No.96739 心・恋姫†無双 第十九話南風さん 2009-09-22 12:26:45 投稿 / 全8ページ 総閲覧数:12667 閲覧ユーザー数:9360 |
心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~
第十九話 ~荊州の戦い 開幕~
今までのあらすじ
気がついたら三国志の時代に来てしまっていた北郷一刀。一刀は、厳顔(=桔梗)に拾われる。そこで一刀が見たのは今まで自分が見たことの無い戦乱の現実。桔梗たちの推挙もあり、一刀は自分の命や仲間の命と引き換えに、今の大陸を変えようと覚悟する。そして、董卓討伐を利用し益州の災厄の元凶である劉彰を倒す。その過程で一度戦った涼州の馬騰(=翡翠)と仲間となり、また一刀たちと同調して反乱を起こした姜維(=恵雨)とも仲間となる。曹操の手引きにより新たな益州の州牧となった劉備と問題が起こるが、民の声に答え拠点を移し劉備と益州を二分。そして今・・・・・・・・・荊州の民の声を聞き、荊州を開放するため軍を進めるのであった。
キャラ説明
箇条書きで読みにくいかもしれません。
主人公
北郷一刀・・・・・・・女心に鈍感な反乱軍君主。先生(=千里)の教えのおかげか知略や政はそれなりに出来る。
反乱軍
厳顔・・・・・・真名を桔梗(キキョウ)。酒と喧嘩を愛する武人。義と情にあつく、兵だけでなく民からも慕われる人物。一刀の事は将として女として認め好いている。
徐庶・・・・・・真名を千里(センリ)。反乱軍が誇る軍師。その才は右に出るものはいない。恋愛に対して初心で、また時たま不可思議な声を発する。「ほぉー」「あぅあ~」等・・・・・・。
皆と仲が悪いわけではないが、色々と謎が多き人物で母親とは仲が悪い。
一刀の事を好いている。
法正・・・・・・真名を嵐(ラン)男のような口調で話す女の子。元気があり常日頃から笑顔を絶やさない。一刀には女として見てほしく、何かの弾みで暴走する場合が多い。一見、生粋の武人にも見えるが実は智は並々ならない物を有している。
張松・・・・・・真名を白(ハク)。仮面で顔を隠してはいるがれっきとした女性。間諜仕事を主とし変装と一目見たものは忘れないという特技も持つ。嵐とは付き合いが長く、素顔を知っているのも嵐のみである。一刀の事を好いている。
黄忠・・・・・・真名を紫苑(シオン)。桔梗とは昔からの戦友であり、飲み仲間。未亡人で一人娘(=璃々)がいる。皆を優しく導くお姉さん的な存在であり、また弓の腕は弓神と言っても過言ではない。一刀の事を好いている。
魏延・・・・・・真名を焔耶(エンヤ)。嵐と同じく男っぽいところがあるが、心根が素直な女性。一刀の事を余り認めていない。そのため一刀の扱いが酷い。しかし、嵐と白いわく一刀と出会って丸くなったらしい。
璃々・・・・・・紫苑の一人娘。かなりしっかりしている女の子。今は、一刀に教えてもらった、あやとりに夢中。
馬騰・・・・・・真名を翡翠(ヒスイ)。馬家三姉妹の母親であるが、まったくもってそのような事は感じさせない若さの持ち主。武に関しては桔梗に引けをとらない。一刀を、娘たちの婿にしようとしているとかしてないとか。実は酒に弱い。
馬超・・・・・・真名を翠(スイ)。馬家三姉妹の長女。武人として腕は馬騰にも負けない程の持ち主。綺麗な顔をしているのだが、女としての自分には魅力がないと自信を持てないでいる。一刀に一目惚れした。
馬休・・・・・・真名を雛菊(ヒナギク)。語尾に「~よ」とつく馬家三姉妹の次女。元気いっぱい突進少女で、馬岱とは一番仲が良い。一刀に一目惚れした。
馬鉄・・・・・・真名は姫百合(ヒメユリ)。馬家三姉妹の末っ子で、上二人+馬岱を止める役目をしている。どこか素っ気ないが、心の奥そこでは恥ずかしがっている。顔に出にくい。一刀に一目惚れした。
馬岱・・・・・・真名を蒲公英(タンポポ)。とても元気で真っ直ぐな少女で、趣味は悪戯や罠を設営設置すること。年の割にはませている、馬家三姉妹の従姉妹である。一刀には一目惚れした。
龐徳・・・・・・真名を蒼(アオ)。翠の親友で、忠義の人。古風な話し方をする。恋愛などに対してはお堅い考えを持つ。一刀に一目惚れした。
