No.94810 【リリカルなのは】熱烈愛意BLOさん 2009-09-11 07:47:28 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:1215 閲覧ユーザー数:1172 |
熱烈愛意
アリサちゃんとすずかちゃんが、そろって休んだ。
恋人だったら、1日中イチャついてるんやろうなぁと思うとこやけど、まだ何も聞いてないし、その可能性は低い気がする。
お互い好きな者同士、くっついて欲しいとは思うんやけど、わたしが口を出してええ問題やないし。ここは静かに見守ってあげるんが、友達としての務めやと思う。
それに、随分と前に様子が変わったすずかちゃんはええとして、バレンタインから急に様子が変わったアリサちゃんにはまだ無理なんやないかな?
まぁ、何かあったのは間違いないやろうし、ソレ自体はとっても気になるんやけど……やっぱりダメや。
喧嘩をした訳でもなさそうやし。そうなれば思い当たる事は1つだけで、成功していればおめでとうで済む。せやけど、失敗してたらそれどころやない。
せやから、なのフェイペアにお見舞いに誘われた時、途中で抜けてしまおう思うとったんやけど。
「ごめん下さい。すずかさんのクラスメイトの、八神言います。お見舞いに来たんですけど、宜しいでしょうか?」
なぜか、わたし1人で月村邸の玄関に立っていた。
以前から様子をうかがっていた者としては、どうなったんかを詳しく聞きたいけど、ちょう後ろめたい感じもするなぁ。
「あ、はやてちゃん?今開けるから、入って来て」
……ん? 落ち込んだようには聞こえんかったなぁ。それどころか、どこか活き活きとしたものを感じる。ふ~ん。これなら良い結果を期待してもよさそうや。
そうと決まれば、わたしにも幸せを分けて貰うでー。
◇
「ねぇ、はやて。すずか達のお見舞いに行かない?」
昼休み。いつもとは違い、3人でお弁当を食べていた時にフェイトちゃんが声をかけてきた。
なのフェイがノロケた時に、突っ込むアリサちゃんもいない。みんなを見守りながら、微笑むすずかちゃんもいない。少し味気無さを感じていたところに、その提案は出された。
「お見舞い? そら、構わんけど・・・行ってもええんかな?」
授業中も2人の展開を色々と予想していた手前、最悪の場合を想定すると……アカン、素直にうなずけるような話やない。
「2人共風邪だって言ってたし、心配だもん。今日は、はやてちゃんもお仕事なかったよね?」
「そうやなぁ……。今のところは、何も入ってなかったはずやよ」
特別捜査官として、世界を飛び回っているわたしは、3人の中でも忙しい部類に入る。だから飛び入りの仕事が入る事もあるけど、今のところは何も聞いていなかった。
「フェイトちゃんが提案してくれたんだ。友達が会いに来たら、元気になるはずだからって。本当に優しいよね~」
「ちょ、ちょっと、なのは。恥ずかしいよ」
目の前でフェイトちゃんに抱きつき、至福の表情をうかべているなのはちゃん。ホンマに心配しとるんかいなと一瞬思ってしまったが、いくらバカップル病にかかっているなのはちゃんでも、友達を心配する気持ちは本当やろう。
でも、無邪気にイチャついている2人には申し訳ないけど、正直なところあまり気が進まない。すずかちゃんの気持ちを知ってしまっている以上、そっとしておく方が良いような気もする。
せやけど、ソレを説明する訳にも行かんし……どないしようかなぁ。説明が出来ない以上、わたしは理由もなく、友達のお見舞いを断ったゆう事になってしまう。ホンマ悩むなぁ。
「ええよ。別に用事もないし」
結局、わたしはうなずいてしまった……。すずかちゃん、ごめんな。
◇
そんな感じで回想終了。予定通りなら、わたしは途中で抜けて、なのはちゃんとフェイトちゃんに任せるつもりやったんやけど……。
「なのは、フェイト。すまないが、少し良いか?」
アリサちゃんも月村邸にお泊りしている事が分かり、いざお見舞いに行こうかというタイミングで、通信が入ってしもうた。
魔法文化のないコッチの世界に合わせて、突然通信が送られてくるなんて、滅多にない。その上、規律に厳しいクロノ君となればなおの事や。
それなのに送られてきたこの通信は、緊急をようするものだと誰もが分かった。
「ロストロギアが暴走している。先程、時空震の危険は去ったんだが、抑えるための人員が足りない。2人共手を貸してくれないか?」
「分かったよクロノ君。すぐ行くね」
「なのはと一緒に行くよ。どこから転送するの?」
即座に答える2人の顔にも緊張が走しる。
あれ? わたしは行かんでええんかな?
