No.91312

『身も心も狼に』 第一話:新しい家族

MiTiさん

SHUFFLE!Essence+発売を記念して?
SHUFFLE!SS書かせていただきました。
良ければどうぞ。

2009-08-24 00:47:23 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:10402   閲覧ユーザー数:9257

SHUFFLE! Essence+の発売決定を記念して、

過去に別のサイトで投稿しようとして、

中途半端に書いて残ってた作品を引っ張り出し、

加筆・修正しました。

オリヒロメインの話です。ではどうぞ…

 

 

魔界のとある森。

そこは魔力密度が濃く、様々な高魔力を持つ生物が生息している。

中にはドラゴンやペガサスなどの幻獣も。

 

 

その森の一画に建てられた建造物、研究所ではある計画が進められていた。

『ユグドラシル計画』

重症、重病は魔力が大きいほど、強いほど治せる確率は高くなる。

だが、最高位の魔力を持つとされる魔王、神王でさえも、死者を蘇らせることは出来ない。

ならばどうすればよいか?

その解決策、この計画の目的。それは、人為的に創り出すこと。

魔王、神王をも超え、死者を蘇らせることができるほどの膨大な魔力を持ち、

それを制御出来る存在を創り出すこと。

その研究、実験を行うのに、この森の環境は最適であった。

 

 

計画が進行し、実験体一号の研究が行われているある日、研究所の付近で遊ぶ一匹の子狼がいた。

小動物を見つけ、本能の狩と遊びの半々の感覚で追ううちに、この場所まで来てしまった。

やっとの思いで獲物を捕らえて、親の下へ戻ろうとする。

その時、悲劇は起きた…

 

 

研究所を中心に、その周辺広域を日の光を直視したかのような光で覆われる。

その光が治まったとき、そこには先程まであったものが…

森の一部と研究所が消失していた。

実験体一号。比較的高い魔力を持つ人物を強化して、魔力容量を増大して制御出来るようにする実験。

これは、魔力を制御できず暴走し、失敗に終わった。

この事件により、当時研究所とその周辺にいた人物、生物は全て消失し死亡したことになっている。

だが、その中で、暴走によって人間界に飛ばされた存在がいたことに…

実験体一号と、研究所付近にいた子狼がいたことは誰も知らない…

 

 

side.??

 

目を覚ますと、そこには自分が今まで見たことが無い光景が広がっていた。

花草木の数は自分がいた森よりも少なく、見た事が無いものばかり。

親家族の姿を求めて起き上がろうとするけど、身体全体に激痛が走り出来なかった。

動くことも出来ず、痛みや寂しさ悲しさは増すばかり。

唯一で切るのは弱々しく声を上げて無くのみ。

そんな自分の所に何かが近づく気配がした…

 

side.?? out

 

「え~っと、どこら辺だったっけ?」

 

その場所、公園に現れたのは土見稟。夕方の今、何しに来たのかというと…

その日は楓、桜、そして稟の三人で公園で遊んでいた。

日が赤らみもう帰ろうということになり帰路に着いたところで稟が忘れ物に気付く。

自分達も一緒に行こうかと聞いてくるのに対して、稟はそれでは二人の帰りが遅くなってしまうということで、

その提案を断って一人で公園まで取りに来たのだ。

 

「あ!あったあった♪……あれ?」

 

探し物を見つけて、今度こそ家に帰ろうとしたそのとき、茂みから何かの泣き声が聞こえてくる。

気になって様子を見てみると、そこには全身のいたるところに傷を追った子犬がいた。

 

「た、たいへんだ!ねぇ大丈夫!?」

 

言いながら子犬に駆け寄り、血や泥で汚れることを気にせず抱きかかえる。

声を掛けても返ってくるのは苦しそうな吐息と弱々しい泣き声のみ。

何をすべきか分らなかった稟は、真っ先に浮かぶ自分を助けてくれるであろう人物、

母親に診てもらうべく家路を急ぐ。

 

 

 

日もあと少しで完全に沈みそうなころになった頃、やっと帰ってきた稟を迎えようとした稟の母は、

腕や服を、血による赤や土や泥による黒で汚した稟を見て驚く。

何があったかを聞こうとするが、その前に慌てた様子で稟が言葉を発する。

 

「お母さん!このワンちゃんを助けてあげて!!」

 

ワンちゃんとは何のことか?見ると、稟は傷ついた子犬を抱えていた。

かなり弱っているらしく、彼女は自分が知る限りの応急処置を施した後、

獣医に診てもらうべ為、車を回して稟と一緒に近所の診療所へと向かう。

 

 

獣医に診てもらい、適切な処置を施し、いくつか薬を投与してやっと落ち着くことが出来た。

 

「動物のお医者さん、このワンちゃん大丈夫なの?」

 

「傷は多かったが命に関わるほどの深いものは無かったよ」

 

「そうですか」

 

「ただ…全体的に傷ついていたから相当血を流していましてね。

 疲労もかなりたまっていたから回復も少し遅くなる上、暫くは自由に動けないかもしれません」

 

「そんな…」

 

「心配しなくてもちゃんと看病していれば、時間が経てば元気になりますよ」

 

「本当!?」

 

「ええ」

 

「よかった~」

 

「良かったわね、稟」

 

「で…どうしましょう?この狼、こちらで面倒を見ましょうか?」

 

「それは………狼?」

 

「はい、この子は犬ではなく狼ですね。資料に載ってない見たことのない種でしたが間違いなく。

 ちなみにメスです」

 

「そうなんですか」

 

「それで、どうします?」

 

「それj「ボクがお世話する!」…稟?」

 