姜維・・・・・・真名を恵雨(エウ)。一刀を心から尊敬しているカッコイイ子。反乱軍の中で唯一男女が不明な人でもある。一途で真面目なのだが、おっちょこちょいという側面もあり、暴走することがある。
梁諸・・・・・・真名を涙(ルイ)。目立つことを嫌う、不思議な少女で、恵雨の親友。軍師として千里と並ぶほどの力を持つが、地道な努力の積み重ねである。語尾に「~なのです」とつく。蒲公英に罠に関しての知識を教える程の人物でもある。一刀を好いているか不明。
以上が反乱軍のキャラです。他にもオリジナルキャラいますが、それはそのつど説明をいれていきたいと思います。では、第十九話をどうぞ。
桔梗と張飛の仕合が引き分けに終わり、俺たちは急いで城に帰った。
そして、俺たちは無事に何事もなかったと紫苑たちに告げることができたのだが、紫苑と千里からは悪い知らせが告げられた。
「南荊州が?」
「はい。袁術・・・・・・いえ、孫策さんたちの手によって制圧されていっています。」
「白さんからの情報ですから、間違いないかと。」
「でも、速すぎじゃないか?」
「荊州は、元々孫家が治めていた土地です。おそらくは、そのためでしょう。」
「そうだとしても破竹の勢いだな。俺たちも急いで動くか・・・・・・・・。」
「はい、それが民からの要望ですから。」
城の守りを恵雨と涙に一任して、俺たちは兵十五万を率い荊州に進軍した。
袁術軍とは違い北荊州から軍を進め、そのまま南下。
わずかに荊州軍の抵抗を受けたが、千里の策と桔梗を筆頭とする将軍達の武勇により、難なく北荊州を平定。
それと同じくして孫策の手により南荊州は陥落。
本軍である袁術軍は無傷のまま軍を進めている状況だ。
現在一刀たちは、長江近くの城にいた。
「明日には長江を渡って、南荊州に行きます。」
「なぁ、千里。」
「何ですか?」
「孫策軍は水軍の方が戦慣れしているだろう。なら、なんで水上戦を仕掛けてこないんだ?」
「そうですね。理由としては、主たる袁術さんが報告どおりのよほどの人物なのか・・・・・・・・あるいは策ですね。」
「後者はご免こうむりたいね・・・・・・・。」
「はい・・・・・・・・。」
「念のために、嵐と白に探らせてくれないか?岸際からは翡翠たちに探らせてくれ。」
「御意です。」
――長江――
「ふぅ・・・・・・船はなれん!!」
「・・・・・・・叫んでも何も変わりませんよ。」
「そんな事はわかってる・・・・・・・でも気持ち悪い・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・大人しく寝ていればいいでしょう。」
「一刀の頼みは断れない!!」
「・・・・・・・はいはい。」
嵐は出航して直ぐに船酔いをしたため、甲板でダウン中。
逆に白は長江に眼を光らせていた。
「なぁ?」
「・・・・・・・何ですか?」
「あの船団は何だ?」
「・・・・・・・ここ周辺の集落の漁船ですね。」
「あんなに大勢で漁か?」
普通、漁師とは一つの家に一つの船を持ち漁をする。
漁師同士の組合のようなものはあっても、船団を組むことは無かった。
「・・・・・・・何でも、大きな網で漁をしているとか。また、獲る魚や貝などの獲物によって仕掛けも違うそうで、そのせいで船団の種類多くあるようです。」
「まぁ、その方が効率はいいよな。江賊にも襲われにくいだろうし。」
「・・・・・・・はい。もう暫くしたら帰ります、それまで辛抱してください。」
「お~う。」
――岸際――
偵察部隊は二手に別れている。
港を中心として西側を翠・蒼・蒲公英。
東側を翡翠・雛菊・姫百合。
西側の部隊
「怪しいものは特に見当たらないな。まぁ、そう簡単に見つかったら苦労はしないか。」
「どうしたの、お姉さまぁ?」
「どうしたって何が?」
「機嫌が悪い・・・・・・とまでいかないものの、愚痴が多い。」
「そんな事はない!」
「ご主人様が構ってくれないから寂しいんでしょ?」
「なっ!?」
「図星か。」
「んな、わけあるか!!ほら、さっさと終わらせて帰るぞ!!」
「偵察なんだからじっくりやらなきゃだめだよぉ~。」
「翠、自分に自信を持ってもいいと思うが。」
「う、うるさい!!」
「「はぁ~。」」
東側の部隊
「最近、母様は凄いご機嫌よ。」
「ご主人さまと度々会っている。」
「「・・・・・・・・・・。」」
