No.950190

【サイバ】北城珈琲店にて(3)【交流】

締めを任されました。
狐太郎君 https://www.tinami.com/view/949808
レインちゃん https://www.tinami.com/view/738604
シャイオ https://www.tinami.com/view/948606
晴一 https://www.tinami.com/view/783924

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2018-04-27 02:03:54 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1112   閲覧ユーザー数:1077

「いらっしゃいませ!」

 次に北城珈琲店を訪れたのは。

「よぉ、お二人さん」

「こんにちは」

 スコティッシュフォールド種のネコ型セリアンスロゥピィ男性と、ウサギ型セリアンスロゥピィ女性の仲睦まじいカップルだった。

「あ、晴一(せいいち)先輩! レインさんも!」

 彼、井尻(いじり)晴一は、狐太郎の大学の先輩だった。卒業してからも、こうして時々店にコーヒーを飲みに来るのだ。その恋人、レイン・スリートとも、狐太郎たちは親交があった。

「そっちの女の子は、シャイオちゃんね? 変身してからは初めて会うわね」

「よろしくお願いします」

 シャイオは一礼した。

「コーヒー2つ。あと、サンドイッチも二人分」

 晴一が注文を告げる。

「かしこまりました」

 厨房に向かおうとする狐太郎とシャイオ。

「あ、ちょっと待って。シャイオちゃん、こっちへ」

 レインがシャイオを呼び止めた。

「すぐ終わるから。狐太郎君は先に行ってていいよ」

「わかりました」

 狐太郎が厨房へ消えたのを見計らってから。

「シャイオちゃん、ちょっと両手を出して」

「え? こうですか?」

 シャイオが差し出した両手を、レインの両手が優しく包み込んだ。シャイオは、手の平が暖かくなるのを感じた。レインは、そのまま、その手をシャイオの胸に押し当てる。手の暖かさが胸にじんわりと伝わっていく。

「勇気の出る魔法をかけてあげたわ。狐太郎君に伝えたいことがあるんでしょ?」

 シャイオの顔が輝く。

「は、はい! ありがとうございます!」

 そのまま、シャイオは厨房に駆け込んでいった。

「……なあ、本当は何の魔法をかけたんだ?」

 コーヒーをすすりながら、晴一がこっそりレインに訪ねた。

「うふふ、ただの温熱魔法よ。彼女の背中を少し押しただけ」

 レインはいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「プラシーボ効果ってやつか。お主もワルよのう」

 晴一も笑いながらサンドイッチを頬張った。

「ありがとうございました!」

「ごちそうさま。また来るよ」

 晴一は手を振りながら店を出た。

「がんばってね、シャイオちゃん」

 レインは、去り際にシャイオにウィンクを投げかけた。

「はいっ!」

 ドアが閉まってから。

「狐太郎君、今度、わたしと、アクアプラネット水族館に遊びに行きませんか!?」

 風天区の片隅にある小さなコーヒー店を訪ねてみよう。

 ドアを開けると、

  カランカラン。

「いらっしゃいませ」

 心地のいいベルの音と、コーヒーの香りと、朗らかな笑顔が出迎えてくれるはずだから。

 


 
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