「心がズタズタになって……でも私たちは」
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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)
EX回:第57話(改1.5)<武人再び>
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私と青葉さんが近づいていく。
「あれ?」
龍田さんが立ち上がって『比叡2号』に何か説教のようなことをしている。やがて遊んでいた艦娘たちは全員が私に向かって敬礼をした。
私も敬礼を返してから龍田さんに聞いた。
「龍田さん、比叡2号が何か?」
「あぁ、先ほど司令を大声で呼んだ事を、ちょっと注意してたの。規律は大切よぉ」
さすが龍田さんだ。
実は私は全く気にならなかった。比叡2号も反省したらしく頭を下げる。
「提督、失礼しました! 何も分からないもので」
「あぁ、そうだね。以後、気をつけて」
「はい!」
やっぱり量産型の比叡は美保のオリジナルとは少々、性格や雰囲気が違う。未来のブルネイの艦娘たちは皆、強いうえに気配りもできる良い艦娘たちばかりだった。
だが量産型は建造された直後だから軍の規律も何も知らなくて当然だ。比較するのは酷だが。
(しかしテストとはいえ演習も戦術も何も分からない状態で、いきなり彼女たちを闘わせたのか?)
いくら急ごしらえの部隊とは言え酷い話だと思った。
もちろん艦娘には『先人の記憶』という建造直後から本能的に知識が備わった者も少なくない。量産型にも同じ傾向は在るかも知れない。だが個体差もあろう。
比叡2号は『不完全レシピ』の産物ともいえる艦娘だ。不備だらけで生まれざるを得ない宿命的な悲しみを感じてしまう。
だが彼女たちは艦娘だ。軍隊に居る以上は戦わざるを得ない。そこは少々、やりきれない。
どこから持ってきたのか砂浜で椅子に腰かけた龍田さんが落ち着いた様子で私に話しかけてきた。
「司令、アタシが言うのも何ですけど……試作も含めて私たち艦娘には必要以上に気を病まないで下さいね」
「あ、そう?」
私、やっぱり考え過ぎかな?
ドリンクを飲みながら彼女さんは続ける。
「何事も急に完成することは無いから」
そして龍田さんは少し傾いてきた太陽を見ながら言った。
「血の滲(にじ)むような苦労をして、心もズタズタに引き裂かれて……それでも私たちは、ひたすら耐え、越えて強くなると思うの」
「……」
返す言葉もない。
彼女は元気に遊びだした金剛姉妹を見ている。
「でも司令には艦娘ではなくて、もっと大きなことで悩んで欲しいわ」
「え?」
いきなりスゴイことを言うな。
不意に龍田さんは不敵な笑みを浮かべた。
「フフ、きっと昔の艦長か世話になった提督の『記憶』の受け売りだと思うわ」
「……やっぱり、そういう記憶があるんだ」
私の言葉に彼女は微笑んだ。
「だからアタシ細かいことは気にしないの。やるときは全力で。楽しむときにも悔いが残らないよう精一杯、楽しむだけ」
「龍田さんは身体も精神も武人なんだな」
オリジナル艦娘は深いぞ。私も心して備えないとダメだな。
するといつの間にか青葉さんが顔の前に指を立てて左右に振る仕草をしている。
「え? なに」
「だ・か・ら、司令は考えすぎちゃダ・メ」
「はい、はい。わかりました」
龍田さんも青葉さんも大人でございますね。
「そういえば日向と伊勢はどこ行ったかな?」
確か海岸を散歩とか言ってたけど。
そのとき青葉さんが索敵した。
「ほらあそこ日向と伊勢ですよ」
「噂をすれば影だな」
私は振り返った。
以下魔除け
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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「美保鎮守府:第三部」の略称です。
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海岸で艦娘たちと出会った司令。そこでは龍田さんから諭されるのだった。
※次の58話は順番が最近の方へ飛んでしまってます。