「「!!」」
「ま、まさか・・・・・・・・。」
「そんな事はないと言い切れない。」
「ほら、何をしているんだ!」
「ご、ごめんなさいよ・・・・・・。」
「ごめん・・・・・・なさい。」
「ん?」
挙動不審な娘たちに首を傾げる馬騰であった。
その頃、一刀は残った武将達と共に軍議を開いていた。
「じゃあ作戦はさっき言ったとおりに。まだ、一手も二手も詰めが甘いけど、成功させるために頑張ろう。」
「「「御意」」」
「ではさっそく取り掛かります。」
「頼むよ、紫苑。」
「はい。」
「そろそろ偵察部隊が帰ってくるころかな?」
「はい、そろそろ戻ってくる予定です。」
「じゃあ、戻ってきたら策の説明を・・・・・・・・・。」
「報告します!!」
「どうかした?」
「はっ!!全て偵察部隊が敵に襲撃を受けております!!」
「「「!!」」」
「焔耶は東側、桔梗は西側、紫苑は嵐たちの援軍に行ってくれ!!」
「「「御意!」」」
そんな中、千里は一人思考をめぐらす。
「・・・・・・・すみません。」
「はい!」
「偵察部隊が襲撃されているとわかった時の状況を詳しく聞かせてください。」
「東西の城壁で見張りをしていた兵より報告がありました。土煙をあげこちらに進軍する部隊があるとの事で、部隊の確認をしたところ偵察部隊と敵部隊だと判明したのです。」
「つまり、敵に追われている味方の部隊がこちらまで来たという事ですか。」
「はい、そうなるかと。船上の方も同様に目視で確認できたとの事です。」
「・・・・・・・わかりました。ありがとうございます。」
「では、これで。」
兵の報告を聞き、千里はまた思考をめぐらせるのであった。
――長江――
「耐えてください!もう少しで援軍がきます!」
「「「応!」」」
嵐があの後すぐ船酔いでダウンしたため、白が一人で指揮をとっている。
普通なら将である嵐を起こすのだが白はそれをしなかった。
・・・・・・・どうも様子がおかしいですね。
敵の部隊は漁船を装って多数の小船で接近し、こちらの逃げ道を封鎖しつつ遠巻きに矢を放ってくる。
しかし、本気で攻めていないとそう思えるような甘い攻撃が続いているのだ。
・・・・・・何が目的なんでしょうか・・・・・・。
「白!!」
「・・・・・・嵐ですか。いいのですか?寝てなくて。」
「こんな状況でそんな事を言ってられないだろう!」
「・・・・・・ですが・・・・・・。」
「わかってる。敵がおかしいんだろう?」
「・・・・・・はい。こちらにも向こうにも負傷者は出ていますが大怪我や死者はいないですから。だからなるべく手の内は明かさないほうが良いです。」
「けど、だからと言っていつまでもこんな事してても仕方がないだろう?」
「・・・・・・それもそうです。ですが、もう少しで援軍がきます。それまでの辛抱ですよ。」
「そんなの待ってられるか!!」
そんな嵐を見て白はため息を漏らす。
「・・・・・・なるべく穏便に。」
「無理だ!!」
嵐は得物を高らかに構える。
嵐の得物とは三日月状の大きな武器。
それは、手に取れば敵を切り伏せることもでき、投げることも出来る・・・・・・ようは特大のブーメラン。
名を「月牙(ゲツガ)」
「よぉ、お前ら!!死にたくなかったらちゃんと避けるんだぞ!!」
そう、敵に向けて大声で叫ぶと、
大きく振りかぶり、
「うおりゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
気合と共に投げた。
嵐の手を離れた月牙は綺麗に弧を描き、
敵の小船を半壊させる。
そして、生きているかのように嵐の手に戻る。
「よっしゃ!!どんどんいくぜ!!」
・・・・・・さっきまでの船酔いはどこに消えたのでしょうか。
嵐の背中を見つめ、飽きれながらそう思う白であった。
援軍の到着で、一時は混戦になったものの偵察部隊に死者や重傷者は出なかった。
敵の襲撃部隊も死者はなく負傷兵を回収。
そして、静かに夜をむかえた。
「今日は解散だ。明日に向けて鋭気を養って。・・・・・・・・それと翡翠はこれから俺の部屋に来てくれるかな?」
「わかった。」
この時のさりげない会話に対し、嫉妬など様々な感情を抱いた馬姉妹がいたのは別の話。
その日の夜。
生物のほとんどが眠りにつく時間。
