No.942250

【創作小説】近未来文明が残る惑星 1話

meguro さん

こんにちは、meguroです。久々にまた小説が書きたいと思い投稿しました。
創作小説になっています。
また、一話辺り3000文字ぐらいのボリュームになっています。
戦国時代に見せかけたSFファンタジー作品に挑戦してみました。

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2018-02-19 23:18:27 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:529   閲覧ユーザー数:529

                「近未来文明が残る惑星 」

 

 

これは、とある探査員から断片的に送られてきた、惑星探査活動の記録である。

 

 

人類が地球を離れて150年経った時代、木星付近に位置する45番目のスペースコロニー(X-212通称レガリア)に住む少年リックはある日、同じ軍の部署で働く仲間に呼ばれた。

 

 

ノア「ねえ、リック!これ、大佐からリックに渡すように頼まれたんだけど」

リック「ああ、有難う。でもなんで大佐が軍に入隊したての俺に用があるんだ?」

 

仲間のノアから渡されたのは、リック宛の手紙だった。

手紙には、文章ではなく簡略された手書きの地図が描かれていた。

 

リック「…ここに来いって事なのか?」

突然の上官からの意味不明な手紙を貰いリックは困惑する。それを横目にノアはニヤニヤとからかう様に笑う。

 

ノア「なんか大変そうだね。あの大佐からの話となると面倒な任務なんだろうね。まぁ頑張って!」

 

そう言ってノアから助言らしい言葉を聞きつつ、手紙に描かれた場所に向かった。

 

 

 

地図通り指定された場所に到着すると、そこは誰もいない上官のみ立ち入りが許される部屋だった。

 

リック「…惑星探査部署…?ここなのか…?」

 

惑星探査、文字通りまだ人類が移住していない惑星に行き、その惑星が人類移住に適しているかどうかを調査する部署であり、特に珍しい部署や任務ではない。ただ…

 

リック「…なんで俺みたいな一番下っ端が軍でも特に重要な部署に指名されるんだ…!?」

 

??「困惑してないで、さっさとお入り!」

リック「は、はい!リック・アーガスト入ります!」

 

室内で待っていた大佐がしびれを切らしたのか、扉の前で困惑するリックに声を掛ける。

 

室内は惑星の探査機関らしく、地球儀やコロニー付近にある惑星の情報が書かれた情報などあった。

 

エリザ大佐「はじめまして、リック・アーガスト。私は宇宙連邦軍レガリア惑星探査機関代表のエリザ・ユミケイルである。階級は大佐。宜しく頼むよ」

リック「はい、自分は一ヶ月前に宇宙連邦軍レガリアに入隊した…」

エリザ大佐「リック・アーガスト二等兵だろう?君の事は事前に調査したよ」

 

上官らしくない気軽な喋り方をするエリザ大佐、なぜ俺はここに呼ばれたんだろう。

 

エリザ大佐「それで、あまり時間がないから単刀直入に君をここに呼んだわけを話そう。」

 

 

「リック・アーガスト二等兵に、惑星テラフェの現地調査に行ってもらう。そしてこれは極秘任務だ。」

 

 

リック「…惑星テラフェ…?すいません、勉強不足でどこの惑星なのか分かりません…」

 

大佐からの重要な極秘任務を任されたのに、惑星テラフェの事が分からず混乱し赤面するリック

エリザ大佐「知らないのも無理ないよ。だってこの惑星の存在自体、国家秘密だからね。軍の上の人間は何人かこの惑星の存在を知っているよ。でも、一体どんな惑星なのか、水はあるのか空気はあるのか、どんな生物がいるのか、人類が将来移住出来そうかなど、現地に行って調査する任務だよ。」

 

エリザ大佐は親切に任務の説明をする。

 

エリザ大佐「君は軍に入隊する前は、宇宙生物遊撃隊にいたんだろう?彼らは宇宙船で各場所を移動する。この任務は惑星テラフェの現地調査も大切だけど、即制に到着するまでの長旅もあるから、宇宙船での生活に慣れている君を調査員に加えようと思ってこの任務を君に任せた。」

 

なぜ自分が任務に選ばれたのか、その理由がハッキリし少し不安が無くなったリック。

 

エリザ大佐「よし、覚悟は決めたようだね。さっきも言った通りこれは極秘任務である。家族、友人、軍に関係する人間には絶対に任務の事は言わないでほしい。」

 

