麗羽「・・・これを私が?」
役人「ええ・・・名家である袁紹様なら、無事に治める事ができるかと」
麗羽と呂刀の前には洛陽からやってきた役人が嫌らしい笑みを浮かべながら、そう言った
麗羽「・・・分かりました ですが、こちらもいろいろ準備があるのですぐにとは行きません」
役人「ええ とりあえず今日はここらで・・・いい返事を期待しております」
そして、役人は退出していった そんなやり取りがあって数日後
麗羽「呂刀さん・・・この前のあれ、どう思われます?恥ずかしながら、私では判断つかないので」
傍らに控える呂刀に向かい意見を求める麗羽
呂刀「あいつは、十常侍の子飼いの役人・・・多分、麗羽を利用して帝を手中にしようと思っているんだろう その為、帝を保護している董卓を暴君に仕立てあげたんだと思うよ だって内容がね・・・」
そういって呂刀は、役人が持ってきた手紙を読み返した 内容は、董卓への誹謗中傷だった
麗羽「確かに・・・呂刀さんに連れられ、洛陽まで行きましたが・・・董卓さんは暴政などしそうにありませんでしたものね でも・・・」
呂刀「うん 密偵を洛陽に放ったら、『暴政をしている』という報告があった」
麗羽「それで今、刑天さんが洛陽の内部に入り込んでいるんですのね」
呂刀「ああ」
役人が城を出て行ってから呂刀は、刑天に洛陽に潜入するように命令を下した 理由は、本当に董卓が暴政をしているのかを見極めるために あの月が暴政をするとは考えられない なので、刑天が向かうことになった 最悪、月たちを救出するために「反董卓連合」を作る事になるかもしれない
麗羽「でも、董卓さんをこのままにしておくのは嫌ですわね」
呂刀と出会い、麗羽も以前のように高飛車な態度を取る事もなくなった 元々、そのような態度を取っていたのは「名家でなければ人はついてこない」と思い込んでいたから だが、呂刀をはじめとした武将たちはそんな事はなかったので、いくらか落ち着いたようだ
呂刀「さて・・・どうするか」
―――Side 洛陽―――
詠「くそ!十常侍のやつら!」
華雄「落ち着け」
少女「ごめんね・・・私に力があれば・・・」
俯きながら、月と同じような身長の少女が呟く
月「帝は悪くないですよ」
劉協「月・・・今は、私たち以外居ないから真名で呼んでよ」
月「へう!?で、でも「じゃあ、命令」あう・・・神流様「固い」・・・神流ちゃん」
神流(かんな)と呼ばれたのは、先の黄巾党の乱で危うく殺されそうになったところを月たちに救われ、その功績で自らの直下部隊として傍においている漢の皇帝「劉協」 しかし、今は十常侍にその身柄を狙われている 月たちから離れると、すぐに監禁される事は目に見えている だから、ほとんど月たちと行動を共にしている
霞「しかし・・・あいつら、ホンマに頭にくるな」
ねね「思惑が丸分かりなのです」
詠「神流を手中にするために、月が暴政をしているなんて噂を流すんだもの」
恋「・・・許せない」
華雄「だが、今動けば神流様を危険にさらすことになる」
月「どうすれば・・・「よろしいか?」え?」
どうすればいいか悩んでいると、外から声がかかった
霞「・・・十常侍か?」
華雄「いや・・・違う声だ」
思わず身構えるが、知らない声だったので、警戒しつつ中に入れる詠
男「失礼する お初にお目にかかります帝」
神流「・・・何者じゃ」
男「我が名は何進と申します」
月「(あれ?この人どこかで)」
詠「(何進?・・・違うこいつは・・・あれ?)」
神流「何進とやら・・・何用じゃ?」
何進「実は―――」
―――Side 冀州―――
城の玉座に、刑天を除く主要な将が集合した
呂刀「という訳で、洛陽で暴政を行う董卓を討伐するため、反董卓連合を結成する事になった」
だが、それは表向きの理由である事を全員知っている 本命は、董卓たちを救出するため
美影「すでに、各諸侯には『表向き』の檄文を送りました」
外交を担当している一人である美影が報告をする
桂花「兵たちも問題ないわ」
雛里「兵糧も問題ありません」
軍事担当の文官である桂花と雛里が報告をする
狂骨「攻城兵器もある程度は形になっている 連合結成時までには必要数揃うはずだ」
狂骨が、兵器の状態を報告する
呂刀「そうか・・・聖 刑天からは?」
聖「はい 旦那様から暗号文が届きました その内容は『対象との接触成功 これより護衛に移る』とのことでした」
洛陽に潜入している刑天からの暗号を読み上げる聖
涼「それと、洛陽から戻った密偵が『洛陽で、十常侍と董卓側の対立が深刻化及び』との報告を」
呂刀「よし・・・董卓の顔は割れている?」
涼「いえ 他の諸侯は『男』と思っているようです」