「あの……クロノ君。わたしはええの?」
2人が呼び出されて、わたしは置いてきぼり。これは、ちょう寂しいんやけど。
「あぁ、はやては昨日までの事件が大物だったからな。少しは休んで、魔力を回復してもらわないと、次に差し支えると困る。それに、今回は僕も出るから何とかするさ」
「そ、そうなん? 別に平気やよ?」
確かに、昨日まで追っていた事件は結構な大物で、疲れたかなぁとは感じてるけど。わたしはまだやれるはずや。
それに、1人でも戦力の多い方がみんなの負担を減らせるはずなんやけど。
「申し出はありがたいんだが……今、必要とされるのは高速戦闘が出来る魔道士と、長距離戦闘が出来る魔道士なんだ。それに僕の凍結魔法があればカタが付く。残念ながら、広域型の出番はないんだ」
「そっか、わたしだけお留守番になるんやな。みんな、気をつけてな」
広域型の出番はなしか。そうなると、どこか極所での戦闘なんやろうか? 洞窟とか遺跡とか、そんなところになると、わたしの魔法は使いにくいからな。
まぁ、なのはちゃんとフェイトちゃんのペアなら、何も心配はいらんやろう。ラブラブな2人に、敵はおらんからな。
「転送ポートは我が家のを使ってくれ。少し時間はかかるが仕方ないだろう。では……」
用件だけ伝えると、通信は切れた。後ろでドタバタやってた感じもあるし、本当に忙しんやろうな。
「う~ん、お見舞いに行けなくなっちゃったね。どうしよっか?」
「終わってからだと遅くなっちゃうし、悪いけどはやて1人で行ってくれるかな?」
で、当然こんな流れになる訳で……まぁ、あきらめようか。大人しく、お見舞いに向かいますか。
「うん、ちゃんとよろしく言ってたて伝えるから、安心してや。2人共気ぃつけてな~」
転送の為に帰路につく2人を見送って、わたしは月村邸へと向かった―――
◇
「お見舞いに来てくれてありがとう」
そう言って出迎えてくれたすずかちゃんは、少し苦しそうだった。でも、表情は明るく、元気になったみたい。もう平気なんかな?
そうは思ったんやけど、ホントのところは分からない。
「すずかちゃん、体調大丈夫なん? まだ、辛そうに見えるけど……」
お見舞いに来た人間が無理をさせて、症状を悪化させてしまう事もある。そんな風になってしまっては意味がない。
だから、ベッドに入って貰おうと思ったんやけど。案内された先は、なぜかテラスだった。ん~、なんや事情があるんやろうか?
「まだ少し熱があるけど、平気だよ? ご飯だってしっかり食べれてるし、明日には学校に行けるよ」
「それは良かったわ。みんなも心配してたし、はよ元気な顔見せてな」
そんな彼女の微笑む様子からは幸せが溢れていて、良い事があったのが丸分かりだ。
これは、少し突いてみてもええかな……
「ところで、すずかちゃん」
「何かな、はやてちゃん?」
うわ~、ほっぺたをツンツンしていじめたくなるぐらい、幸せそうや。くぅ、なんや悔しいし、そのぽやぽやした幸せな笑顔、崩したるで~。
「アリサちゃんが来とるはずやけど……会えるかな?」
さぁ、慌てるなり、真っ赤になるなり好きにしてや。
ちょう意地悪な質問やけど、お見舞いよりもそっちの方が気になって仕方ないわ。
この幸せそうな雰囲気、何か進展があったはずや。
「え~とね。疲れて寝ちゃってるよ?」
「そうなん?寝とるんか、残念やな。教えて欲しいことが色々とあったんやけどな」
疲れて寝てるんか……ふ~ん、疲れてね。
まぁ、アリサちゃんなら、熱があるのに無理して学校に行こうとして、止められたってのもありやけど。いつもすずかちゃんを迎えに来るわけやし、休みたくなかったんやろうな。ふむ、無理はないなぁ。
心のどこか引っかかるものを覚えつつも、わたしはそう納得する事にした。まぁ、明日には聞けるし、ええやろう。
「それにしても元気そうで安心したわ。はい、これ今日のプリントな。アリサちゃんの分も、一緒に渡してええんかな?」
バニングス邸まで持っていくのがええんやろうけど、アリサちゃんがいるなら鮫島さんが迎えに来るだろう。その時一緒に持って帰って貰えると助かる。
「うん、私が預かっておくね。後で鮫島さんが迎えに来るから、渡しておけば良いと思うよ」
良かった。正直なところ、月村邸からバニングス邸を巡り、我が家に帰るとなると距離も凄く疲れてしまう。それに、アリサちゃんがいないのに行くのも、なんや不思議なきがするし。
そんな事を考えながらカバンをあさり、プリントを取り出したんやけど……1人で運ぶには多いなぁ。
「あ~、せめて部屋まで手伝うわ。1人じゃ、ちょう辛い量やし」
まだ回復しきっていないすずかちゃんに無理をさせて、悪化させてもいけない。部屋まで送ったら、そのまま大人しく眠って貰おう―――
◇
「ごめんね~。手伝って貰っちゃって」
「気にせんでええよ。それに病人に無茶させたなんて事になったら……アカン、恐ろしくてかんがえるのも嫌やわ」
そのまま、あははと笑うはやてちゃん。
え~と、なのはちゃん達に何かされるって事かな?