そして、大佐の「いい報告を期待している」という言葉を最後に、リックは部屋をあとにした。

 

 

 

惑星テラフェ…それは今は生物が住めないほど、有害ガスと放射線で満ち崩壊した地球の真下に古代の頃と同じ緑と青い海で覆われた、地球にそっくりな惑星。 

 

そしてリックは極秘任務の為、出発当日に家族や友人には何も言わずに準備をし地球行きの高速小型宇宙船に乗り込んだ。そしてついに任務開始時刻と共にコロニーレガリアを離れ同じ調査隊の仲間3人と地球を目指すのだった。

 

 

調査員エミリー、アルベルトと共に惑星テラフェに到着までの間、長い船旅が始まった。しかし、スペースコロニーレガリアを旅立ってから42日目でリックの運命は大きく変わった。

 

まもなく惑星テラフェに到着することもあり、調査員がそれぞれの任務や研究レポートをまとめている時に突然、船内に警報が鳴り響く。

 

エミリー「何!?この警報は!」

アルベルト「た、大変だ!奴らが船に接近している!」

 

それは宇宙連邦軍、特別排除対象になっている宇宙生物だった。ヤツらは、鉄、エンジンオイル、生物の肉だろうとなんでも食べる生物であり、特に人間の肉に執着している。

 

アルベルト「マズい!船の後方からやってくる!確かそこには…!」

 

一方その頃、自分の部屋でレポートをまとめていたリックは大音量の曲を流したイヤホンをしていた為、警報音は聞こえなかった。

 

リック「…出発してから42日か…皆どうしているかな…」

そう、しばらく帰れそうにない故郷に思いを寄せていると、宇宙船の窓に何か一瞬映った。

リック「え?」

窓に近寄って外の宇宙風景をのぞき込むが、特に変わった事はない。

 

「リック―!リック!無事!?」「おい、大丈夫か!?」

 

自分を叫ぶ2人の声と足音が聞こえた。

リック「ど、どうしたんだ2人とも、こんなに焦って…」

エミリー「その窓から離れてッ!!」

 

エミリーの叫び声と共に大きな爆発音と体の倦怠感を覚えた

 

次に気が付いたときは、エミリーとアルベルトが血まみれで倒れていた。

 

リック「…あ、ああ…なんで、どうして!?」

 

2人のそばに駆け寄るとエミリーが死力を絞って呟いていた

エミリー「リック…お願い、貴方だけでも逃げて…」

リック「なんだよ!何が起きたんだ!?」

 

いや、知っていた。奴の噂を人間を食らう宇宙生物の事を。

もし2人を殺したのはそいつなら、自分には勝目はない。

 

あの時、イヤホンを外して警報を聞いていれば、窓側に寄らなけば、こんなことにはならなかったはずだ…

 

もうすでに息途絶えて冷たくなっているエミリー、無残な死を遂げているアルベルトを見て、自分のせいだと嘆くリック。

 

           「…スケ…助ケテ…」

 

ふと自分の背後でその言葉が聞こえた。

 

そこにいたのは、透明のスライムの様な物体がウネウネと動きながら彩度の高い緑色の電流を発していた。だが、発しているというよりは、何者かに電気で攻撃されて苦しんでいるようだった。

 

 

           「ケ…タス…タスケテ」

 

間違いなく人類ではない宇宙生命体だ。時々、頑丈にセキュリティーをしても船内に宇宙生物が入り込んでくる時はあったが、ほとんどが人類に無害なモノ達だった。

 

リック「…ごめん!お前を助ける時間は無いんだ!」

 

そう、もがき苦しむ様な動きを見せる銀の宇宙生物を無視し、俺は緊急用離脱の小型宇宙船へと急いで向かった。

 

 

人食い宇宙生物襲来の影響で船内は赤い照明に切り替わり、警報が鳴り響いていた。

 

リック「ハア、ハア…ここか!これが避難用宇宙船の入口だな!」

 

片手に宇宙船の訓練書を持ち、緊急避難用の小型宇宙船に乗り込む。そこは、宇宙船の操縦席になっていて、一人しか入れない狭さだった。

 

自分が入っていた出入り口の頑丈な円形型の扉を閉める。扉を閉めた途端、システムが発動し、宇宙船からの強制離脱のカウントダウンが始まった。

 

