ヨッシー、メタナイト、りょうは、元いた争いの世界の空中スタジアムから、
瓦礫が広がる大地へと飛ばされてしまっていた。
「う~、暗いし空気が悪い~……。全然、スローライフが楽しめないよ」
この世界を見てりょうの気分が悪くなる。
空には太陽が照っておらず、虫や魚もほとんどおらず、いたとしても死骸や異形が大半だ。
こんなところでは全くスローライフが楽しめないのも伺える。
「りょうさん、私達だってそれは辛いですよ。
でも、脱出する手段がまだ見つかっていない以上、ここで過ごしていくしかないようです」
「はぁ、やっぱりそうかぁ……」
「水もなければ食糧もない。故に、ここで無駄に消耗すれば死に繋がる」
「えっ?」
りょうは、メタナイトのその言葉が信じられなかった。
この世界で力尽きたら、本当に死ぬ?
フィギュアに戻るのではなく?
それは争いの世界でも、ましてや自分の故郷でもあり得ないはずだ。
「どういう事……?」
「メタナイトさんはこういうのに敏感なんですよ」
「りょう、辺りを見渡してみろ」
「えっ?」
メタナイトに言われたりょうが辺りを見渡しながら歩いていくと、
「腹、減った……」
「この水は誰にもあげないんだから……」
「痛いよぉ……」
空腹の人間、飲み水を独り占めしている人間、
全身が傷ついた人間が、苦しそうな表情で歩き回っていた。
ところどころがちぎられた人の死体もあり、恐らくは誰かに「食われた」ものであろう。
「な、何これ……!!」
この光景を見たりょうが絶句する。
「……ごく僅かな水や食糧を奪い合い、食糧がなければ他人を食べている」
「うわぁぁぁ……嫌だよぉ……」
「りょうさん……」
耐えられなくなったりょうは頭を抱えて蹲る。
ふと、彼らの周りにいた人間の一人が、ふらふらと近付いてきた。
「肉を……よこせ……」
「わ、私は肉なんて持ってませんよ!」
「その肉ではない、お前の肉だぁぁぁぁぁぁぁ!」
人間は荒れ狂いながらりょう達に襲い掛かった。
やるしかないのか、とヨッシー達は戦闘態勢を取った。
「しばらく寝ているんだな」
ヨッシー達はその人間を殺さないよう、手加減しながら攻撃していった。
結果、2分程度でその人間は気絶した。
「メタナイトさん、容赦がないんですね」
「ここではやらなければやられる、それだけだ」
「……今は、メタナイトの言う通りにしよう」
襲い掛かってくるゾンビや鴉を蹴散らしながら先に進んでいくと、水が入っている小さな瓶を見つけた。
「あっ、これは……水ですか?」
中身を確認してみると、水は少し濁っていたがまだ飲めそうだった。
「う~ん、飲んでも大丈夫なんですかねぇ?」
「まぁ、ヨッシーの胃袋なら、ね……」
ヨッシーならこれを飲んでも平気かもしれないが、メタナイトやりょうが飲むには聊か不安が残る。
それでも、無いよりはマシと思ったので、りょうはそれを拾って懐にしまった。
「水は手に入ったが、この質と量では心許ない。
このまま飢え死にする前に、早く休めるところに行かねばならない」
「でも、本当にそこは見つかるの? こんなところに、休める場所はあったっけ?」
「だからこそ『希望』を探すんですよ」
絶望という闇の中にある、一筋の光、希望。
彼らは僅かな望みをかけて、その希望を探しているのだ。
ヨッシー、メタナイト、りょうが、この世界にある希望を探している頃。
ラストホープでは、アスティマが杖を構えて精神集中をしていた。
―絶望の中にも、希望はあるんだ。
―そう思っていなければ、生き残れません。
―ここに私達を導いてくれる人はいない。
―自由と言えば聞こえはいいけど、実際は……。
―完全に、私達自身で判断するしかありませんね。
「聞こえる……。ここを目指す者の声が……」
「ん? どうしたんだ、アスティマ」
マリオがアスティマに声をかけるが、彼女の耳には入らなかった。
「……!!」
しかし、彼女の頭の中である音が聞こえた途端、彼女は精神集中を終えて杖を下した。
「……ああ、申し訳ありません、マリオさま。人の声と魔の声が聞こえてきたもので……」
「人の声? 魔の声?」
「前者はこの世界にやって来た者、後者は……」
「そいつらを襲う化け物、ってとこだな?」
はい、とアスティマは頷く。
「よぉし、だったら俺達で蹴散らしてやろうぜ!」
「待ってください、リンクさま」
ラストホープを出ようとするリンクだが、アスティマがそれを制止する。
「今回はあなた達が行く必要はないと思います」
「なんでだよ」
「私は、彼らを信じていますから」
その頃、ヨッシー達はというと。
「こっちの方に、何か足跡があるよ」
りょうが立ち止まって地面の足跡を指差していた。
「あ、本当です」
「誰の足跡だろうか……」
ヨッシーとメタナイトは、りょうが見つけた足跡をじっと観察していた。
「どうやら、その足跡は3人のもののようで、ブーツを履いているのが2人のようだ」
「おお~!」
メタナイトが足跡を見て誰のものかをある程度予測した。
「ブーツを履いているのはたくさんいるから、誰なのかは分からないけど……
とにかく、こっちに希望があるのかな?」
「そうですね~。行ってみましょうか」
「無論、警戒は怠るなよ」
ヨッシー、メタナイト、りょうは、敵や飢えた人に襲われないように辺りを警戒しながら歩いていった。
その時だった。
「なっ、何……!?」
ブォンという不気味な音と共に、3人の目の前に、長い首が4つある巨大な亀が現れた。
「くっ、敵襲か!?」
「戦いは、避けられないのですか……!?」
大急ぎでヨッシー、メタナイト、りょうは戦闘態勢を取った。
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立て続けに起こる災害のせいで苦しんでいる日本に、どうか文字通り希望を。