そんなの心配しなくても、良いと思うんだけどなぁ。
お手伝いを断る理由もなかったし、2人で一緒に運んだんだけど……部屋の前まで来て、失敗した事に気が付く。
今、ベッドの上ではお姫様が眠っている。
別に問題ないし、私としては嬉しいんだけど。はやてちゃんに見られちゃうと、少し困ったことになる気がする。スヤスヤと眠るアリサちゃんを見て、何かに気づいてしまう。私達の関係が変わって、どうなってしまったかを……。
私としては、大歓迎なんだけど。
明日の学校で、どんな風になっちゃうのか簡単に想像出来るし、ちょっとこまるなぁ。
「ん? すずかちゃん、どうかしたん?」
ドアの前で固まってしまった私を、心配しているはやてちゃん。優しいし、純粋に体調を心配してくれているのだろうけど……。
「何でもないよ。ごめんね、今開けるね」
面白いことを見つけた時は、その優しさもどこかへ飛んでいっちゃう。
でも、ここで止まっていても何も進まないし、私はドアを開けることにした。
「机の上に置いてもらって、良いかな?」
良かった。アリサちゃんは布団を深くかぶって静かに寝ている。これなら気が付かないかもしれない。
「お邪魔します。あれ? にゃんこ達はいないんやな」
「流石にいないよ~」
私の部屋には、中々来ないけどね。
縄張りがないと言われている猫達も、遠慮はしてくれるみたいで、他の人がいると入ってこない。
「さて、と……プリントも渡したし、元気な姿も見れた。夕飯の買い物もせなあかんから、わたしはそろそろおいとまさせてもらうわ」
「え? もう帰っちゃうの?」
アリサちゃんが静かに寝ている事もあり、お話する相手が欲しかったんだけどな……。
みんな意外に思うかもしれないけど、はやてちゃんは口が堅い。喋らないでってお願いすれば秘密にしてくれるし、バレちゃう前に私からアリサちゃんとの関係を話して……ううん、ちがう。私は聞いて欲しい。はやてちゃんには悪い事しちゃうけど、ちょっと自慢させて欲しいの。
「せわしない感じで悪いんやけど、今日はお肉の特売日なんよ。シグナム達も早く帰ってこれるし、ちょう豪華にしようかな~と」
「そうなんだ……。気をつけてね」
はやてちゃんの返事は、小学生のものだと思えない。でも、考えてみれば八神家の食卓を預かっているのは彼女だ。美味しいものを作ってあげたいと願う、彼女の邪魔をしたくない。
残念だけど、仕方ないよね。
「まぁ、明日には学校で会えるし、そん時にでも教えてもらうわ」
覚悟しといてや~と、笑いながら歩くはやてちゃん。そんな彼女を見送ろうとした時、私は気が付いてしまった。
ベッドの中でアリサちゃんが動き、パサリと音を立て、ソレが落ちた事に。
「ん?これは……ドレスかな?」
「う、うん。今度着るから、ちょっと合わせようかな~と思って」
おそらく邪魔だからと、脱いだドレス。あちこちにシミができ、すその方なんてボロボロ。
でも、このドレスを着たアリサちゃんは輝いていた。
恋人だから、色眼鏡でみてるのかな? それでも良いけどね……って、それどころじゃないよ!
さっきのでごまかせたとは思えないし、きっと気が付いちゃったよね。
「ふ~ん、えらく汚れとるドレスやな。……ちゃんと洗わんと、アリサちゃんに嫌われてしまうよ?」
あれ? いつもだったら、にやにやしながら聞き出そうとするのになぁ……。
「まぁ、何があったかは、明日にでもしっかり離してもらうからな。すずかちゃんも、今日は大人しく寝とかんとあかんで~」
それだけ言い残すと、はやてちゃんは帰ってしまった。
後に残された私は、ほっとしたような、残念なような。不思議な気分だよ――
◇
「一緒のベッドで寝る仲になってしもうたんか~」
気付かれていないと思っていたみたいやけど、部屋に入った瞬間にベッドにドレスがのっていて、誰かが眠っているのは分かった。
それ以前に、ドアの前であれだけ固まっていれば、部屋の中に何か見られたくないものがあるのは丸分かりや。
「それにしても、幸せそうやったなぁ」
さっき、ベッドを見ていたすずかちゃんのまなざしは、とても優しいものだった。それだけで誰が眠っているのか予想はつくし、少し聞いてみようかとは思ったんやけど……わたしもそこまでする程、野暮やない。明日には登校してくるみたいやし、そん時にでもゆっくりな。
まぁ、大方はノロケ話になるんやろうけど、しっかりと聞かせてもらうで~。
恋人達に祝福あれ――
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魔法少女リリカルなのはシリーズより
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