No.913745 英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルートsoranoさん 2017-07-11 22:55:23 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:2497 閲覧ユーザー数:2090 |
~パンダグリュエル・パーティーホール~
「デメリットは大きく分けて二つで一つは、Ⅶ組は”自由”を失って、レン達―――メンフィル帝国の意向の下で動いてもらう事よ。」
「……………」
「まあ、指揮下に入るのだから当然ね………ちなみにもう一つのデメリットは何なのかしら?」
オリヴァルト皇子の質問に答えたレンの答えを聞いたアリサ達がそれぞれ複雑そうな表情で黙り込んでいる中疲れた表情で溜息を吐いたセリーヌは気を取り直してレンに訊ねた。
「クスクス……もう一つのデメリットはⅦ組の一部の人達が”人と人が殺し合う本物の戦場”に出陣して、レン達と一緒に貴族連合軍の兵士達を殺さなければならない事よ。」
「何ですって!?何でこの子達が”本物の戦場”に出陣した挙句あんた達と一緒に貴族連合軍―――いえ、”人”を殺さなければならないのよ!?」
不敵な笑みを浮かべたレンの答えを聞いて血相を変えたサラは怒りの表情でレンに問いかけた。
「あら、その件については第五条の説明の時にちゃんと答えてあげたじゃない。Ⅶ組は”貴族派と革新派が派閥争いを止めてアルノール皇家主導の下で今後のエレボニアを支えるという意思表示を示す為の旗印”なんだから、正規軍、領邦軍にそれを知らしめる為にもⅦ組の一部の人達も協力して”反逆者”である貴族連合軍の兵達や猟兵達を殺す必要があるでしょう?」
「そ、そんな………ッ!わ、私達が貴族連合軍―――人を殺さないといけないなんて……!」
「お嬢様………」
「”両派閥の争いを止める旗印”という事はひょっとしたら、アンが僕達と合流できたら”四大名門”の一角である”ログナー侯爵家”の当主の一人娘であるアンもⅦ組のみんなと一緒に貴族連合軍の兵達の命を奪わなければならないかもしれないね………」
「アンちゃん………」
レンの答えを聞いて表情を青褪めさせて身体を震わせているアリサをシャロンは心配そうな表情で見つめ、ジョルジュとトワはある人物の顔を思い浮かべて辛そうな表情をした。
「レン君……アルフィンは彼らが君達”特務部隊”の指揮下に入れば、彼ら自身の手で貴族連合軍の兵士や猟兵達の命を奪う事もある事も知っていて、この和解条約書に調印したのかい?」
「当たり前じゃない。だからこそアルフィン皇女はシルヴァンお兄様に必死に嘆願して、第五条に緩和条件を付与してもらったのよ?」
「そうか……………アルフィンはその件も知っていたからこそ、せめて彼ら自身の意志で選択してもらう為にもシルヴァン陛下に嘆願したのか………」
「………………レン皇女殿下。先程”Ⅶ組”の一部の人物達が”本物の戦場”に出陣する必要があるとの事ですが、その人物達が誰であるかを教えて頂いてもよろしいでしょうか?」
第五条に緩和条件が付与された真の理由を悟ったオリヴァルト皇子は辛そうな表情で呟き、アルゼイド子爵は目を伏せて重々しい様子を纏って黙り込んでいたが目を見開いてレンに問いかけた。
「ええ、いいわよ。――――と言う訳だからリィンお兄さん、”Ⅶ組”の中で出陣義務が発生する人達の名前を全員挙げて。」
「わかりました。――――ラウラ・S・アルゼイド、マキアス・レーグニッツ、ユーシス・アルバレア、フィー・クラウゼル、ミリアム・オライオン、サラ・バレスタイン。―――以上6名に出陣義務が発生する。」
「ぼ、僕達が……!?」
「そ、それにユーシスまで……!」
「マキアスさんとミリアムちゃん、それにユーシスさんは両派閥の関係者で、ラウラさんは”中立派”である子爵閣下のご息女ですから、何となく予想はしていましたがどうして、どの派閥の関係者でもないフィーちゃんと教官まで………」
