No.930233

ポケモンDPt 時空神風伝 44

フウイさん

ポケモンのUSM発売も、いよいよって感じですね。
ポケモン赤も殿堂入りできたし、遊ぶ瞬間が楽しみです。

2017-11-16 18:02:09 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:561   閲覧ユーザー数:561

 

クウヤ、出生の秘密

 

ギラティナに許され、アカギを倒し、ユクシーとエムリットにアグノムの力を借りて現実世界のやりのはしらに戻ってきたクウヤ達。

そこで待っていたのは、赤い鎖を壊しディアルガとパルキアを解放したというジュンとコウキとヒカリだった。

 

「でも、ゲンさんまでここにきてたなんてビックリだぜ」

「驚かせたね、クウヤくん。

にしても・・・君ならやりかねないとどこかで思っていたが、まさかこの戦いに終止符を打つとは・・・やはり君はすごいトレーナーだな」

「・・・ううん、それは違うぜ、ゲンさん」

 

ゲンの賞賛に対し、クウヤは首を振って否定した。

 

「おれが頑張れたのは、ポケモン達がいたからなんだよ。

だからアカギを止められたし、ギラティナも許してくれた・・・なにより、ここまでこれたんだ。

本当におれ一人だけだったら、多分なんもできなかった。

完璧な存在なんかじゃねーしな、おれも」

「完璧な存在?」

「ああ、アカギは自分のことそういってたんだ。

あいつにおれが不完全だなんて言われても、おれは違うって言い返せない。

だっておれは、リクガみたいに頭が良くねーしラカイみたいに特別な才能を持ってねぇからよ」

 

初めて聞く名前だ、と思いゲンはクウヤに問いかける。

 

「リクガに、ラカイ・・・その二人は君の友達かい?」

「ああ、おれにとっては自慢の友達で仲間でライバルだよ!

二人ともすっげーしっかりしてて、頭も良くて、バトルだって強いんだぜ!

だから、おれもその二人に負けないことを目指してるし、その二人までにいかなくても・・・おれはできることをやりたいんだ。

だから、ここまできたんだよ」

 

彼らに何度も頼ったり、また助けられたりもした。

だからなにかあったら力になりたいと思って、クウヤは努力を今も続けている。

なによりも、別の道を進んでいる今でもクウヤは彼らを信じている。

 

「上がいても下がいても、おれはそれでもいい。

もしもこんなバカなおれにも、できることが一つでもあるなら・・・そして、それをわかってくれる人がいるなら・・・。

おれは、それをやりたいんだ」

 

クウヤの言葉を聞いたゲンは、ふっと微笑む。

 

「その強い気持ちが、多くの人をうごかすんだな。

そして、伝説のポケモンも・・・」

「・・・そうかな・・・そう思ってもいいかな?」

「当たり前だ、君はそう主張し結果も残した、誰も文句は言えまい」

 

 

一方、ギンガ団はといえば、マーズとジュピターはアカギの帰還を喜びならがも2体の神を逃す手助けをしてしまったことを詫び、サターンは通信機でアジトが国際警察と四天王により制圧されたことを報告した。

 

「・・・私も、この少年に敗北し己の罪を認めざるを得なくなった。

お前達を責めることなど、私にはできない」

 

と、部下の失敗を咎めず己の失態を告白した。

やりのはしらを離れテンガン山を降りたあとでアカギはシンオウ全体のギンガ団に自分は降伏し警察に連行されることを報告、ギンガ団はこれより解散するとつげた。

マーズとジュピターはそれにおとなしく従い、彼とともに警察に連行されることになった。

 

「アカギ」

 

警察の車がこちらに向かってくるのをみながら、クウヤはアカギに話しかける。

アカギはクウヤには視線だけ向けた。

 

「お前はずーーーっと、完璧ってものにこだわってた。

だけど完璧じゃなくてもいいんだって、今ならわかるだろ?」

「・・・」

「まぁ、ずっとそのまんまだったわけだからすぐには無理かもだけどな。

でもギンガ団は結局一人じゃないし、おまえもおれよりは頭がいいから結構早い時間、わかるとおもうよ」

 

アカギにそう話しているクウヤをみながら、シロナは3人に語った。

 

「完璧にこだわってそれを押しつける人間は・・・自分がそうでないから、そうなれないのをわかってるからなのかもしれないわね・・・」

「シロナさん」

「だから、そうでなくとも自分を認めてくれる人が一人でもいれば、深く抱え込まずに、心を強くもてるってこと。

アカギにとってはギンガ団、特に幹部の人たちであることが一番よね」

「ええ」

「そうですね」

「ああ」

 

シロナの言葉に3人が同意したとき、ようやく警察官がそこに駆けつけ、シロナと敬礼をかわし

最後に、アカギはクウヤに向かって言った。

 

「?」

「・・・刑を終え署をでたら・・・再び世界を私の望む世界にする術を探すつもりだ・・・。」

「なんだよお前、諦め悪いな!

