No.918869

yurigame!06~コウvりん2~

初音軍さん

どっちかというとりんコウ。珍しく積極的な遠山さんですが人生に一度くらいはこういうことがあってもいい気がする。ちなみに例の夜はやるとこまでやったのですがそれはご想像にお任せということで。

**アニメだけ見ている方はネタバレ注意**

2017-08-17 15:05:02 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:606   閲覧ユーザー数:606

Yurigame06_rin_kou

 

【りん】

 

 一度はもずくちゃんと遊んでいた時に偶然聞いてしまい。

その後はみんなに報告する少し前、二人きりの時に聞いた。

コウちゃんのことを考えたら悪いことではないことはわかっていた。

けれど…遠くに行ってしまうことを考えると私の心は

引き裂かれるような思いに満ちて辛かった。

 

「りん?」

「何?」

 

「な、何怒ってるんだよ」

「怒ってません…!」

 

 もう僅かしか時間がないというのに私は仕事中にも関わらずコウちゃんに怒ってばっか。

そして誰もいないところでは悲しんでばっかいる…。女々しいたらありゃしない。

 

「フランスに行くこと…まだ怒ってるの?」

「当たり前よ…」

 

 この怒ってるのって悲しみを紛らわせるため。正確には悲しくてたまらないのだ。

でもそんなことコウちゃんには言えるわけがない…。

 

「わかった。わかったから、今夜飲みにいかない?」

「…お店の気分じゃない…」

 

「しょうがないなぁ。じゃあ宅飲みしようか。私の家で」

「…うん」

 

 帰る途中で適当におつまみを選んでから久しぶりのコウちゃんの家に着く。

中はシンプルなもので必要なものしか置いていなかった。

…前からこんな感じだったかしら?

 

 普段から自身に対して雑だったり会社に泊まりこみが多いからうろ覚えだ。

明日からフランスの会社にも行くのだからそのせいもあるのかもしれないけど。

うぅ…考えたらまた胸が苦しくなってきた。

 

「ほら、りん。上がれよ」

 

 コウちゃんは笑顔で手を伸ばして私を中へと引っ張っていってくれた。

コウちゃんの匂いがする。何だか長い間来ていない気もするけど、私が来た日を

記してあるカレンダーを見るとまだ一ヶ月くらいしか経っていなかった。

 

「どうしたの?」

「ほんとに行くんだよね…」

 

「ま、まぁ…ほんと急でごめんって」

「青葉ちゃんも悲しませちゃうし…」

 

「お、おう…」

「新人もいるのにコウちゃんが抜けたら迷惑するのひふみちゃんと私なんだから」

 

「ごめん…」

 

 別にこんなこと言いたいわけじゃないのに!今の時代離れていても連絡取る手段は

いくらでもあるのに…!どうして、なんでこんなに…!苦しくてたまらないの…。

 

「りん…泣いてる?」

「泣いてないわ…。は、早く飲みましょ」

 

 カチンッ

 

 グラスに注いだビールを鳴らしておつまみを食べながらビールを飲む。

進むのは早いけど味はしなかった。そして酔うことすらできない。

 

「りん、酒強くなったんじゃない? いつもならもう酔ってるのに」

「そ、そうかもね…」

 

 コウちゃんもいつも通り笑っている気はするけど、どこか強張っていた。

私が緊張しているせいだろう。せっかく二人きりなのに何をしてるんだろう、私…。

 

「ねぇ、りん。どうしたら許してくれる?」

 

 特に不満そうでもなく、本当に純粋な気持ちで聞いてきてるような感じで

コウちゃんが私に聞いてきた。

 

「えっ…」

「このままじゃ私、嫌な気持ちのまま向こうに行かなきゃいけなくなる」

 

「…」

「だから、今日はりんの言うことなら何でも聞くよ」

 

 何でも…?何でもいって言った…?本当は行って欲しくないという気持ちはあるけど

それはダメ。コウちゃんも困ってしまう…だったら私が他に思うことは何…?

この不安を取り除けることってどんなこと…?

 

 少しの間そのことを考えていたら、一つだけ考えが浮かんだ。

 

「じゃあ…」

「うん」

 

「コウちゃんの初めてを私に全部頂戴」

「ぶふぅっ」

 

 口に含んでたビールを噴出しそうになるのを何とか堪えたコウちゃん。

 

「やっぱり…ダメだよね。ごめんね、こんなこと言って…」

「いや…いいよ」

 

 びっくりして俯いたまま言うから表情は見えないけど、今…いいよって。

 

「え?」

「私の全て…りんにあげる」

 

 そう言ってコウちゃんは私の手を握ると私の頭の中はまるでお湯が沸騰した

やかんのようになっていた。

 

「いいの…!?」

「うん」

 

 ドサッ

 

 コウちゃんはベッドに倒れこむようにして私はその上に乗る。

私がコウちゃんを押し倒したような形に見えるような感じで…。

 

 そしてお互い緊張のせいか、お酒のせいか。顔を真っ赤にしてお互いに見つめあう。

かわいい…。普段からかっこよかったりだらしなかったりするコウちゃんだけど。

実際はこんなに可愛い一面も持っているんだって前から知っていたけれど…。

今日は特別、可愛くて愛おしくてたまらなかった。

 

 最初はどうしたらいいのかわからなかったけど、コウちゃんの艶のある柔らかそうな

唇を見ていたら自然に近づいて口を重ねていた。片手でコウちゃんの髪の毛を弄りながら

もう片方は背中に回して…。

 

