フラウが困っていたので、ゲイザーが代わりに答えました。
「愛し合っていたら出来るんだよ」
「でもおじさんとお姉さんは愛し合ってても、赤ちゃん出来ないんでしょ?」
「獣人には繁殖能力がないから仕方ないんだ」
ゲイザーも困ってしまいました。するとアークがこう言います。
「天使にも繁殖能力はありませんからね。人間は生存能力が低いですが、繁殖能力は高いのですぐに増えます」
「獣人や天使の方が強いし、カッコいいと思うよー?」
「ナターシャは人間のままでいなさい。獣人になってはいけないよ?」
「えーっ、どうして?お師匠様もおじさんもお姉さんも獣人なのに、ナタだけ仲間はずれ…」
「大人になったら何が正しいのかわかるはずだから、大人になってから決めなさい」
「ナタ、魔法で大人になれるよー?」
「それは見た目だけだろう?中身は子供のままだ」
「どうしてナタは子供だからダメなの?ナタ、大人より頭良いもん!」
「お前が賢い子なのはわかってるよ。難しい魔導書を読んでいたからね。でもお前には知識はあっても経験が足りないんだ。こればっかりは長く生きていないとわからないことだからな」
「ナタ、おじさんの事、大好き!だからずっとそばにいたいの…。おじさんはナタの事、嫌いなの?」
「私もナターシャの事が大好きだよ?でもずっと一緒にはいられないんだ。いつか離れなくてはならない時は来る…」
「やだ、やだ、やだ!絶対、離れたくない…」
ナタが駄々をこねるのはこれが初めてでした。
「ナターシャ様、私がゲイザー様の代わりにおそばにおりますので、それではダメですか?」
「アークはおじさんと似てるけど、おじさんじゃないから嫌だ…」
「困りましたね。私ではゲイザー様の代わりにはなれないようです…」
「しかしナターシャはなぜそんなに私にこだわってるんだ?まだ出会って一ヶ月しか経っていないと言うのに…」
「ナタ、わかっちゃうの!普通の人が十年くらい一緒にいないとわからない事もわかるの…」
「魔力の波動がどうとか言っていたが、それと関係あるのか?」
「うん、おじさんはね。勇者になれる素質があるの。世界を救える波動を持ってるから」
「私が世界を救う勇者の波動の持ち主?有り得ない!」
…つづく
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昔、書いていたオリジナル小説の第39話です。