No.923955

ポケモンDPt 時空神風伝 23

フウイさん

なんで9月にもなって蚊に刺されなくてはならないのか。
クソ腹立ちますね。

2017-09-27 08:45:18 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:497   閲覧ユーザー数:497

ノモセの大湿原

 

「・・・まさか、ミクリ兄ちゃんがおれのジム戦を見に来るなんて、予想外すぎるぜ・・・」

「はは、そうだろう」

 

ミクリの車でノモセシティに向かうクウヤは、車を運転しているミクリをみて苦笑した。

ただでさえこのシンオウで再会したことにも驚いていたのに、自分のジム戦をみていくなんて、誰が予想できようか。

 

「・・・やるぞ、やってやるぞ!」

 

だが、実の兄のように慕っている男にジム戦をみられるとなると、敗北という醜態はさらせない、絶対に勝ってやるとクウヤは意気込み、まだノモセシティについていないというのに気合いを入れてはりきっていた。

 

「・・・ふふっ・・・」

 

それを隠そうとせず顔や動きにでてしまっているクウヤを、ミクリはほほえましく見ていた。

すると、視界にノモセシティの看板が見えたのでクウヤに落ち着くように呼びかける。

 

「クウヤ、気合い十分なのも結構だが、まわりをよくみてごらんよ」

「へ?」

「ノモセシティに到着したぞ」                   

 

そんな会話をしてクウヤははじめて、自分が今ノモセシティにいることに気がついた。

ノモセシティは面積は広くある程度の施設はそろっており住宅地も多いのだが、不思議と都会っぽさはなく、どちらかといえばどこか田舎っぽいところだった。

クウヤとミクリは最初の予定通りノモセジムに向かい、クウヤはその扉に向かって叫ぶ。

 

「たのもぉぉぉ!」

 

シーン・・・と、ジムの周りには沈黙が流れていた。

そこから予想できるのは、ジムリーダーの留守。

 

「あれ、マキシのおっちゃんいねぇの?」

「のようだね?」

「じゃあせめて、ジムで働いている人とか・・・いねぇかなぁ」

「どうだろう?」

 

クウヤとミクリがジムの前でそんな話をしていると、ジムのそばで掃除道具を持ったポケモントレーナーがいた。

彼のそばには水タイプのジムらしく、水ポケモンが数体いる。

 

「すみません」

「ん・・・あ、ああぁ!?」

 

そのトレーナーはミクリの姿を見て叫び、彼の前にでた。

 

「もしや、ルネジムの元ジムリーダーのミクリさんですか!」

「はい、そうです」

「は、はぁ、まさかここまでくるとは・・・!

私は、ノモセジムのジムリーダーマキシさんに仕えるものです!」

 

ジムトレーナーは興奮状態のままミクリと話を進める。

その様子にクウヤは戸惑い、どうすればいいのかわからなくなってしまっているのを察したミクリは、苦笑しつつそのトレーナーをなだめマキシの情報を聞こうとする。

 

「それよりも、このジムに挑戦したいというトレーナーがいるのですが、ジムリーダーはいらっしゃらないのですか?」

「え!?

あ、は、はぁ、これは失礼しました!」

 

その言葉でジムトレーナーは落ち着きを取り戻したらしい、しっかりとした態度で今マキシが留守であることを告げる。

 

「申し訳ありません、ジムリーダーのマキシさんは今ノモセ大湿原の方に出向いていてここにはいらっしゃらないのです。

なので、また時間を改めておいでください」

 

それを聞いた二人はひとまずジムをあとにした。

余談だが、ミクリはジムトレーナーにサインをねだられそれを喜んで受けてサインを書いてあげたところ、ジムトレーナーは嬉しさのあまり失神し自分の水ポケモンたちによってジムの中へ運ばれていったのだとか。

 

「にしても、ノモセジムにも兄ちゃんの話ってあるんだな」

「まぁ同じ水ポケモン専門のジムだからね、私だけではなく師匠の名前も広まっているよ」

「おっちゃんもかぁ」

 

今ルネジムのリーダーをしているミクリの師匠であり自分にとっては事実上の親代わりの男性のことを考えるクウヤ。

そこに、ミクリから一つの問いかけが入ってくる。

 

「んで、どうするんだい、クウヤ?」

「え?」

「ノモセ大湿原に行ってマキシさんに会うか、それとも、このまま彼がジムに戻るのを待つか?」

 

ミクリの問いに対し、クウヤは迷わず自分の答えを笑いながら言った。

 

 

3分ほど後、クウヤとミクリがやってきたのはノモセ大湿原だった。

 

「やはり、か」

 

クウヤがこういう行動にでることは、ミクリにとっては想定済みのことだ。

彼はじっと待つより自分から進んでいくタイプの人間であることもわかっていた。

 

「うわぁ、あちこちにポケモンがいるな」

「このノモセ大湿原は、ポケモン自然保護区の一つであり、和夫奥のポケモンがここで保護され育てられているという。

マキシさんも、この大湿原を守っている

「そうなのか」

 