チュッ…チュッ…。

 

 お酒の匂いとコウちゃんの匂いが混ざって頭がクラクラしそうだった。

気持ちよすぎて意識が朦朧としてくる…。でもまだ始まったばかり。

チャンスは今しかないのよ…。

 

チュッ…。

 

「ん…りん…」

「はぁ…コウ…ちゃん…」

 

 キスの合間に息が上がり途切れるような感じで互いの名前を呼び合う。

 

チュッ…。チュッ…。

 

 体に密着しながらキスを続ける。そして次に口を放した時、コウちゃんは顔を赤くして

笑っていた。

 

「あはは…りんの胸が当たって…なんか、気持ちいい」

「…コウちゃんのバカ…」

 

 その言葉で体が熱くなって恥ずかしがっていると、コウちゃんのを方を見る。

するとコウちゃんも少し汗ばんでいて首筋に流れる汗を舌で掬い取る。

 

「ひゃあ!」

「ふふ、コウちゃんの汗…おいしい」

 

「こらっ、りんだけずるいぞ!私だってやる!」

「きゃあ!」

 

 言っていきなり起き上がってバランスを崩しそうになる私の体を引き寄せて密着して

私の首にキスして舐められる。

 

「ちょっ…!」

「ふふん、お返しだよ…!」

 

 息が上がる二人。目が合うとまたキスをする。どれだけしているのかもうわからない。

このままずっとしていたくて、溶け合いたくて、ずっと抱きしめていた。

 

 この先、こうやって触れ合えるのがいつになるのかわからないから。

後悔のないようにお互いに満足するまでお互いの体や心のことを全てわかるまで

着ていた服に手をかけて…二人でその日はずっと長い時間、愛し合ったのだった…。

 

 

***

 

 気がついて私は起き上がって周りを見ると昨日の状態のままになっていた。

あのまま私たちは寝てしまったのだろう。痛む頭に手を当てながら気持ち良さそうに

寝ているコウちゃんにとりあえず脱ぎ散らかした服を一旦着させた。

 

 起きてからの私は驚くほどスッキリしていた。寂しさというのは完全に

拭えないだろうけれど不安とかずっともやもやしていたものは払拭されていた。

そっか、私は二人の間で何か確信できるものがないと不安だったのかもしれない。

それを昨日コウちゃんと一緒に確かめ合ったから…。

 

「ほら、コウちゃん。起きなさい」

「んー…りん?」

 

「今日…行く日でしょ」

「あ…そうだった…」

 

 頭痛そうに手を当てながら着替えを始めた。持って行くものを聞きながら私も手伝う。

そして着替え終わった後、コウちゃんは片手に荷物。もう片方は私の手を握った。

 

「ありがとう…りん」

「え…?」

 

「りんのおかげでスッキリしたよ。私も…りんのことずっと気にかかってたから」

「コウちゃん…」

 

 手を握っていた部分に力を入れて顔を近づけて額を軽くコツンと当てる。

 

「離れていても…」

「頑張っていることがわかれば…寂しくない…でしょ?」 

 

「ねねちゃん、良いこと言うよな」

「えぇ…そうね」

 

「さて…そろそろ本当に行くか」

「うん」

 

 額は離しても手は離さず。二人でいられる間はずっと手を握ったまま移動をした。

 

 

***

 

 空港でみんなで見送ってコウちゃんが背中を見せて歩き始め徐々にその背中が

小さくなっていく時…。

私はつい大きめな声で彼女を呼び止めた。

 

「コウちゃん…!」

 

 びっくりした顔で振り返るコウちゃんに向かって私は…。

 

「浮気なんてしないでよ…!」

 

 少しずつ声が小さくなっていくもそれが伝わったのかコウちゃんは

親指を立てて今までにないくらい爽やかな笑顔を見せてくれた。

声では聞こえなくても「大丈夫だよ」って言ってるような気がした。

 

「遠山さん…大丈夫ですか?」

「青葉ちゃん…」

 

 心配そうに私のことを見てる青葉ちゃん…それに他のみんなも私のことを見ていた。

 

「ごめんなさい。もう大丈夫だから」

「八神さんがいない間…前よりずっと良い作品作って…驚かせましょう!」

 

 青葉ちゃんだって辛いはずなのに目に涙を浮かべながら笑顔で私にそう言った。

強いなぁ…さすがコウちゃんが気に入るほどの子ね。私は青葉ちゃんを見て感心した。

他の子からも同じように真剣な眼差しで、でもみんな笑顔で私を迎えてくれた。

 

 そう…私にはみんながいる。連絡だって時々はとれるはずだし。大丈夫よ…大丈夫。

よし、いつもの遠山りんに切り替えるのよ。涙を拭い私は笑顔で青葉ちゃんに応えた。

 

「うん、そうね。ありがとう青葉ちゃん」

「…はい!」

 

 それからみんなで飛行機が飛び立つのを見てからいつもの空気になっていって

コウちゃんが言いそびれた紅葉ちゃんの合格についてとか色々私がフォローしながら

みんなで会社に戻るのだった。

 

 コウちゃんが残していった仕事の数を考えると頭が痛くなるけれど…。

それを含めての八神コウだから。

 

 私は綺麗に晴れた空を見ながら微笑みながら心の中で願った。

 

 がんばってね…コウちゃん!

 

お終い。

 


 
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