夜空に月と星が輝いて、虫の音だけが聞こえる。
しかし、そんな月明かりが照らす闇夜に踊る影あった。
その影は反乱軍の船の中を静かにそして速く移動している。
「!!」
影が何かに気付き足を止め、別の暗闇を睨みつける。
「・・・・・・・その身のこなし、そして私の気配に気付く・・・・・・・ただ者ではありませんね。」
暗闇から出てくるのは白。
「・・・・・・・一つ質問します。・・・・・・・あなたは袁術の手先ですか?」
その言葉が終わると同時に、影は背負っていた自身の得物を抜き、切りかかる。
無駄のない動きでそれを避ける白。
「・・・・・・・残念ですが、見えてます。」
「・・・・・・・そして、あなたが私たちの船が襲われている時に乗じて、船の中に潜入したことも知っています。」
「!!」
「・・・・・・・私の特技です。一瞬で全てを記憶できる。物の配置が少しでもずれていればわかります。」
「・・・・・・・だから、あなたの潜入もわかっていたのですが、泳がせていました。」
「・・・・・・・さて、もう一度だけ質問します。・・・・・・・あなたは袁術の手先ですか?」
「邪魔です!私の前に立たないで!」
「・・・・・・・残念です!」
闇夜に二つの影が舞う。
―反乱軍、兵糧庫―
ここにも闇夜を駆ける複数の影があった。
見回りの兵の裏をかき、着実に歩を進める謎の集団。
その謎の集団に災いが降りかかる。
「うわっ!?」
在る者は落とし穴に落ち、
「なっ!!なあぁっぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
在る者は天高く吊り上げられ、
「ぐへっ」
在る者は丸太の直撃をくらい意識を飛ばす。
「くそっ!罠だと!退けぇい!」
将とおぼしき者の声が響くが、すでに半数以上が罠にかかっていた。
その集団の慌てているさまを眺める三人。
「また、かかったよ。」
「へへ~ん。蒲公英の罠は凄いでしょ!」
「涙のおかげ。」
「涙もえぐい事を蒲公英に教えたよ。」
「えぐくないよぉ。蒲公英と涙で情報交換しただけだよ。」
「蒲公英は少し大人しくする。」
「ぶぅ~~~。」
場所は移り
「上手くいってる?」
「食料庫の方は蒲公英たちが、馬小屋の方は予定通り焔耶が予定通り上手くやっておる。」
「そう、なら良かった。」
「しかし奇襲をしかけてきた相手を生かして捕らえるなど、お館さまもいつもながら無茶を言うの。」
「はははは、ごめん。でも、それもこれも皆にそれを頼むだけの武があるからさ。」
「まぁ、そう言う事にしておきましょう。」
「ありがとう。紫苑の準備はどうだい?」
「はい、明日の夕刻までには用意できます。」
「なら、実行は二日後かな。」
「お館さま。」
「どうかした?」
「策はともかく例の話は本当になるものか?」
「あぁ、千里が言ってたからね。それにその方が俺たちには衝撃が大きい。」
「兵には刺激が強いか・・・・・・・・・。」
「士気は確実に落ちるだろうね。」
「さすがは、智謀に名高い周瑜といったとこかしら・・・・・・・・。」
「本当にね。けど、その方が俺らにも有利になる。」
一刀たちが部屋で今後の話をしているとき、千里は一人城壁にいた。
奇襲は失敗に終わるでしょう・・・・・・。
けど、問題は明日・・・・・・。
風の向きに、この気温・・・・・・それに雲の形・・・・・・。
明日の天気は・・・・・・・・・・・・霧。
蒲公英たちと焔耶が策を上手く進めているとき、白は苦戦をしていた。
・・・・・・・跳躍力・瞬発力ともに勝ってます・・・・・・が単純な速さは・・・・・・・・・・・・。
速く高いです。・・・・・・・このままでは・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・負けますね。 負けてしまいます。
・・・・・・・次で。 次にかけます。
二人の間に緊迫した空気が流れる。
二人とも視線を合わせ、
微動だにしない。
互いに構えたまま。
この二人の戦い方は似ている。
確実に一撃必殺を狙う戦い。
一瞬の隙で一撃をもって敵を殺す。
その過程に動きはなく、
ただ相手の命を絶つために、
静かに、構えるのみ。
・・・・・・・・・・・・・・コトッ
物音。
物音が聞こえた瞬間、二人の影が交差する。
