No.95836

修羅場モードW

スーサンさん

「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」のパロディ小説です。
今回は、前回の配役に、詠美と由宇が変身します。

2009-09-17 10:18:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1554   閲覧ユーザー数:1509

「最近、新人サークルを荒らす二人組か……?」

 新刊の挨拶に回っていた和樹とすばるは、最近、噂になっている二人組のことを話し、ため息を吐いた。

「また、あの二人かね?」

「ですの……」

 すばるもため息を吐き、首を左右に振った。

「和樹さん、なんで、あの二人は、いつも、言われたくないことを言うですの?」

「……あの二人の言いたいことは多少はわかる部分もあるんだ」

 同人誌は、素人の世界である。

 そぅなれば、当然、レベルの低い作品もたくさん出てくる。

 だが、それでも……

「あの二人は、意見を言ってるというよりも、批判してるだけだ。そんなの許せるわけない」

「ですの! こみパはみんなが楽しむ場所ですの! あの二人のやってることは、やりすぎですの!」

 二人の意見がまとまり、気合が入ったとき、近くのサークルから、酷い怒声が響いてきた。

「まったくもって、酷い出来でござる!」

「こんなので、こみパに参加して欲しくないんだな……」

 早速、現れた二人組みに、すばると和樹は目線を吊り上げ、振り向いた。

「やっぱり、今回も現れましたの!」

「ああ……」

 すばるの腰にバックルが巻かれ、和樹も右手を左肩の前へと突き出し、小指と薬指を曲げた。

「いきますの、和樹さん!」

「おぅ!」

 腰のバックルにカードを装填し、和樹も左肩の前に出した右手を右肩まで移動させ、ほぼ同時に右手を左と同時に引き、左手を左肩の前へと突き出した。

「発動!」

『修羅場モード!』

 二人の身体が光とともに消え、新人サークルにヤジを飛ばす太目の男と細身の男を殴り飛ばした。

「そこまだ!」

「ですの!」

 新人サークルを守るように立ち塞がり、すばるは目で逃げるようにいった。

 新人サークルの関係者も助けが来たと悟り慌てて逃げ出した。二人は遠慮なく叫んだ。

「今回も現れたな、オタク横、オタク縦!」

「こみパの平和を乱す悪者め。すばる達が対峙しますの!」

 和樹の右足から雷のような雷鳴が轟き、すばるも腰のバックルにカードを装填した。

『ファイナルアタックライド。すばる!』

「だぁ!」

 すばると和樹はほぼ同時に飛び上がり、オタク縦と横を蹴り飛ばした。だが……

「なに!?」

「ぱぎゅっ!?」

 蹴りだされたキックを片手で軽々と受け止められ、二人は驚愕した。

「拙者らもあれから、修行したでござる!」

「だな~~~~!」

「うわぁぁぁぁあ!?」

「ですのぉぉぉお!?」

 こみパの壁に身体を叩きつけられるように投げ飛ばされ、二人は口から血を吐いた。

「つ、強い……」

「こ、こぅなったら……」

 すばるは、どこからか、携帯端末を取り出し、画面に指をタッチした。

『ロボット、ヒーロー、魔女っ娘、コメディ、スポーツ、ロールプレイング、対戦格闘、ギャルゲー、アドベンチャー、シミュレーション、ファンタジー、恋愛、SF、オカルト、歴史!』

