反董卓連合編 七話 『離反』
洛陽のとある屋敷。
数名の董卓軍の兵士とそれを引き連れた呂布、李儒がいきなり入室する。
しかし、その屋敷に入るが否や目の前にいたのは一人の女性が立っていただけで、辺りを見渡すがそこに住んでいるはずの家主は不在だった。
「あ、貴方は・・・」
李儒はその立っている女性を見るや驚きを隠すことは出来なかった。
その人物は貂蝉。
「貂蝉殿、この屋敷の方々はどこへ行かれました?」
李儒は彼女がここにいる理由ではなく、家主の場所を問いただす。
だが、貂蝉は首を横に振りこう答えた。
「知りません。私がここに来た時には誰もいませんでした」
その返答に李儒は叫ぶ。
「そんなはずはありません。ほんの数刻前までは確かに家主がいたことが確認されていますよ!!」
李儒は手を上げ、それに呼応するように兵士達が一斉に剣を抜いて貂蝉を囲んだ。
呂布はただ黙って二人のやり取りを見ている。
ここにきた理由。
この屋敷は袁紹の叔父の屋敷であり、連合軍として攻めにくる総大将の袁紹の見せしめのために、叔父と屋敷の住人を殺しに二人はきた。
だが、結果は誰もおらず貂蝉しかいなかった。
これは彼女が手引きしたとしか思えない構図。
「私は・・・何も知りません」
貂蝉は李儒ではなく、呂布に向かってそう言った。
「・・・」
呂布はしばらく貂蝉の目を見ていたが、ゆっくりと後ろに向く。
「呂布殿!?」
「・・・貂蝉、信じる。我・・・外に出た奴ら斬る」
そのまま呂布は去ってしまい、李儒はその行動に慌てる。
「と、とにかく。このことは董卓様に報告させてもらいます!!」
「どうぞ、ご自由に」
貂蝉は目をつぶりつつ、李儒達が去るのを見送ると一呼吸し。
「二人とも・・・後はよろしくね」
そう、空を見上げる貂蝉であった。
荊州。
朱里という少女と別れ、とりあえず諸葛亮の居場所はわかったので暁人と合流しようと落ち合う場所にいる一刀。
日が暮れ、街でいた人々もいなくなるが暁人は来ない。いつまでたっても来ない。
何かあったといわざる状況。
一刀はそう確信し、一歩郊外の方へ行こうとした矢先。
「もし・・・」
見知らぬ女性に声をかけられた。
その女性の見た目は自身と同じ年代のようにみえるが、武人の服装を着ており、一刀はこの街の警備兵だなと認識した。
「先ほどから見かけていたんですが、誰かを待っているんですか?」
「え、ええ・・」
嘘は言ってないが、やはり警備兵の視点からすれば長時間も同じ場所にいたら不思議がられるのは無理もなく、職務質問をされてもしかたがない。
「それはどんな方ですか?」
一刀は素直に暁人という人物という人間について説明する。
「・・・」
警備兵は一刀の待ち会い人の話を聞くと、何かを思い出したように他の警備人も呼び始める。
「・・・ん?」
一刀はどんどん事態が大きくなりはじめていくため、少し動揺が走る中、先ほどの警備人が一刀にこう言う。
「それはこんな人でしたか?」
その警備人がいう特徴は暁人のと一致していた。
「そうですが・・・」
だからこそ、その質問の意味が一刀は理解できなかった。
しかし・・・。
「その人は・・・さきほど遺体として川で発見されましたよ?」
「え・・・」
その答えに息を飲むしかなかった。
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三極姫5が発売か・・・どうしようかな。