何が起こったのかはわからない。
ただ、
白が片ひざをついた。
「・・・・・・・っ!」
白の面が割れ、血がわずかに落ちる。
白は戦いの最中だ。
すぐに相手は追撃をしかけてくるだろう。
だが、彼女は顔を隠すことを一番に選び動けなかった。
その瞬間、白は死を覚悟する。
だが、もうそこにもう影の姿はなかった。
白より遠くはなれ、
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・・はぁ・・・・・・・。」
影は右腕をおさえていた。
右腕から血が落ちる。
「袖の中の武器を最後まで見せませんでした・・・・・・・・。」
「強いです・・・・・・・・。」
「・・・・・・・情けをかけられましたか。・・・・・・・強いですね。」
一人静かに立ち上がる。
「・・・・・・・嵐・・・・・・・・・・迷惑をかけました。」
「それより、これ。」
物陰より嵐が出てきて、白に布をわたす。
「・・・・・・・ありがとうございます。」
白は布で顔を隠す。
「いいって。それよりも悪かったな。邪魔して。」
「・・・・・・・やはり先程の物音は・・・・・・・・。」
「あぁ。」
「・・・・・・・助かりました。」
「そうか。」
「・・・・・・・はい。」
「なぁ。」
「・・・・・・・なんですか?」
「一刀は気にしないと思うぜ。白の顔のこと。」
「・・・・・・・これは私の問題ですから。」
「・・・・・・・・・・・ごめん。」
「・・・・・・・いえ。」
蒲公英と焔耶そして白は見事、奇襲を食い止めた。
蒲公英は奇襲部隊の半数以上を罠で捕獲。
将と思われるものも捕獲した。
焔耶にかぎっては、一人残らず気絶させ縄に縛り引きずってきたほどだった。
白は傷を負ったが、その傷は浅かったことに一刀は安堵した。
こうして静かで長い夜が終わり、戦の開幕の鐘がなったのである。
――白、居室――
「まだ、起きてる?」
真夜中の訪問に白は驚く。
それもそうだろう、声が一刀のものなのだから。
「・・・・・・・はい。」
「じゃあ、入るよ。」
「・・・・・・・どうぞ。」
「えっと、大丈夫?」
「・・・・・・・はい。傷は浅いですし・・・・・・・私は武人ですから。」
「でも、まぁ一応これ。」
「・・・・・・・薬ですか?」
「あぁ、痛み止めと化膿しないための傷薬。」
「・・・・・・・お心遣い感謝します。」
「じゃあ、俺は戻るね。」
「・・・・・・・一刀様。」
「ん?」
「・・・・・・・えっと、その、一緒に寝てくれませんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい!?」
「・・・・・・・駄目ですか?」
「いや、まぁ、駄目じゃないけど・・・・・・・・。」
「・・・・・・・もしかして、いやらしいことを考えていますか?」
「絶対違います!!違いますから!!」
「・・・・・・・なら、いいですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ~・・・・・・・わかったよ。」
「・・・・・・・ありがとうございます。」
頬を紅らめさせる一刀と白であった。
次の日の朝。
「一刀のばかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」と、嵐の久しぶりの暴走で目を覚ます。
「何かパワーアップしたな。」
「・・・・・・・ぱわーあっぷですか?」
「えっと、前より凄く強くなったてこと。」
「・・・・・・・そうですね。ぱわーあっぷです。」
笑い声が、朝の光に溶け込んでいった。
題十九話 完
予告
決戦までの平和な時間
次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~
第二十話 「荊州の戦い 決戦前日」
決戦まであと少し・・・・・・・
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お久しぶりです。いろいろ会って投稿が滞っておりましたが再開いたします。心・恋姫シリーズも十九話ですが間が空いてしまったため、簡単なあらすじとキャラ紹介を載せました。そちらの方を参考にしながら、今後ともよろしくお願いします。では次は二十話で会いましょう。