呂刀「よし なら、刑天に『策は成れり 後は計画通りに』って暗号文を出しておいて」
涼「御意」
麗羽「では、皆さん・・・この策 失敗させるわけには行きません・・・気を引き締めましょう」
全員「「「「御意!」」」」
そして、呂刀が考えた『董卓たちを救出する』策が動き始めた
―――Side 洛陽―――
神流「馬鹿な!月たちを討伐じゃと!?」
神流は、その報告に狼狽していた
宦官「はい・・・ですので、帝をこれより安全な場所にお移し致します」
神流「(月・・・みんな)」
神流は、どれだけ自分が無力なのかを思い知った 自分を助けてくれた友を助けられないほど無力だったとは
宦官「ささ 早くこちらへ」
そう言われ、十常侍が治めている区画に隔離される神流 だがその様子を影から見る男がいた
何進「・・・」
―――Side 月―――
月「神流ちゃん・・・」
詠「あいつら・・・」
華雄「いつまでも、唸っている暇はないな」
霞「せやな・・・反董卓連合ちゅー厄介なモンも出来てしもたし」
月たちは、洛陽に留まっていたが神流とは離されてしまった さらに、追い討ちをかけるように反董卓連合が結成されてしまった
詠「打って出るしかないわね」
詠は、華雄を汜水関に、恋と霞を虎牢関に出撃させた そして―――
詠「いざとなれば・・・神流を連れ出してどこかに逃げる、か」
霞や華雄がそれぞれの関に向かう前に、いざとなれば神流を連れてどこかに逃げるように言ってきた
月「どうすれば」
ねね「くっ!」
詠「何進は?あいつはどこに行ったのよ」
先ほどから見えない何進を探し始めるが姿が見えない 部下には「やることがある」と言ってどこかに行ったそうだ
詠「なんなのよ・・・あいつ」
詠の呟きはすぐに消えた
―――Side 連合―――
反董卓連合は、汜水関より3日ほど離れたところに一度集まり、作戦を立てることになった
華琳「陳留太守、曹操よ」
美羽「・・・南陽太守、袁術じゃ」
雪蓮「その客将の孫策よ」
桃香「幽州太守、劉備です」
諸侯とその側近が、自己紹介をしていく 若干、美羽が元気なさそうだったが
麗羽「では―――」
最後、麗羽が自己紹介をするとなると全員が、少なからず呆れた どうせ、馬鹿な紹介をするからと だが―――
麗羽「今回、この連合を立ち上げた袁紹ですわ とりあえず、皆さん 集まってくれて感謝しますわ」
意外と普通に自己紹介をした上に、感謝を述べた事に衝撃を受けた諸侯
華琳「(馬鹿な!・・・こいつ、本当に袁紹?)」
そのように、全員が思っていると麗羽の横にいた呂刀も挨拶をした
呂刀「袁紹軍丞相の呂刀と申します あと、ここには居ませんが武将筆頭の狂骨、次席の刑天も居りますのでよろしくお願いします」
ついでに、狂骨たちの名も上げておく とりあえず、名前を聞いたときの反応を調べるためだ その結果は、華琳たちは「その名前・・・どこかで」という感じだったが、美羽は「刑天!」と目が輝いていた ついでに、七乃も 桃香たちは、呂刀の顔を見て「ん?」と華琳たちと同じような感じだった
麗羽「では汜水関は、曹操さんと袁術さんと孫策さんで構わないのですね?」
華琳「え、ええ」
やけに、雰囲気が変わった麗羽に戸惑いながらも先鋒を務めるといった華琳たち
麗羽「一応、私のところからも、狂骨の部隊を派遣しますので」
呂刀から言われていた事の一つ『董卓軍の将は自分たちが保護する』という目的のために狂骨を前線に出す事を告げる もちろん、目的は話さずに適当に誤魔化して 麗羽がそのような事を言ったのは、華雄が猛将とはいえ、狂骨には敵わないからと呂刀に言われたからだ 呂刀の本音は「この外史では、記憶も転写されるから狂骨に任せる」である
麗羽「それでは、進軍しましょう」
様々な動きがありつつ連合は、最初の汜水関へと駒を進めた
「舞台裏」
ただいま~♪
狂骨「お、戻ってきた ネタ持ってきたのか?」
モチ 閑話で書いてみるから^^
刑天「今回、俺は暗躍していたな」
呂刀「そして、俺が・・・俺が・・・・イヤッホー!」
狂骨「嬉しそうだな・・・」
ま、出番が濃いからね
呂刀「・・・でも、新キャラ出たね」
神流?いや、実は前回の話で十常侍のポジションに玄崩が居たんだけど・・・
刑天「シャレにならないほど暗くなりそうだから止めた・・・と」
うん・・・
狂骨「しかし、どうなるのか」
次回は、汜水関から虎牢関まで行くと思うよ
呂刀「今回は、俺が・・・次回もよろしくお願いします!」
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17話です
反董卓連合結成までです
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