緊急脱出の準備をしながらリックはふと思った。

ずっとこの長旅を共にしてきたエミリーとアルベルトの事を…。

恐らく今助けに行っても間に合わない。でもまだ助ける方法があるんじゃないのかと2人を見殺しにした自分を責めた。

 

        「50秒後に本船と緊急離脱します。」

 

アナウンスが流れた。今は緊急事態だ、しっかりしないと自分の命まで危ない。

操縦レバーを操作すると、目の前に白い惑星が見えた。

月だ。地球の近くにある惑星だ。目的地のすぐ近くまで辿り着けたのだ。

 

 

            ドォオオオーーーン

 

背後から大きな爆発音と衝撃が鳴り響く。

 

リック「は、早く脱出しないと!!」「脱出します!」

 

アナウンスの音声と共に船の衝撃波に乗るように船から離脱に成功したが、強い衝撃でリックは一瞬意識を失った。

 

 

どのぐらい時間が経っただろう。確か自分は……

ぼんやりと意識を取り戻す。しかし、脅威はこれで終わりではなかった。

 

 

              ベチッ

 

何かがぶつかったような鈍い音がした。恐る恐る音がした方に目を向けると、さっき目撃した銀色の宇宙生物が円形型の窓に張り付いていた。

   

「緊急警報!周辺に複数の生命反応があります!」

 

リック「…まさか…俺はここで死ぬのか…?」

 

またもや警報音とアナウンスの声が鳴る中、船は無数の銀色のスライム型の宇宙生物に囲まれていた。奴らこそがこの船を襲い、二人を殺した生物であった。

 

リック「クソ!囲まれてる!早くコイツ等から逃げないと!」

 

銀色の宇宙生命体は、ある程度体が大きくなると爆発しアメーバのように、繁殖すると遊撃隊にいた頃上官から聞いた話だった。

 

         「目的地 地球 間もなく到着します」

 

リック「---っこれが……地球?」

 

銀色の宇宙生物に追われていて気が付かなかったが、もう目的地のすぐそばまで来ていた。

目の前のコックピットに写る画面にリックは驚いた。

 

そこは昔の青く美しい星ではなく、惑星の周りには鋼の様なゴミ屑が大量に隕石と共に浮遊していて、星は全体的に白っぽいまるで凍り付いた惑星の様だった。

 

リック「…やっぱり、地球は死の星になってしまったのか。…でも、あれは」

 

白くなった地球の真下に青く輝いている惑星を見つけた。

 

あれこそが、リックが長旅をしてきた目的の地、惑星テラフェであった。

 

生命活動をやめた地球と、かつての地球の様に美しく生命を育んでいるように見える惑星テラフェ。まるでお互い鏡の様に位置していた。

 

 

            

           ドォォォォォンーーー!!

 

また宇宙船に大きな衝撃が響く。あの宇宙生物たちが飽きもせず再び襲ってきたのだ。

リック「駄目だ、今ので着陸装置が壊れている!もう、どうやって着陸するんだよ!」

 

宇宙船の着陸装置がないまま、大気圏突入の強い衝撃と熱波で船内も高温状態になっていた。最悪の場合、死を決意しつつ大気圏を抜けた円形型の窓を見ると一面濃い青、紺色の様な場所が見えた。

 

そして強い鈍い音と共にみるみる液体が船内に浸水する。

 

 

    「海水が侵入しています。直ちに脱出せよ。脱出せよ」

 

運が良いのか悪いのか、不時着した場所が海だった。宇宙生命体の攻撃と大気圏突入時の影響で船の所々から海水が浸水し、リックは無我夢中で船の外に脱出に成功する。あの時、宇宙服ではなく、普通のラフな普段着を着ていてよかったと一瞬安堵する。しかし、リックは泳ぐのは不慣れな為、陸地に着くのにこれまた死を覚悟するほど苦労した。

 

 

リック「…ハア…ハア…海…砂浜が…ある…もう泳ぎたくない…」

 

そしてリックは運良く海岸に流れ着き、疲れ果てそのまま意識を失ってしまった。

 

思い返せば、突然の極秘任務、未知の惑星、宇宙生物の襲撃など命からがらで生き延びたリックだったが、この惑星でも様々な困難が待ち受けていた。

 

 

 

 

                                      第2話につづく

 

 

 


 
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