そういう会話をしながら歩いていると、突然目の前をビッパの大群が通り過ぎていった。

 

「わっ!」

「はは、いきなり飛び出てきて驚いたな」

「お、驚いてなんて・・・ぎゃあ!?」

 

続けてクウヤの前に現れたのは、緑色の体に大きな口を持ったポケモンだった。

クウヤは心臓をばくばくさせながら、そのポケモンに対し図鑑を向けて、そのポケモンが草タイプのマスキッパであることを知る。

 

「マスキッパ・・・でけぇ口ー」

「キーパッパッパ」

「あ、どっかいっちゃった」

 

マスキッパはどこかへいき、少し視線をずらすと木にはホーホーやヨルノズク、ヤンヤンマが停まっており、沼にはウパーやヌオーの姿も見える。

本当にたくさんのポケモンがいるなぁと感心していると、ぽんとミクリに肩を軽くたたかれる。

 

「クウヤ、本来の目的を忘れないでくれよ」

「あ、わ・・・わかってるよぉ!」

「・・・」

 

絶対に忘れていたなと思いながらも、ミクリはクウヤとともにマキシを探す。

 

「うーん、でも地図みてみたけど広いなここは・・・。」

「そうだな」

「こうなったら、こいつにも手伝ってもらっちゃおかな・・・ズーバ!」

 

そういってクウヤはボールからズーバを出す。

 

「ズーバ、おれだけじゃおっちゃん見つけるの無理だから手伝ってくれ!」

「ゴルバッバ!」

「頼んだぜー」

 

そういってクウヤはズーバにマキシ探しの手伝いをさせた。

 

「よし、ここはこのポケモンにも頼った方がいいな」

「?」

「でてこい、トリトドン!」

 

ミクリが出したのは、柔らかい体を持つ緑と青の色のポケモン。

水と地面を併せ持つシンオウ地方では比較的知られているポケモンのトリトドンだった。

彼のポケモンは大体見たことがあったが、はじめて見るそのポケモンにクウヤの視線は向けられた。

 

「トリトドン?

兄ちゃん、こんなポケモン持ってたっけ?」

「実は結構前から育ててたんだよ。

トリトドンならこの湿地でもうまく動けるだろうと思ったから、マキシさん探しの手伝いをさせようと思ったんだ。」

「そうなんだ」

「トリトドン、私たちを手伝っておくれ」

「とぉぉぉ」

 

ミクリはマキシの写真を見せトリトドンにそういうと、トリトドンは沼を進み始めた。

だが、その進行スピードは、正直遅い。

 

「・・・動きのろくね・・・?」

「確かにのんびりしているが、非常に賢い子だよ。

おまけに」

 

そのマスキッパを、れいとうビームの一撃で動きを封じて倒した。

 

「ポケモンバトルも、十分強い」

 

 

クウヤとミクリは一度わかれ、それぞれ大湿原をみてまわる。

 

「ゴールバット!」

「ズーバ、どうだったんだ?」

「ゴルバ」

 

空からきたズーバにマキシのことをきこうとしたときだった。

彼の足下をなにかが通り過ぎていった。

 

「うわぁ、なんだこいつ!」

 

クウヤは目の前に出てきたそのポケモンに、図鑑を向ける。

 

「グレッグル・・・」

 

グレッグルという名前のそのポケモンはにたにたと笑い、ふてぶてしい目でクウヤのことをみて笑う。

 

「ッケ」

「なんだよ・・・」

 

その表情がムカついてむっとするクウヤ。

するとグレッグルはその嫌みっぽい顔のまま、クウヤの真上を飛んでいたズーバをみて、つっこんできた。

 

「ゴルバァッ!」

「ズーバ!」

 

グレッグルが突撃するときに使った技はかわらわりだったのでダメージは少ない。

それにキレたズーバはグレッグルにつばさでうつ攻撃を食らわすとグレッグルは飛ばされるが、その瞬間、茂みの中からたくさんのグレッグルの群が姿を見せた。

 

「わわわわわわぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

その大群はズーバにやられたグレッグルをつれて、どこかに飛び去っていく。

そのとき何体かのグレッグルがクウヤとズーバにぶつかり、その衝撃でクウヤは自分が持っていたポケモン図鑑を手放してしまった。

ポケモン図鑑は宙を舞い、沼に落ちようとしていた。

 

「ポケモンずかぁぁぁん!!!」

 

そう叫びながらクウヤは沼に飛び込み、図鑑が沼に着く直前でそれをキャッチする。

図鑑を無事にキャッチして安堵するクウヤだったが、沼に勢いよく飛び込んだせいで下半身が沼に埋まり、足が泥にとらわれ身動きがとれなくなってしまった。

 

「う、や、やっべ・・・」

「ゴルバットォ!」

「ず、ズーバ!」

 

すぐにズーバが彼の頭上に現れ、自分の足に捕まれといってくる。

クウヤは左手に図鑑をしっかり持ち、右手でズーバの足をつかむ。

だが、ズーバは必死に羽ばたくがクウヤを持ち上げることができない。

足を泥にとらわれているから、なおさら力を必要としてしまうのだ。

 

「ず、ズーバ!