そういう陰気な態度、すっげぇかっこわるいぜ!」

「ちょっと、アカギ様になんて口を!!?」

 

マーズとジュンが口喧嘩を始め、ジュピターとコウキとヒカリは一度互いの顔を見た後ではぁ、とあきれたため息をもらす。

クウヤもそれに苦笑しながらも、手錠をつけられ警察の車に乗り込もうとしたアカギに向かって言った。

 

「・・・そのときは、おれが何度でもお前を止める!」

 

それを聞いたとき、アカギは一度動きを止めたがすぐにまた足を踏み出し警察の車に乗っていった。

あの瞬間、アカギは目を見開かせ、そのあとで目を伏せつつ口角を少しだけあげていたと、彼を連行した警官は後で語った。

 

「これで、ギンガ団との戦いは、終わったね・・・」

「・・・ああ・・・」

 

コウキの言ったとおりだ、ギンガ団の戦いは幕を閉じた。

 

 

ギンガ団との戦いにも終止符が打たれ、各地のジムリーダーはそれぞれジムリーダーとしての仕事に戻る。

コウキとヒカリとジュンはまずマサゴタウンに戻り、ナナカマド博士にこのことを話すのだと言っていた。

彼らは別れる前にクウヤに礼を言いまた言われたのだった。

 

「ひゃー、ここんとこ色々ありすぎて疲れたぜ!」

「ゴォォウ」

 

そしてクウヤは、テンガン山を降りてたどり着いたカンナギタウンの、シロナの実家に泊めてもらい、休んでいた。

彼のそばにはポケモンたちがおり、それぞれで体を寄せ合ってこの戦いの疲れを癒していた。

 

「クウヤ」

「ん?」

 

そのとき、クウヤに声をかけてきたのはジンダイだった。

 

「あ、ジンダイのおっちゃん!

もうシンオウ地方を出て行ったのかと思ってたぜ!」

「ああ・・・こいつらと関係があるというキッサキ神殿の調査もしたいからな。

それに、今はお前と話がしたいと思っていた」

「・・・おっちゃんも・・・か」

「も、とは」

「おれも、おっちゃんとは話したかったんだよ」

 

お互いに同じ気持ちだったクウヤとジンダイは、少しそこから移動して話を始めた。

 

「でさ、なにをはなそっか?」

「ああ・・・実はな・・・俺には、息子がいるんだ」

「おっちゃんに子ども・・・?」

 

まず口を開いたのは、ジンダイだった。

クウヤは突然出てきた息子の存在に首を傾げつつ耳を傾ける。

 

「だが、12年くらい前に・・・妙な組織の奇襲を受けて、そのとき俺も戦ったのだが・・・そのときに息子がさらわれてしまったんだ」

「え、伝説のポケモンを持っていたのに?」

「いやレジロック達は4、5年まえ程にゲットしたばかりだ」

 

自分の失態に驚くクウヤに苦笑しつつ、話を進めるジンダイ。

 

「息子がさらわれてから、妻はすっかり元気をなくしてな。

本当は今も息子のことが気がかりで、心配でたまらないはずなのに・・・それでも俺に不安を与えぬようにと、気丈に振る舞っている」

「いい奥さんなんだね」

「ああ・・・俺には、もったいない」

 

妻のことを語るジンダイの表情はとても穏やかで落ち着いていた。

その表情から、その妻のことを本当に愛していることがわかる。

 

「それで、本題なのだが・・・息子の名前なんだ」

「?」

「その息子には、強い気持ちを持った子どもになってほしいと思っていた。

だから俺が名付け親になったんだ・・・そして、妻とも真剣に話し合って、名前を決めたんだ・・・。」

 

そこまで語ったジンダイは、クウヤの顔をまっすぐ見て、その息子の名前を教えた。

 

「その息子の名は、クウヤ・・・空の矢とかいて、空矢というんだ」

「そっかぁ、おれと同じ名前で漢字も同じ・・・」

 

