い部分に命中したのか、魔物が一瞬だけ怯み、
その隙にアイクは居合い斬りで魔物を切り裂いた。
「よし!」
「これは結構効いたか?」
ガッツポーズをするディディーコングだが、次の瞬間、魔物の体が黒く光り、負っていた傷が治った。
「げぇ! 回復しやがった!」
「くっ、やっぱり手数で勝負をしていたらダメって事か……!」
「なら、オレがでかいの一発かましてやるぜ!」
「ちょっと待って、ドンキー!」
そう言ってドンキーコングは皆の前に出てジャイアントパンチを繰り出そうとしていたが、
ディディーコングが止める。
「なんでだよ」
「ドンキーのジャイアントパンチは隙が大きい。それに、相手はまだまだ元気だよ。
そんな時にジャイアントパンチを出してもかわされて反撃を受けるだけだよ」
流石はディディーコング、ドンキーコングを上回る知能の持ち主だ。
「オイラ達があいつを攻撃するから、
ドンキーはその間に相手の隙を突いてジャイアントパンチを叩き込んで」
「よ、よ~し!」
ドンキーコングは腕を振り回しながら、無い知恵を絞って魔物の様子を見ていた。
ディディーコングは遠距離から落花生を発射し、
ルフレは防御が薄いところを狙ってサンダーソードで攻撃する。
飛び道具がないマルス、ロイ、アイクは、相手の噛みつき攻撃をかわしながら剣技を叩き込んでいく。
「ガァァァァァァァァァァァ!!」
「うわぁ!」
「くっ!」
魔物は口から濁った水をマルス達目掛けて吐き出した。
水自体は大した威力ではなかったが、それを浴びたマルス達の武器が錆びた。
「しまった! 僕のファルシオンが……!」
本来は錆びないはずの武器が錆びたため、マルスは動揺した。
今、ここで錆びた武器を振れば、壊れてしまう危険性がある。
一刻も早く、決着をつけなければならない。
「ドンキー、もうパワーは溜まった?」
「おう、最大パワーだぜ!」
「よーし、相手の動きを止めて!」
「うん!」
唯一、武器以外にも魔法が使えるルフレが、エルサンダーを唱えて魔物の動きを止める。
「行くぜ! ジャイアントパンチ!!」
「ギャアアアアアアアアアアアア!!」
そう言ってドンキーコングがジャイアントパンチを繰り出すと、
魔物は今までよりも大きな叫び声を上げ、泥となって地面に落ち、消滅するのだった。
「や、やったぜ!」
魔物にとどめを刺したドンキーコングがガッツポーズをする。
「まさか、残党はいるんじゃないだろうね?」
「もう、大丈夫だよ。この辺に敵の気配はなくなってるみたい」
「よかった……」
敵の気配が完全になくなった事がルフレによって確認され、マルス達もほっと一安心する。
「でも、これで仲間を探すために立ち塞がる大きな障害が1つ消えたという事になるね」
「そうなるな」
「これで、安心してラストホープに戻れ……」
そう言って、ルフレが一歩歩き出した瞬間、彼の頭の中に声が響いてきた。
―ボクのペットと遊んでくれてありがとう。
「!?」
声は自分の事を「ボク」と言っていたが、その高い声から女性である事が分かった。
―おやおや、驚いているのかい?
「いきなりテレパシーを受けたら驚くに決まっているよ」
―フフフ。おっと、名前を名乗ってなかったね。ボクはハオス、混沌のハオスだ。
「混沌の……ハオス?」
女性は混沌のハオスと名乗った。
彼女の不気味さにルフレは警戒心を強める。
―キミは今、何をしているんだい?
「怪しい人にそれを言うつもりはない」
―警戒心むき出しか。だけど、話は続けるよ。この世界はどうしてこの有様か、分かるかい?
「……」
―もしも、この世界をこうした黒幕が、ボクだったとしたら……?
「……?」
―まぁ、それは「もしも」の話だけどね。
「……」
―おっと、おしゃべりはここまでにしよう。せいぜい儚い希望に縋って生きてよね。
それを最後に、ハオスの声は聞こえなくなった。
「どうだった、ルフレ?」
「あのハオスという女性は、何を考えているのか分からなかった。
不気味で、少しだけ恐怖を感じたよ……」
「「??」」
「とにかく、まずはラストホープに戻ろうね。彼女については、戻ってから話すよ」
「ああ」
この世界に住む謎の女性、ハオス。
果たして、彼女は一体何者だろうか……と思いながら一行はラストホープに戻るのだった。
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タイトルが紛らわしいですが、主役はドンキーとディディーとFE組です。
オリキャラはちらっと登場するので、タグをつけました。