レンに答えを促されたリィンが出陣義務が発生する人物達の名前を口にするとマキアスは表情を青褪めさせ、エリオットは信じられない表情をし、エマは不安そうな表情で自身の疑問を口にした。
「うふふ、サラお姉さんはⅦ組の”担当教官”なのだから、出陣義務が発生して当然でしょう?まさか教え子達だけに、”本物の戦場”に出陣させて自分は出陣しないなんて”教師失格”な事をする訳にはいかないでしょう?」
「そうなるように仕組んだのもあんた達メンフィルでしょうがっ!」
「すまねぇ、サラ………!」
小悪魔な笑みを浮かべたレンに視線を向けられて怒りの表情で反論したサラの様子を見たトヴァルは辛そうな表情で身体を震わせて謝罪の言葉を口にした。
「クスクス、サラお姉さんは生徒達に殺人を強要しているレン達に怒っているみたいだけど、そもそも”生徒達に殺人を強要する事に対して怒る事自体が間違い”である事がわからないのかしら?」
「それはどういう意味よ!?」
意味ありげな笑みを浮かべたレンの言葉を聞いたサラは反論したが
「だって、Ⅶ組を含めたトールズの学院生達は”士官学生”――――つまり”軍人の見習い”よ?非常事態になれば、軍人の見習いである士官学生達も当然軍の指揮に従って軍隊行動をしなければならない”義務”があるのだから、”軍の敵を殺す事も当たり前”でしょう?」
「………ッ!」
「そ、それは…………」
「………確かにレン皇女殿下の仰る通り、僕達はただの学生ではなく”士官学生”―――軍人の見習いだから、軍に『敵を殺せ』と命じられたら、その通りにしなければならないね………」
「………………」
「皆さん………」
不敵な笑みを浮かべたレンの正論を聞いたサラは反論できず、怒りの表情で唇を噛みしめ、トワとジョルジュは辛そうな表情で顔を俯かせ、それぞれ複雑や辛そうな表情で黙り込んでいるアリサ達をクレア大尉は心配そうな表情で見つめていた。
「………レン皇女殿下。フィーは何故教官のようにどの派閥の関係者でもないのに、出陣義務が発生しているのだろうか?」
その時ガイウスは複雑そうな表情でレンに質問を続けた。
「うふふ、彼女に関しては”Ⅶ組”の中で唯一戦力面でも期待している上、人を殺した経験がないⅦ組のみんなに”お手本”を見せてくれる人物として貴重な人材なのよ?彼女の”前の職業”を考えれば、”本物の戦場”も既に慣れているでしょうしね♪」
「フィーの”前の職業”って…………」
「………なるほどね。元”猟兵”のわたしは”人を殺し慣れている”から、”本物の戦場”でも最初から使い物になる上”Ⅶ組”のクラスメイトであるわたしが”人を殺すという見本”を見せる事で、ラウラ達が人を殺せるように発破をかける為なんだ。」
「フィー…………」
レンの説明を聞いたエリオットは不安そうな表情でフィーに視線を向け、全く動揺する事なく淡々とした様子で答えるフィーの様子をラウラは辛そうな表情で見つめていた。
「―――そういう訳だから今リィンお兄さんが挙げた人物以外の人達――――アリサお姉さん、エリオットお兄さん、エマお姉さん、ガイウスお兄さんの4人は他の人達みたいにわざわざ”本物の戦場”に出て人を殺す必要はないから、安心していいわよ♪」
「「「「………………」」」」
レンに名前を挙げられた4人はそれぞれ複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「あの………どうして僕だけマキアス達みたいに出陣義務が発生していないんですか?僕の父さんは第四機甲師団――――正規軍を率いている人だから、僕もマキアス達同様いずれかの派閥の”関係者”なのに、どうして……」
