No.933743

マイ「艦これ」「みほ3ん」EX回:第40話(改2)<解放>

しろっこさん

再び謎の空間に突入した司令たち。果たして、この空間から脱出できるのか?

2017-12-18 21:55:49 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:552   閲覧ユーザー数:552

 

「……我々の期待を裏切るなよ」

 

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マイ「艦これ」「みほちん」(第3部)

 EX回:第40話(改2)<解放>

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 妙なビリビリした電流が再び機体全体を覆った。機内のあらゆる金属部分から青白い放電が始まっている。

 

「ぎえええぇ!」

「お姉さまぁ!」

金剛姉妹の二人は揃って頭から青白い火花を散らしている。

 

 これが扶桑姉妹のように生真面目な戦艦娘だったら気まずくて大変そうだ。お互い場が持たないだろう。

 

 だが金剛姉妹だと多少は笑いが入るくらいが自然なのが救いだ。だから二人の大声での掛け合いも何となく板についてきた。

 

 その一方では龍田さんは余裕の表情だ。

頭に浮いている謎の円盤と自分の刀で器用に放電させている。そもそも、あの円盤は宿主に危害を加えない仕掛けらしい。

 

 このビリビリ現象が、ようやく起きたことは嬉しい。だが直ぐに驚く現象が起きた。一番派手な金剛姉妹の被り物からの放電が徐々に収まっていく。

 

「あれ?」

比叡が頭に手をやる。自分でも分かるようだ。

 

「やだ、気持ち悪いぃ」

これは夕立。あの金髪は相変わらず静電気で派手に爆発したままだ。放電は収まっても電通はあるらしい。

 

 気になって横の技術参謀を見る。すると彼女のインテリな眼鏡からは、やはり放電現象が起きていない。

(ひょっとして、この嵐は来るときと違うのか?)

 

 私の不安そうな雰囲気を察した技術参謀。こちらを見て言った。

「司令、どうした」

 

「いえ……来るときは金剛の被り物から激しく放電がありましたが今回はあまり無いようです」

 

「ああ」

彼女は頷く。

 

「私もアレは苦手だ」

「はぁ」

参謀はポケットからシートを取り出した。

 

「二度と恥は晒(さら)すまいと思い放電シールを作ってみた」

「ええ?そうだったんですか」

私は思わず来たときの青葉さんのスクープ写真を思い出していた。あれ、どうなったかな。

 

彼女は続けた。

「意外に効果があるな。まだ試作だが金剛姉妹にも念のために渡しておいたから、ほら……」

 

参謀が顎(アゴ)で指した先の金剛姉妹からも、まったく放電現象は起きていなかった。変な放電が起きないので金剛姉妹は直ぐに落ち着いた。やれやれ。

「おい司令……」

 

すると彼女は、いきなり改まったように声をかけてきた。

「はい?」

 

思わず振り向いた私に参謀は真顔で言う。

「いいか、人間は常に進歩するものだ。艦娘の私が言うと、ちょっと説得力に欠けるがな」

「はぁ」

 

彼女は指を立てる。

「だが私はケッコンをして人の血も受けて悟った世界は多い」

「……」

 

黙った私に構わず参謀は続ける。

「あの寛代もそうだ。人の生命力の神秘というものは限りが無い。人は不可能な現実や現状に甘んじ留まるべきではないのだ」

 

何かを諭されたようだ。

 

「ハッ」

思わず私は腰掛けたまま背筋を伸ばして敬礼をした。

 

「私だって偉そうな立場には居るが日々葛藤だ」

彼女は前を向いた。

 

「半分人間の血を受けて、それが増した。実に厄介だな人間と言うものは」

 

(これは独り言なのだろうか?)

私は考えてしまった。

 

「だが」

参謀は、こちらを向いて話しかけてきた。

 

しかし私の様子を見て直ぐに呆れた。

「おい、変に硬くなるなと言っただろう!」

「はっ、恐縮です」

「本当に進歩がないな、お前は……」

 

彼女の表情が少し緩んだ。

「まあ良い。それもお前の個性だ」

 

再び真顔になり表情が険しくなる参謀。

「だが司令、お前の立場は決して一人だけのものではない」

「はい」

 

彼女は機内を見回した。

「指揮官という立場には多くの人間や艦娘が連なる。それをもっと実感できるよう努力しろ。それもまた司令の重要なシゴトのうちだ」

「はぁ……」

 

「だから情けない顔をするな!」

いきなり叱責されてビックリした。周りの艦娘たちも驚いてこっちを見ている。

 

 ただ赤城さんも黒髪が空中で大爆発しているのだが本人は真顔で煎餅を食べ続けていた。

 

 参謀は艦娘たちの反応を見て再び表情を緩め肩をすくめた。

「まったく単純過ぎる。いや逆に考え過ぎか? お前は……」

 

「はっ、気を付けます」

実は『恐縮です』と言いかけて止めた。また怒られそうだったから(笑)

 

「まぁ、良い」

彼女は座席で大きく手を伸ばしてから頭の後ろに手を組んだ。

 

 まだ変な空間にいるにも拘らず余裕綽々だ……きっと参謀には脱出できる確信があるのだろう。その姿勢には何か安心感すら漂ってくる。さすがだ。

 

 それを見て私も正面を向いた。

あのブルネイの大将にも人格的に大きなものを感じた。同じように彼女もまた単にその位置に居るわけじゃないのだと思った。

 

 すると改めて思い出したように口を開く参謀。

「本省の青年将校が居ただろう」

「はぁ」

「あいつもお前を買っているんだ……我々の期待を裏切るなよ」」

 

その言葉に私はハッとした。

(いきなり言われた感じだが……)

 

 そして窓の外が突然、明るくなった。いつの間にか雷鳴は消え機体の振動も急に収まっていた。

 

「嵐から脱出したようです!」

「助かったのか?」

機内から艦娘たちの歓声が上がる。副長も思わず握り拳を突き上げていた。

 

前の席から寛代が振り返って私を見ていたが、その顔は珍しく笑顔だった。 

 

 輝く窓の外を見ながら参謀は言った。

「戻ったな、司令」

 

「ハッ」

私たちは、ついに解放されたのだ。太陽が眩しかった。

 

「ねえ、アレ見て!」

夕張さんが窓の外を指差して叫んでいた。その指し示す先の雲海には大きな虹の輪が出来ていた。

 

「わぁすごい、すごい!」

「虹って輪になるんですね……」

「美しいわぁ」

感嘆の声を上げる艦娘たち。

 

「幸先(さいさき)がいいな……」

参謀が呟く。

 

それを見て私も『本当に帰ってきたのだ』という実感が、ひしひしと湧いてきた。

 

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※これは「艦これ」の二次創作です。

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サイトも遅々と整備中~(^_^;)

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PS:「みほ3ん」とは

「美保鎮守府:第三部」の略称です。

 

 


 
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