クウヤはその名前が自分と同じだと聞いてぴたっと止まる。

名前の響きだけ一致しても、漢字までそろうのかと。

 

「え、え?」

「・・・俺はそのことがひっかかって、お前のことを調べてみたんだ。

そして、会ってきた・・・アダンと」

「アダンのおっちゃんに?!」

「彼と話をして、彼がお前を発見したときの話を聞いたら・・・その組織が俺の息子をさらった組織と同じであること、発見した日付と誘拐された日付が近かったこと・・・そして・・・おそらく・・・」

 

ジンダイはクウヤをまっすぐみて、聞いた。

 

「お前に背中には、三角形の痣がないか?」

「・・・!」

 

クウヤの驚きの表情が、ジンダイの話を肯定した。

彼にはけがもしていないのに、背中に三角の痣がある。

見せていないのにそれを見抜かれた。

彼の反応を見て、ジンダイは確信を持ってクウヤに向かって告白した。

 

「クウヤ・・・お前は俺の息子で、俺はお前の父親だ」

「・・・!!!」

 

 

ジンダイの突然の告白。

それは、自分が目の前にいるこの男の息子だということ。

自分の目の前にいるこの男が、父親だということ。

 

「おっちゃんが・・・おれの・・・」

「イヤか?」

「イヤじゃねぇよ・・・だけど・・・」

 

戸惑いを隠せてないクウヤに、ジンダイは話を続ける。

 

「俺自身が、そうであってほしいと思ってたんだ。

もしもお前が俺の息子なら・・・俺が願った通りに、元気に強く育っていたことを喜べるからな。

だからお前がそうだとわかったとき、嬉しかった」

「あ、おっちゃ、とう・・・」

 

呼び慣れていない呼び方をしようとするクウヤは言葉がつっかえてうまくしゃべれない。

両親との再会はどこかでしたいと思っていて、その夢が叶ったのに、やっと口を利けるというのに。

 

「そう焦るな、じっくり呼び方を考えてから呼んでくれていい。

お前が、俺や妻を親としてみてくれるならな」

「・・・」

「それに、俺とお前が親子だと思ってるのは、俺とアダンだけだ。

物的証拠はまだない、事実かどうかはDNA鑑定でもしないとわからん。

ただ、俺は自分の息子にあったら、まずどうしても言いたかったんだ」

「言いたい、こと?」

 

ジンダイはクウヤの話を、アダンから聞いていた。

貴一家の話も、そこに含まれていた。

それを聞いたとき、離ればなれになりさらに辛い思いをさせていたということに対し強い罪悪感を感じていた。

その気持ちを、今彼にむかって言う。

 

「・・・俺の不注意で、苦労をさせてすまなかった」

「・・・」

「・・・恨んでもいい・・・それで俺を父と呼ばなくてもいい。

そのすべての責任は、お前をちゃんと守れなかった俺にある・・・だから」

「そんなことない、恨むなんてまねもしたくない!」

 

クウヤはジンダイの言葉をとめた。

 

「そりゃあの二人にはヒドいことされたぜ?

だけどそれでおれの時間を全部決めつけるなんてこと、しないでくれよ!

大変なことがあっても・・・それよりもたくさんの人とポケモンとあって、冒険もして・・・楽しい時間があったからもう大丈夫なんだよ!

第一・・・おっちゃんは父ちゃんとして、おれにそのことを謝ってくれたじゃん!

それで十分なんだよ!」

 

それに、とクウヤはにっと笑った。

初めてあったときから、どこかで思っていた気持ち。

それが今日の告白で、その気持ちの正体を理解できたような気がして、その気持ちを打ち明けた。

 

「おれ、おっちゃんがおれの父ちゃんだって思うし、そうだったらいいなって思ってたんだ!

だから、嘘でもおれを息子だと思ってくれていいし、そう思われるとうれしいんだ!」

「・・・」

「だからさ・・・本当は違っててもいいから・・・おれのこと息子だと思ってもいいよ。

そのかわり、おれもおっちゃんを・・・父ちゃんだと思わせてよ」

 

へへ、と笑うクウヤにもちろんだ、と笑って返すジンダイ。

ジンダイがそれじゃあ何か食べるかと聞くとクウヤは賛成といって笑って、ポケモンたちとともに食事に出かけた。

 

「・・・クウヤ」

 

ずっと本人に呼びかけたかったその名前を、ジンダイはようやく言えたのだった。

 

妻と同じくらいに愛している、息子の名前を。

 


 
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