「ああ、その件。エリオットお兄さんのパパ―――”紅毛のクレイグ”ってとんでもない子煩悩でしょう?そんな人が可愛がっている息子が嫌々”本物の戦場”に出陣させられた事を知ったら、それをさせたレン達どころか最悪アルフィン皇女に対してまで反感を抱いて、特務部隊―――いえ、アルフィン皇女に従わない可能性も考えられるでしょう?だから、エリオットお兄さんは出陣義務が発生するメンバーから外してあげたのよ♪」
ある事が気になり、不安そうな表情で質問したエリオットの質問に答えたレンの答えを聞き、エリオットの父であるクレイグ中将のエリオットに対しての接し方を思い出したアリサ達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「そ、そう言えばクレイグ中将閣下はエリオットの事を物凄く可愛がっていたな………」
「ああ。エリオットと接する時だけまるで別人のようだったな。」
「ううっ………理由を知って余計に複雑な気持ちになったよ………」
マキアスの言葉にガイウスが頷いている中エリオットは疲れた表情で呟いた。
「子煩悩と言う訳ではないですけど、ラウラの場合は子爵閣下に気を遣わなくてよかったのですか?」
その時アリサは複雑そうな表情でラウラとアルゼイド子爵を気にしながらレンに訊ねた。
「ラウラお姉さんは”貴族”なんだから、内戦の元凶にしてユーゲント皇帝達を幽閉した”賊”である貴族連合軍を殺す事も”貴族の義務”なんだから、わざわざ子爵さんに気を遣う必要はないでしょう?」
「それは………」
小悪魔な笑みを浮かべたレンの答えを聞いたオリヴァルト皇子は複雑そうな表情をし
「子爵さんもその為に”アルゼイド流”をラウラお姉さんを含めた門下生達に教えているのだから、ラウラお姉さんを”本物の戦場”に出陣させることに対して文句はないでしょう?」
「”アルゼイド流”を伝授している理由は他にもありますが………娘(ラウラ)は帝国貴族である私の子供ですから、レン皇女殿下の仰った通り当然エレボニア貴族の一員として、アルノール皇家の窮地に力を貸し、己の欲の為に皇家の方々を幽閉し、愚かにも自分達の”大義名分”として利用し、エレボニアの民達を苦しめ続けている”賊”を斬る事も私やラウラが果たすべき”貴族の義務”である事は事実ですから、その件に関して私から言う事は特にございません。」
「父上………」
レンの問いかけに対して重々しい様子を纏って答えたアルゼイド子爵の答えを聞いたラウラは複雑そうな表情をした。
「――――さてと。これでそれぞれのメリットとデメリットを提示したわ。それで?結局Ⅶ組のみんなはこれからどうするつもりなのかしら?」
「………………」
そして小悪魔な笑みを浮かべたレンが問いかけるとアリサ達はそれぞれ複雑そうな表情で黙り込み
「……その件についてだが……レン君、彼らが今後の方針をどうするか必ず答える事を約束するから3つだけ、どうか私の頼みを聞いてくれないかい?―――この通りだ。」
その様子を見かねたオリヴァルト皇子がレンを見つめて頭を下げて嘆願した。
「フウ……わざわざメリットとデメリットまで提示してあげたのに、更に3つも頼み事を聞いてくれだなんて、図々しいわねぇ……とりあえずその頼み事の内容を言ってみて。」
オリヴァルト皇子の嘆願に対して呆れた表情で溜息を吐いたレンだったが、すぐに気を取り直して続きを促した。
「ありがとう。―――まず1つは今後の方針を決める為の相談の時間を貰えないかい?何も知らない状況で、突然メンフィル軍の指揮下に入るか、入らないかの判断を迫られても、常識で考えれば誰もまともな判断ができないよ。」
「………ま、言われてみればそうね。―――いいわ。時間を考えると今日はもう遅いし、本格的な活動は明日の朝からにするつもりだったから、相談時間は明日の朝8時までにしてあげるわ。”総大将”であるリィンお兄さんもそれでいいわよね?」
「はい。俺も彼らには相談する時間が必要だと思っていたので構いません。」
