◯月△日
前略 叔父様ーー
ワタシは今、お世話になっているプロダクションに居ます。
ワタシのブティックの常連さんであるネットアイドルの蛍ちゃんから、緊急の呼び出しがありました。
同じく常連さんである歌手の月子ちゃんと、アイドルのやよいちゃんが居ました。
3人の他にプロダクション社長も居り、皆一様に険しい顔で何やら考えているようでした。
詳しく聞いてみると、この街で開催決定した世界のトレンドを決める大会「ワールドオブガールズモード」に向けた3人の衣装について話し合っていたらしい。
有名デザイナーに依頼する意向の社長に対し、当の本人達はワタシに衣装をデザインをして欲しいとの事で真っ向に意見が割れたらしい。
3人ともずっと一緒に衣装を選んできたワタシ以外は考えられないとの事だった。
ここまで信頼してくれて…とても嬉しい。
けれどワタシはデザイナーとしての経験がない。
というかデザイン自体苦手で出来ないのだ。
無理です!
お疲れ様でした!
断る以外の選択肢は無かった。
かといって、ストレートに断るのもワタシをデザイナーに推薦してくれた3人に申し訳ない。
どう断ろうか思案する為、しばしワタシは無言で社長を見る。
えっ!?
ちょっといいですか?
「出来たらNIN10プロまで持ってきてくれ。直ぐにパタンナーに手配する。」
ちょっといいですか?
「楽しみにしている。」
お疲れ様でした。
嗚呼、トモロウ叔父様といい何故この街の人々は強引に物事を進めるのだろう。
その時、社長が安堵した表情だったと後に3人から聞かされたがーー
断るタイミングを逃し、呆然とするワタシは気づかなかった。
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ショップに帰り、どうしたものかと考える。
事務所に言って断ろうとも考えた。
強引に請け負わされた仕事とはいえ、放棄するのはワタシの流儀に反する。
1人で悩んでも埒があかないので、アルバイトのケン君に一部始終を話し意見を求める。
流石、ベテランのショップ店員だけあって参考になる意見が多々ありワタシの中でデザインが少しずつ形になりつつあった。
「まぁ着る本人達に希望を聞くのが一番だと思いますね。」
それもそうだと思い、ワタシは3人に希望を聞きに行く事にした。
3人に個別に会い、衣装についての方向性を密に話し合った。
やはり希望するテイストは3者別々だった。
『頭に飾りが欲しい』
ただ一つ一致していた意見。
それを持ち帰り、ワタシは机に着きイメージを沸かせる。
髪飾りをデザインしていく最中、急にイメージが降りてきた。
忘れないよう、ワタシは急いでイメージを描き写す。
細部と生地のデザイン、カラーも次々とイメージが湧きワタシの手は止まらなかった。
デザイン画が完成し、ワタシは事務所に行き社長に見せた。
特にNGなどなく、衣装の完成を待つだけとなりワタシはほっと胸を撫で下ろした。
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なんやかや言うて順調やと思います(*・∀・*)