 画面のFに指をタッチし、腰のバックルを横にセットし直し、携帯端末を前の方にセットした。

『ファイナル修羅場モード。すばる!』

 すばるの額にカードがセットされ、駆け出した。

「いきますの!」

「ふん!」

「ッ!?」

 すばるの身体が二人のオタクのツッパリの勢いに吹き飛ばされ、腰のバックルが外れた。

「す、すばるの"コンプリートフォーム"が利きませんの……」

「すばる!?」

 和樹も立ち上がり、すばるを庇うように立つと顔を青ざめさせた。

 強い。一体、この二人に一体なにが……

「見つけたで!」

「だな!?」

「ござる!?」

 カートカーに乗って現れた由宇と詠美に、オタク縦と横は顔を強張らせた。

「詠美、半分、力貸しぃ!」

「命令しないでよ!」

 カートカーから降りると、詠美と由宇は、ポケットから、フラッシュメモリーみたいなアイテムを取り出し、スイッチを押した。

『アニメ!』

『ゲーム!』

 由宇と詠美の腰にベルトが巻かれ、フラッシュメモリーをお互いの肩の前に構えた。

「発動!」

 フラッシュメモリーを腰のベルトに装填すると疾風が巻き起こった。

『マキシマムドライブ!』

 ベルトの音声と同時に、詠美は気を失ったように倒れこみ、由宇の髪の半分が緑色へと変わった。

「さぁ、お前の同人誌の数を数えろ!」

「由宇と」

「詠美さんが半分個になっちゃったですの!?」

 驚きを露にする和樹とすばるに、オタク縦と横は歯軋りをし、駆け出した。

「こけおどしをするなでござる!」

「だな!」

 髪の半分が緑になった由宇は腰のベルトのフラッシュメモリーを横の差込口に挿し直すと、オタク縦と横に飛び上がった。

「アニメーション・エクストリーム!」

 二人の身体に凄まじい衝撃が走り、オタク縦と横は疾風を巻き起こし吹き飛ばされた。

「だなぁ~~~~!?」

「ござるぅ~~~!?」

 コンクリートの大地に身体を埋もれさせ、気を失ったオタク縦と横を見て、由宇は華麗に床に着地した。

『温泉パンダ。終わったなら、さっさと帰るわよ。売り子、待たせてるんだから!』

「はいはい……」

 カートカーに乗りなおすと、由宇は詠美を抱えて、去っていった。

「あの二人、なにしに現れんただ?」

「ですの?」

 二人はコクリと首を傾げ、床に埋もれているオタク縦と横を見た。

「なにはともあれ、後は南さんに突き出して、終わりだな?」

「待ってくださいですの、和樹さん! 二人が合体しますの!?」

「なに!?」

 二人の身体から凄まじい光が溢れ出すと、オタク縦と横は一つの身体となり、巨大化した。

「あ、あんなのありかよ!?」

「和樹さん、あれを!?」

「ゲッ……!?」

 巨大化したオタク縦と横に、向かい合うように巨大な番長スタイルの大男が現れ、肩に乗っていた大志はすばるの後ろに着地し、手に持った銃を撃った。

「痛みは一瞬だ!」

「ぱきゅっ……!?」

 すばるの身体が巨大なバックルへと変わり、番長スタイルの大男の腰に巻かれた。

「……」

 大男の腰にベルトが巻かれると、大男の身体にノイズのようなブレが走り、その姿を、すばるのものへと変えていった。

「……」

 腰のバックルにカードを装填すると、挑発するように融合体のオタク縦と横に手を振った。

「クッ……!?」

 図体がでかくなったことで、元々大きかった態度も大きくなったのか、融合体のオタク縦と横は額に青筋を立て、駆け出してた。

「大影流奥義、流牙旋風投げ!」

「ッ!?」

 駆け出していた身体が突如、巻き起こった旋風に大空へ投げ飛ばされ、オタク縦と横の身体を上空で大爆発を起こしさせた。

「……」

 チリへと帰った、オタク縦と横を見て、すばるは、足元にいる和樹を見て、微笑んだ。

 

 

 こみパが終わり、部屋に帰ると、和樹とすばるは次の作品に向けて、アイディアを練っていた。

「次はなにを描きますの?」

「そぅだな……」

 そっと、壁に貼られた「ビーストマスクディケイド」のポスターを見て、和樹は微笑んだ。

「なんでもいいさ。面白い同人誌は無限にあるんだから……」

「ですの!」

 笑いあいながら、二人は「ビーストマスクディケイド」のポスターを見つめ続けた。

 新たな同人誌の世界へと行くために……

 


 
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