オリヴァルト皇子の嘆願の内容の一つに納得したレンに判断を促されたリィンは頷き
「あ、ありがとうございます……!」
「メンフィル帝国―――いえ、レン皇女殿下とリィン特務准将殿の寛大なお心遣いに心から感謝致します。」
レンとリィンの答えを聞いたトワは明るい表情で、アルゼイド子爵は静かな表情で感謝の言葉を述べた。
「それで?後二つは何なのかしら?」
「二つ目は軟禁していたユーシス君を解放して、彼らの今後についての相談に加わらせて欲しい。彼もⅦ組の一員だから、当然相談に加わる権利があるのだからね。」
「さっきも言ったようにユーシスお兄さんは元々解放するつもりだったから、その件も構わないわ。3つ目の頼み事は何かしら?」
「3つ目は………――――私達にアルフィンと会わせて欲しい。」
「アルフィン皇女を?アルフィン皇女をオリビエお兄さんに会わせる理由は何かしら?」
3つ目の頼み事がアルフィン皇女を会わせる事を頼んできたオリヴァルト皇子にレンは眉を顰めてオリヴァルト皇子に理由を訊ねた。
「理由は二つ。一つはアルフィンがメンフィル帝国に捕縛されて以降のメンフィル帝国のアルフィンに対しての扱いがリベールに保護してもらった件も含めて真実かどうかを、アルフィン自身に確認する為だ。」
「………なるほどね。もう一つの理由は何かしら。」
「もう一つの理由は……………逆に訊ねるが兄が今まで幽閉の身であった妹と会いたいと思う事のどこがおかしいんだい?」
レンに続きを促されたオリヴァルト皇子は静かな笑みを浮かべてレンに問いかけた。
「………………うふふ、レンとした事が当たり前の事を忘れていたわね。―――いいわ、すぐにユーシスお兄さんとアルフィン皇女をこの場に来させるように手配してあげる―――と言っても、二人とも既にこの”パンダグリュエル”にいるから内線で二人を呼べばいいだけの事だけどね♪」
オリヴァルト皇子の問いかけに対して目を丸くしたレンだったがすぐに小悪魔な笑みを浮かべて答えた。
「ええっ!?ユ、ユーシスと皇女殿下がこの”パンダグリュエル”にいるんですか!?」
「ええ。二人ともここに来るまでにあった貴賓区画の客室の一室で待機しているわよ。」
「なっ!?という事は我々の通り道にあった客室のどれかに皇女殿下とユーシスが待機していたのですか!?」
「フフッ、ここまで私たちを案内して頂いたレーヴェ様も当然ご存知だったのでしょうね。」
「大方二人が客室にいる事をあたし達が知ればあたし達が二人の奪還を企むかもしれないと思って、教えなかったのでしょうね……」
「フッ………お前達の好きに捉えるといい。」
驚いているエリオットの疑問に答えたレンの答えを聞いたラウラは信じられない表情で声を上げ、苦笑しているシャロンと共にサラは厳しい表情でレーヴェを睨み、二人の視線に対してレーヴェは静かな笑みを浮かべ答えを誤魔化した。
「アルフィン皇女が”パンダグリュエル”にいる理由はあんた達と一緒にカレイジャスに乗り込む為でしょうけど……ユーシスまで既に解放して”パンダグリュエル”に待機させていたのは、まさかとは思うけど”こうなる事も予め予測していた”からかしら?」
「クスクス、それについては女神―――いえ、”レンのみぞが知る”よ♪」
セリーヌの問いかけに対して小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ
「何なのよ、その意味不明な自作の諺は………」
「しかも実際その通りですから、洒落になっていない諺ですね……」
プリネは呆れた表情で、ツーヤは疲れた表情でそれぞれ指摘した。
その後レンは内戦で誰かと通信をした後リィン達と共に退出し、リィン達が退出して数分すると扉が開かれ、アルフィン皇女とユーシスがアリサ達の前に姿を現した―――――
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第46話