ナタが王宮内をウロウロしていると、侍女長から呼び止められました。
「ちょっと!そこのあなた。一体、何をしているの?」
「えっ?ちょっと人を探してるのー」
「見かけない顔だけど…あなた、新入りね。名前は?」
「ナターシャだよー?」
「ナターシャ、付いて来て頂戴」
「ナタ、忙しいんだけど…」
「全く!この忙しい時に…サラはどこに行ったのかしら?」
「そのお姉さんなら地下牢にいるよー?」
「敵軍の捕虜に食事を運ばせたから、地下牢に行ったのは知ってます」
「ねぇ、捕虜ってなぁに?」
「あなた歳はいくつなの?ロクな教育も受けてないスラム街の子かしら…」
「ナタ、六歳だよー?」
「は?十六歳の聞き間違いかしら…」
「ねぇ、捕虜ってなんなのー?教えてー」
「敵軍と交渉する為に捕まえておく人質みたいなものよ?」
「ふーん、もう一人捕虜のお姉さんがいたけど知らない?」
「ああ、あの魔女なら飛び降りて死んだって聞いたのだけど、死体が見つからないのよね…」
「えっ…お姉さん死んじゃったの?」
「とにかく!国王様のご機嫌が悪いから、若い侍女は全員、国王様のご機嫌を取ってるのよ」
「国王様、ご機嫌斜めなんだー。どうして?」
「捕虜の魔女が怪しい魔法を使って逃げたからに決まってるでしょ!さあ、あなたも国王様のご機嫌を取りに行って頂戴」
「逃げたって事はお姉さんは生きてるの?良かったー」
「国王様の寝室はここよ?中に入ってご奉仕して来なさい。絶対に失礼のないようにね」
「うん、わかったー!」
ナタが寝室のドアを開けると裸の女性がたくさんベッドの上に寝転がっていました。
「みんな服着てないけど、怒られないの?ナタが服着ないとおじさんに怒られるのに…」
「おお、これはまた!愛いやつよ…。苦しゅうない。近う寄れ」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第59話です。