ゲイザーに敗北したナタの男友達が闘技場を去って行くと、アークはゲイザーに決闘を申し込みます。
「ゲイザー様、お手合わせをお願いします!」
「アーク殿。突然、どうしたのですか?」
「あなたを倒さないとナターシャ様の心を射止める事は出来ないのです…」
「まさか…アーク殿の想いを寄せていた相手と言うのは、ナターシャの事だったのですか?」
「はい、この想いは永遠に秘めておこうと思っておりましたが、もう我慢の限界です!」
「全く気付きませんでした…。アーク殿がナターシャの事をそんな風に想っていただなんて」
「手加減は出来ませんので、うっかり殺してしまったら申し訳ありません」
「わかりました…。日を改めてベストコンディションでお相手しましょう」
ゲイザーにアークが決闘を申し込んだ事は瞬く間にマルヴェール中に広まりました。マルヴェールに移住していたメサイアファンも闘技場の観客席に詰め掛けます。
「アーク様、頑張ってー!」
「ダーク様も負けないでー」
いつもは汗臭い男だらけの闘技場の観客席が、女性の観客で埋め尽くされています。いつも観客席で賭け事をしている男たちも現れました。
「オッズはどうなってるんだ?」
「ゲイザーはフォン様に勝った事があるからなぁ」
「アークも相当強いぜ?手合わせしてもらった事があるけど、勝った事は一度もねぇよ」
「槍はリーチが長いからレイピアより有利な気はするなぁ」
「しかしゲイザーはナイフ投げの達人だ」
「そんな事はアークだって百も承知だろう?」
「フォン様は不意を突かれたが、アークはそうはいかんだろう」
「どっちが勝つかわかんねぇ…」
審判が現れて試合開始を高らかに宣言します。
「両者構えて、始め!」
アークは先手を取って突きを繰り出します。ゲイザーは防戦一方でした。アークの優勢です。
「やはり、全て躱していますね。しかしあなたのステータスで私を上回っているのはラックのみ!攻撃を躱し続ける事が出来なくなった時、私にも勝機はあります」
空中を浮遊しながらアークは狙いを定めると、ゲイザーに向かって槍を振り下ろしました。ゲイザーは間一髪のところでその一撃を躱しましたが、地面には大きな穴が出来ています。
「ああ、ゲイザー様がッ!あんな攻撃をまともに受けたら、死んでしまうわ…」
フラウが闘技場の中に入ろうとするのを、フォンが腕を掴んで引き止めました。
「男同士の真剣勝負にしゃしゃり出るでない」
「でも!このままではゲイザー様が…」
「お前の惚れた男は、そう簡単に死ぬような玉か?信じて見守るのが真実の愛と言うものだ」
「ナターシャちゃんも、アークを止めてちょうだい!ゲイザー様が死んじゃっても良いの?」
「んー、おじさんは死なないと思うよー?それにアークとおじさんが戦ったら、どっちが勝つかずっと気になってたのー」
「ナターシャちゃんまで…。アークはゲイザー様を殺すつもりでやってますよ!?」
「殺すつもりはないと思うー。でも本気出してるから死んじゃう可能性はあるかも」
「どうして二人ともそんな薄情なんですか…」
…つづく
Tweet |
|
|
0
|
0
|
追加するフォルダを選択
ビーストテイマー・ナタの番外編の続きです。