「最近、新人サークルを荒らす二人組か……?」
新刊の挨拶に回っていた和樹とすばるは、最近、噂になっている二人組のことを話し、ため息を吐いた。
「また、あの二人かね?」
「ですの……」
すばるもため息を吐き、首を左右に振った。
「和樹さん、なんで、あの二人は、いつも、言われたくないことを言うですの?」
「……あの二人の言いたいことは多少はわかる部分もあるんだ」
同人誌は、素人の世界である。
そぅなれば、当然、レベルの低い作品もたくさん出てくる。
だが、それでも……
「あの二人は、意見を言ってるというよりも、批判してるだけだ。そんなの許せるわけない」
「ですの! こみパはみんなが楽しむ場所ですの! あの二人のやってることは、やりすぎですの!」
二人の意見がまとまり、気合が入ったとき、近くのサークルから、酷い怒声が響いてきた。
「まったくもって、酷い出来でござる!」
「こんなので、こみパに参加して欲しくないんだな……」
早速、現れた二人組みに、すばると和樹は目線を吊り上げ、振り向いた。
「やっぱり、今回も現れましたの!」
「ああ……」
すばるの腰にバックルが巻かれ、和樹も右手を左肩の前へと突き出し、小指と薬指を曲げた。
「いきますの、和樹さん!」
「おぅ!」
腰のバックルにカードを装填し、和樹も左肩の前に出した右手を右肩まで移動させ、ほぼ同時に右手を左と同時に引き、左手を左肩の前へと突き出した。
「発動!」
『修羅場モード!』
二人の身体が光とともに消え、新人サークルにヤジを飛ばす太目の男と細身の男を殴り飛ばした。
「そこまだ!」
「ですの!」
新人サークルを守るように立ち塞がり、すばるは目で逃げるようにいった。
新人サークルの関係者も助けが来たと悟り慌てて逃げ出した。二人は遠慮なく叫んだ。
「今回も現れたな、オタク横、オタク縦!」
「こみパの平和を乱す悪者め。すばる達が対峙しますの!」
和樹の右足から雷のような雷鳴が轟き、すばるも腰のバックルにカードを装填した。
『ファイナルアタックライド。すばる!』
「だぁ!」
すばると和樹はほぼ同時に飛び上がり、オタク縦と横を蹴り飛ばした。だが……
「なに!?」
「ぱぎゅっ!?」
蹴りだされたキックを片手で軽々と受け止められ、二人は驚愕した。
「拙者らもあれから、修行したでござる!」
「だな~~~~!」
「うわぁぁぁぁあ!?」
「ですのぉぉぉお!?」
こみパの壁に身体を叩きつけられるように投げ飛ばされ、二人は口から血を吐いた。
「つ、強い……」
「こ、こぅなったら……」
すばるは、どこからか、携帯端末を取り出し、画面に指をタッチした。
『ロボット、ヒーロー、魔女っ娘、コメディ、スポーツ、ロールプレイング、対戦格闘、ギャルゲー、アドベンチャー、シミュレーション、ファンタジー、恋愛、SF、オカルト、歴史!』
画面のFに指をタッチし、腰のバックルを横にセットし直し、携帯端末を前の方にセットした。
『ファイナル修羅場モード。すばる!』
すばるの額にカードがセットされ、駆け出した。
「いきますの!」
「ふん!」
「ッ!?」
すばるの身体が二人のオタクのツッパリの勢いに吹き飛ばされ、腰のバックルが外れた。
「す、すばるの"コンプリートフォーム"が利きませんの……」
「すばる!?」
和樹も立ち上がり、すばるを庇うように立つと顔を青ざめさせた。
強い。一体、この二人に一体なにが……
「見つけたで!」
「だな!?」
「ござる!?」
カートカーに乗って現れた由宇と詠美に、オタク縦と横は顔を強張らせた。
「詠美、半分、力貸しぃ!」
「命令しないでよ!」
カートカーから降りると、詠美と由宇は、ポケットから、フラッシュメモリーみたいなアイテムを取り出し、スイッチを押した。
『アニメ!』
『ゲーム!』
由宇と詠美の腰にベルトが巻かれ、フラッシュメモリーをお互いの肩の前に構えた。
「発動!」
フラッシュメモリーを腰のベルトに装填すると疾風が巻き起こった。
『マキシマムドライブ!』
ベルトの音声と同時に、詠美は気を失ったように倒れこみ、由宇の髪の半分が緑色へと変わった。
「さぁ、お前の同人誌の数を数えろ!」
「由宇と」
「詠美さんが半分個になっちゃったですの!?」
驚きを露にする和樹とすばるに、オタク縦と横は歯軋りをし、駆け出した。
「こけおどしをするなでござる!」
「だな!」
髪の半分が緑になった由宇は腰のベルトのフラッシュメモリーを横の差込口に挿し直すと、オタク縦と横に飛び上がった。
「アニメーション・エクストリーム!」
二人の身体に凄まじい衝撃が走り、オタク縦と横は疾風を巻き起こし吹き飛ばされた。
「だなぁ~~~~!?」
「ござるぅ~~~!?」
コンクリートの大地に身体を埋もれさせ、気を失ったオタク縦と横を見て、由宇は華麗に床に着地した。
『温泉パンダ。終わったなら、さっさと帰るわよ。売り子、待たせてるんだから!』
「はいはい……」
カートカーに乗りなおすと、由宇は詠美を抱えて、去っていった。
「あの二人、なにしに現れんただ?」
「ですの?」
二人はコクリと首を傾げ、床に埋もれているオタク縦と横を見た。
「なにはともあれ、後は南さんに突き出して、終わりだな?」
「待ってくださいですの、和樹さん! 二人が合体しますの!?」
「なに!?」
二人の身体から凄まじい光が溢れ出すと、オタク縦と横は一つの身体となり、巨大化した。
「あ、あんなのありかよ!?」
「和樹さん、あれを!?」
「ゲッ……!?」
巨大化したオタク縦と横に、向かい合うように巨大な番長スタイルの大男が現れ、肩に乗っていた大志はすばるの後ろに着地し、手に持った銃を撃った。
「痛みは一瞬だ!」
「ぱきゅっ……!?」
すばるの身体が巨大なバックルへと変わり、番長スタイルの大男の腰に巻かれた。
「……」
大男の腰にベルトが巻かれると、大男の身体にノイズのようなブレが走り、その姿を、すばるのものへと変えていった。
「……」
腰のバックルにカードを装填すると、挑発するように融合体のオタク縦と横に手を振った。
「クッ……!?」
図体がでかくなったことで、元々大きかった態度も大きくなったのか、融合体のオタク縦と横は額に青筋を立て、駆け出してた。
「大影流奥義、流牙旋風投げ!」
「ッ!?」
駆け出していた身体が突如、巻き起こった旋風に大空へ投げ飛ばされ、オタク縦と横の身体を上空で大爆発を起こしさせた。
「……」
チリへと帰った、オタク縦と横を見て、すばるは、足元にいる和樹を見て、微笑んだ。
こみパが終わり、部屋に帰ると、和樹とすばるは次の作品に向けて、アイディアを練っていた。
「次はなにを描きますの?」
「そぅだな……」
そっと、壁に貼られた「ビーストマスクディケイド」のポスターを見て、和樹は微笑んだ。
「なんでもいいさ。面白い同人誌は無限にあるんだから……」
「ですの!」
笑いあいながら、二人は「ビーストマスクディケイド」のポスターを見つめ続けた。
新たな同人誌の世界へと行くために……
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「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」のパロディ小説です。
今回は、前回の配役に、詠美と由宇が変身します。