No.944137

マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第49話<艦娘は何処から>

しろっこさん

美保鎮守府の艦娘たちもブルネイに居る量産型艦娘と少しづつ交流を始める。意外にも量産型の彼女たちにも普通の艦娘と同じ面もあるようだった。

2018-03-06 21:29:03 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:553   閲覧ユーザー数:553

 

「ししし、失礼します!」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第49話(改2)<艦娘は何処から>

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 再び配膳担当の吹雪たちが来て食器を片付け始めた。

すると美保の金剛が積極的に声かけする。

「ブッキー(吹雪)元気ぃ?」

 

ニコニコしながら少し屈(かが)んで吹雪の顔の前で手を振る金剛。

だが当の吹雪は、きょとんとした表情で硬直している。

 

すると比叡が後ろから声をかけた。

「お姉さま、量産型ですから……私たちのこと知っているわけ無いですよ!」

 

「あぁ、そっかぁ! それは残念だネ……」

金剛は、いつもと違う雰囲気に、ちょっと恥ずかしかったのだろう。珍しく頭に手をやっていた。

 

だが量産型の吹雪は比叡の顔をじっと見ていた。ふと、それに気づいた比叡は金剛と並んで吹雪の前で中腰になって微笑んだ。

「どうかしましたか? 吹雪ちゃん」

 

「……え、あ……いえ」

ちょっと頬を赤くする吹雪。

 

(おや?)

これには私も意外な印象を受けた。量産型の彼女たちは今まで無表情だったから。

 

でも後ろから叢雲に小突かれた彼女は直ぐにハッと我に帰ったような表情になる。

「ししし、失礼します!」

 

ぎこちなく敬礼して一礼した吹雪。

 

「……」

呆気に取られたような金剛姉妹を尻目に彼女たちは食器を抱えてワゴンへ向かう。

 

それを見ていた赤城さんが微笑んで言った。

「あれは……いつもの吹雪ちゃんの感じね、何となく」

 

「うん、うん。吹雪チャンっぽい」

夕立も同意する。

 

(なぜ比叡に反応を?)

ちょっと疑問が湧いた。

 

「……どうも量産型ってのは掴みにくいな」

意外に技術参謀も呟いた。

 

 配膳の駆逐艦娘たちが一礼して退出すると雰囲気を変えるようにブルネイが声をかけた。

「打ち合わせは15分程度で、その後は演習準備だ。5分前には人を寄こすよ。俺も準備があるから……いったん失礼する」

 

 敬礼をしてブルネイと技師も退出する。急に会議室は静かになった。

壁の時計を見ると13時過ぎていた。

 

 私は揺れる椰子を見ながら考えた。

(休憩後、簡単な打ち合わせをして艦娘たちは演習の準備……という流れになるだろう)

 

だから昼食後、演習予定時刻の14時までは時間がある。

 

「よし皆、適当に座ってくれ」

技術参謀の声かけで各自は着席した。

 

「さっきの技師に午後の資料をもらった。まずは相手側のメンバーだが、えっと……」

彼女はチョッと間を置いて一覧を読んだ。

 

「比叡が2って……二人なのか?」

参謀自身が驚いていた。

 

だがそれ以上に比叡も目を丸くしている。

「えぇ! 私が……二人も?」

 

その反応を見ながら参謀は続けた。

「それに龍驤と龍田、伊勢と……何だこれは?」

 

呆れたような参謀。

「メチャクチャな組み合わせだな」

 

「伊勢……」

姉妹艦に日向が反応していた。

 

 夕張さんが補足説明するように言う。

「聞いた話では基本的に戦艦は出難いと言いますけど……それが一度出ると今度は連続して同じ艦が出現することも多いとか」

 

技術参謀も腕を組んで頷く。

「まあな。話は聞いていたが現場はこんなノリだろう」

 

「これが量産化……」

他の艦娘たちは戸惑っていた。

 

 未来のブルネイでは既に組織としての秩序があったから違和感が無かった。だが現代のブルネイの混沌ぶりは戸惑う。

 

「これが実験? やな感じ」

夕立がボヤく。

 

「我々は彼女たちを単なる機械と割り切るしかないのか」

納得が行かない表情の日向。

 

龍田さんも呟く。

「これも戦場の狂気ね」

 

その言葉に私は鳥肌が立った。

軍隊は非情とはいえ艦娘の指揮官としては、やり切れない想いだ。

 

「量産型の基本的な性格は既存の艦娘と、ほぼ同一になるらしい。だが後天的な経験値や記憶内容は異なる。今日の相手は実戦経験の無い、まっ更な自分自身と考えて差し支えは無い」

技術参謀の淡々とした説明が続く。

 

赤城さんが呟く。

「想い出……か」

 

「やるせないな」

呼応する日向。

 

(そうか、今日の相手に伊勢が居るんだよな)

日向は当然、伊勢を知っているだろうけど私は初めて出会うのだ。

基本は同じ型の艦娘と言え、やはり妙な感覚だな。

 

「量産型はクローンに近いですがオリジナルから取り出す訳ではありません」

思い出したように祥高さんが言った。

 

すると技術参謀は真剣な表情で続けた。

「そもそも彼女たちの魂は、どこからやって来るのか? 私自身が言うのも変だが一切不明なのだ」

 

「それは艦娘や人知を超えたもの……ですか?」

青葉さんが問い掛けるが反応はなかった。

 

間を置いてから技術参謀は再び書類に目を落として説明を続けた。

「演習の勝利条件もあるな……まず制限時間は30分」

 

その内容に未来の演習を思い出したのか艦娘たちは笑った。

他の内容は以下の通りだった。

 

・時間切れまでに旗艦を撃沈判定にするか艦隊を全滅させた方が勝ち。

・勝利条件のどちらも満たされていない場合、美保鎮守府の勝利となる。

・過度の攻撃、その他残虐な行為は禁止。

 

……未来のブルネイと瓜二つだった。

 

(これをずっとコピーして使っているんじゃないか?)

そんな思いも湧いた。

 

参謀は総括する。

「皆、一度経験もあるから心配はしてない。私からは改めて付け加えることも無い。演習だがケガに十分気をつけて戦ってくれ。司令からは何かあるか?」

 

振られた私は立ち上がった。

「2回目とはいえ自分自身と戦う者もいる。混乱する面もあるだろうが貴重なデータ収集の意義も大きい。無理を押し付けるようで申し訳無いが精一杯戦って欲しい」

 

「艦娘は戦う為に存在するから別に気にすること無いネ」

金剛は明るく応えた。

 

……だが言っている本人も何処と無く上(うわ)の空といった感じだ。そう言い聞かせて自分を納得させようとしているのか。

 

そのとき会議室のドアがノックされた。

「失礼します」

 

ドアが開いて五月雨が入ってきた。

「演習の、お迎えに上がりました」

 

「あぁ分かった……以上だ」

参謀は書類を閉じた。

 

「全員、起立!」

日向が声をかけて艦娘たちは起立した。

 

「よし、演習へ出動だ」

『はい』

私の命令に合わせて全員が敬礼した。

 

なぜか入り口の五月雨も敬礼をしていた。妙に可愛らしいな……。

 

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 

 

 


 
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