「痛くてしばらく泳げないわよ。水死しないでね」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第67話(改1.8)<刺客>
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夜の水面下を赤い光の筋が高速で通り過ぎた。
「もう真下に来ているじゃないか!」
冷や汗というより鳥肌が立った。これは、かなり拙い状況だ。
「敵も、まだ我々の状況は分かっていないはずだ!」
ブルネイ提督が叫ぶ。
「いざとなったら誰か要人をおんぶしてでも脱出する準備してくれ」
とりあえず『王宮男性』と美人秘書は最優先……とすると装甲があり足も速くて男性もお気に入りの金剛姉妹だよな。
「金剛、比叡!」
私は声をかける。
すると二人は予測していたように敬礼していた。
「yes! いつでもOKネ」
「お姉さまと一緒なら、どこまでも参ります!」
「よし!」
ホッとして嬉しくなった。やはり遠征は、この二人で良かった。
そのとき
『ハッハッハ!』
『王宮男性』が笑い出した。
『わが国民は、こんなことはしないが……テロリストとなれば話は別じゃの』
『……』
同意して良いか? だがこの状況で、この余裕……やはり、ただ者ではない。
付き添っているイケメン武官は、そんな冗談を聞きながらも、まったく動じず警護を続けている。その職務に忠実な姿も律儀で頼もしい。
改めて水上集落を見ると、あちこちで火の手が上がり逃げ惑う人々がいた。ボートで逃げようとして片っ端から雷撃され水上で泳ぐ人々……もはや大混乱だ。
赤城さんは悔しそうに言う。
「本当に……何も出来ない」
すると、あの女性秘書官が赤城さんの肩に手を置いた。
『戦場で八方塞がりは付き物よ。貴方のせいじゃなくて、今この場で自分が何ができるか? そこから未来へ繋げていくの。頑張って! 信じているから』
『はい!』
赤城さんは、さめざめと泣いている。
前線の緊迫感と揺らめく火災の炎に照らされた二人は異様なほど美しい。思わず鳥肌が立った。そういえば女性秘書官も長髪で、どことなく赤城さんに似ているな。
「来る!」
寛代が叫ぶと同時に水中からマスクをつけた黒ずくめの敵が二人、飛び上がってきた。通路へ着地すると同時に、こちらへ切りつけて来る。
直ぐ龍田さんと日向が応戦。比叡2号は男性を庇う。
「ひっ」
言いつつ伊勢は抜刀したが慌てていた。彼女には実戦経験が無い。
「あら、やるわねえ」
そういう龍田さん、長い剣を振り回して応戦する。
だが敵は身のこなしも素早く簡単にはいかない。向こうで戦っている日向も同様に手こずっていた。
『相手は手慣れね』
女性秘書官は、そう言いながら敵の背後から短銃で狙いをつける。
だが赤城さんが無言で、それを制止した。やはり卑怯なマネはしたくないのだろう。
すると女性秘書官は、ちょっと恥ずかしそうに銃を収めた。
それをチラッと見た龍田さん。敵と剣で押し合っていたが『はぁっ!』という気合と同時に相手をなぎ払った。敵の短剣が鋭い金属音と共に空中へ飛び去る。
一瞬ひるんだ相手に龍田さんは思いっきり剣を振り下ろした。
「グフ!」
鈍い音と共に打撃を受けた敵は水中へ落下。奇妙な雄叫びと共に水中へ沈んでいく。
それを見下ろした龍田さん、軽く額を拭ってニヤリとした。
「みね打ちよ。それでも死ぬほど痛いけど」
日向の相手は、それを見てちょっと怯(ひる)んだらしい。
龍田さんは、それを知ってか自分の剣を軽く確認しながら呟く。
「痛くて、しばらく泳げないわよぉ。水死しないでね」
(怖い……)
私は苦笑した。
その隙を突いて日向も刀を一振りした。
「ごあぁ」
図太い声を立てた敵は、そのまま後ろ向きに水中へ落下。
日向は表情を変えず刀を持ったまま祈るような仕草をして鞘に収める。
二人の活躍で、このエリアの流れが変わった。他の敵が少し後退する。
改めてブルネイ提督は言う。
「脱出するなら今だな」
「ああ」
そのときブルネイ側の警察担当者が駆け寄ってきた。彼の顔はススで真っ黒だった。
『はぁ、はぁ、申し訳ない!』
『大丈夫か?』
『王宮男性』が問い掛けると彼は息を切らしながら途切れ勝ちに報告する。
『我々の巡視艇は軒並み大破。援軍に駆けつけた水上警察のフネも破壊されました。軍関係も同様です』
『王宮男性』は金剛たちをチラッと見てから私たちに向き直った。
『……仕方ないのう』
女性秘書官も確認する。
『今のうちに退去されますか?』
男性は大きく頷いた。
『帝国海軍の事情も良く分かった。一日も早く、わが国への艦娘部隊の駐留と警備、防衛を切に願う』
何か、すごく威厳がある。
『ハッ』
思わず私とブルネイ提督は敬礼した。
『お嬢さん、こんな荷物で申し訳ないが頼むぞ』
笑いながら彼は、とても丁寧に艦娘たちに頭を下げる。
やはりオーラが違う。この人は普通の人でなく高い立場の人なのだ。
『了解です!』
二人揃って応えた金剛と比叡。頼もしい。
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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敵の攻勢で急を要すると判断した司令は要人たちを緊急で脱出させようとする。次の瞬間、刺客がやってきた。