きついんなら無理すんじゃねぇ、図鑑をもって安全なとこいって休め!」

「ゴルバ、バッババババ!」

「ズーバ・・・」

 

だがズーバは諦めず、クウヤをひっぱりだすために必死で頑張って羽ばたき続ける。

そんなズーバの姿を見て、クウヤも必死に泥から足を出そうともがく。

 

「・・・うわぁ!?」

 

そのとき、自分の下から何かが盛り上がってきて、クウヤの足は泥から抜け出した。

盛り上がってきたものの正体は、トリトドンだった。

 

「トリトドン!」

「トリトドン、そのままこちらにクウヤを連れてくるんだ」

「み、ミクリ兄ちゃん・・・!」

 

クウヤをその背に乗せ主人であるミクリの声のした方向に向かって沼を泳いで進むトリトドン。

 

 

トリトドンはミクリの元につき、クウヤはよっといいつつ橋の上に降りた。

 

「まったく、泥だらけじゃないか」

「ごめん!」

「しかも私がこのゴルバットとグレッグルの群に気付いて駆けつけたからいいものの、私達が来なかったらどうなっていたことか」

「だから、ごめんってば」

 

泥だらけになっているクウヤをみて、ミクリはあきれていた。

 

「おぉぉぉぉ!

クウヤくん、無事でよかった」

「あ、マキシのおっちゃん」

「ミクリくんから話を聞いて急いで駆けつけたのだが・・・いや危なかったな!」

 

マキシの話によれば、少し前にミクリに姿を発見され、自分がここにいる目的やジム挑戦の話などをしていたところ、グレッグルの攻撃を受けたゴルバット・・・ズーバがグレッグルに反撃していたのを発見し、クウヤになにかあったのではないかとミクリは推測、トリトドンをそこに向かわせ自分たちもそこに急いだのだという。

 

「すまないなぁ、今日はこの湿原に、グレッグルの様子を見に行っていたのだ。

探す手間を与えてしまっただけでなく、君を汚してしまったな」

「ああ、汚れとか手間はどうでもいいよ。

それより、あのグレッグルって・・・」

「うむ、それなのだが、グレッグルはこのノモセシティの一番有名なポケモンであり、マスコットであり、人気者。

そして、この町のシンボルともいえるようなポケモンなのだ。

だがその人気などが逆に災いをもたらし、グレッグルを大量捕獲したりしてくる連中もいる。

だからこうして俺が直に、時々様子を見に行くのだ。」

「そ、そうなんだ・・・」

「だが今日もこの湿原のグレッグルは元気だ。

まぁ、それが原因してこうして君がピンチになってしまったわけだがな」

「うぅーん、そこもきにしてねぇよ。

まぁ今はとにかく、おっちゃんと無事あえたことだし、バトルがしたいからジムに戻ろうぜ!」

 

そう明るくいいながら、クウヤはジムのある方向へ向かおうとした。

だが。

 

「クウヤ」

 

咄嗟に、ミクリがクウヤの腕をつかんだ。

 

「今日は服を洗濯して風呂で体を洗うことにしなさい」

「う・・・はーい・・・」

 

流石にこのままジムにいくのは、相手にも失礼だ。

そんな兄のメッセージが伝わってきたのと、本来彼にあまり逆らえないことが重なって、クウヤはおとなしく兄に従う。

 

「では明日、待っておるぞ!」

「おー!」

 

明日のジム戦を約束して、クウヤとマキシはそこで別れ、クウヤはポケモンセンターのお風呂に入るべくポケモンセンターに向かった。

帰り道の途中、クウヤはズーバがどこか落ち込んでいる様子だったのに気付く。

 

「元気ねーな、ズーバ?」

「・・・ゴバァ」

「・・・ズーバ・・・もしかして、おれを持ち上げられなかったこと、悔しがってるのか?」

「ゴルバッ」

 

図星をつかれて落ち込むズーバ。

そんなズーバをみて、クウヤは優しくズーバを抱き寄せていう。

 

「おれさ、あの沼にはまったときにお前が必死におれのことを助けようとしてくれたこと、嬉しかったぜ」

「ゴルバ」

「結果はどうでもいいよ、お前は絶対に羽ばたくのをやめないでひっぱろうとしてたじゃないか。

おれのこと、あそこまで頑張って助けようとするくらいに思ってくれてたのが、嬉しいんだよ。

だから、ありがとな、ズーバ!」

「・・・」

「それに、今回だめだったんなら、これからどんどん力付ければいいじゃん!

お前はポケモンバトルでも大活躍なんだし、もっと強くなれるって!

それでもっと鍛えて強くなっていけば、おれ一人くらいなら持ち上げて高く飛べるようにもなる!

おれが、保証するよ!」

「・・・ゴルバッ!」

 

クウヤの言葉に励まされ、ズーバは嬉しそうに鳴き声を出す。

 

「・・・本当、クウヤらしいな」

 

そんなクウヤをミクリは暖かい目で見て、ほほえむ。

 


 
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