「この子は僕が見つけたんだよ!だから最後までボクがお世話する!」

 

「そう…偉いわよ稟。それじゃ先生、そういうことで」

 

「わかりました。それでは餌やリハビリ、薬その他諸々について…」

 

小一時間程にわたり、時々質問をしては獣医が答えていきながら、説明を終え帰路に着く。

 

子狼を抱きかかえる稟は「この子を必ず元気にする」という決意に充ちた瞳をしていた。

 

 

家に着き、稟がまずしたこと、と言うよりさせられた事は風呂に入ること。

昼公園で遊び、夕方傷ついた狼を抱えて走り回った為、服も身体も汚れている。

 

稟としては出来るだけ一緒にいることを望んだが、世話をするに当たり、特に包帯を換えるときなんかは、

出来るだけ清潔であったほうがいいことを教えると、素直に従った。

 

風呂から上がり、まずは子狼の包帯を換えようとした所で、子狼の目が覚めた。

 

side.??

 

目が覚めると、そこは眩しいと感じるくらいに明るい見知らぬ世界だった。

草木は無く、あるのは角ばった物がいくつかと、自分が住んでいた森の中にあったものに似た白く真平らな壁。

 

そして、人間…

 

自分が瞬でいた森には2種類の人間がいた。

一方は、私のことを傍にいて守ってくれる存在。

もう一方は、体の一部を残してそれ以外を布で覆っている存在。

森に入っては、花草木を取っていったり、時々森に住む動物を狩って白い建物に連れて行ってしまう。

 

今目の前にいるのは後者。白い格好こそしていないが、少なくとも前者ではない。

連れ去られない様にと逃げ隠れしようとするけど、上手く力が入らない。

足や身体に巻き付けられている、白く長細い何かを剥がしながら、

私を抱えている人間から何とか飛びのき、隅のほうへと逃げる。

 

近づいて欲しくなくて威嚇してみるけど、2人の内小さいほうが、

威嚇をなんとも思ってないのか、近づいてくる。何をされるかわからず思わず目を瞑った。

 

捕まえられ抱えられ、もうダメだ…と、思ったら、頭を撫でられてた。

 

「…ぶ…から、…いじょ…ぶだから、大丈夫だから」

 

同じ言葉を囁きながら優しく撫でてくれる。

その暖かい感覚、安心する匂いには覚えがあった。

どれくらい前かは分らないけど、痛みからもうダメだと思ったときに感じたもの。

 

全身を包み込んでくれる暖かく優しい何か…私のことを救ってくれたのはこの子なんだ。

 

敵じゃないとわかって安心した途端どっと力が脱けた。そして眠気が襲ってくる。

けど、特に抗うことなく眠りに入る。そこに不安は無かった。

だって、目の前にいるのは自分を救ってくれた優しく暖かな男の子なんだから…

 

side.out

 

 

稟の母は、抱かれながら暴れている子狼を見ながらはらはらしていたが、

抱きしめ撫で続けているうちに暴れるのをやめ、

今はおとなしく稟の腕の中でおとなしく安らかに眠る狼をみて安心する。

 

獣医に話を聞いたときは、狼なのだから、犬と違い勝手も違うのだから獣医に任せたほうがいいのでは?

と思っていたけど、稟の強い希望により家で飼うことに。

目を覚まして直ぐに警戒心を露にしたときはやはり無理かもと思っていたが、

今の様子を見る限り、家で飼っても大丈夫そうだ。

 

ならば…

 

「それじゃ、この子の名前を決めてあげなくちゃね」

 

「名前?」

 

「そうよ。今日からこの子はうちの家族になるんだから。名前が無くちゃね♪」

 

「うん!」

 

そして始まった名前選考会。候補が挙がってはあれやこれやとクレームをつけて、

次々と却下していくこと小一時間…

 

「それじゃあ…ルビナスなんてどうかしら?」

 

「ルビナス?」

 

「そう、この花の名前なんだけどね…」

 

と、図鑑を見せながら話していく。

 

「花にはね、一つ一つに花言葉と言うものがあってね」

 

「うんうん」

 

「ルビナスの花言葉は『あなたは私の心にやすらぎを与える』よ」

 

「………?」

 

「この子が来てまだそんなに経ってないときこの子いろいろと怖がってた。

 でも稟がやさしくしてくれたおかげで仲良くなったでしょ」

 

稟はこれまであったことを思い返してうなずいた

 

「これからも稟みたいに自分に安らぎを与えてくれる人に会えますようにってことだけど…どう?」

 

言っている全てを理解してはいないが今後も幸せであることを祈ってるんだと理解した稟は

 

「それじゃ今からお前の名前はルビナスだ!」

 

この時より、土見家に新しい家族、ルビナスが加わった。

 

 

 

第一話『新しい家族』いかがでしたでしょうか?

今話で新しく土見家に仲間入りしましたルビナス。

彼女がメインオリジナルヒロインです。

何故狼が?と思う方もいると思いますが、想像力豊かな方は予想できるでしょう…

 

ちなみに、ルビナスという名前。

他のSHUFFLE!の登場人物と同様花の名前です。花言葉は本編の通り。

ですが…本当の花の名前はルビナスではなくルピナスです。

語呂的にこっちのほうがいいな~…ってことで一文字変えちゃいました。

 

今後の予定ですが、後数話は過去舞台が続きます。それもルビナス主点の。

これが未来、ゲーム本編の時間まで来るとどうなるかはお楽しみで。

ま~…かなり時間が掛かりますが…

 

ショタ一刀シリーズと並行して書いていくので更に長いことに…

まずはソッチを終わらせてから連載始めろよと言う意見に対しては…

「だってしょうがないでしょう!?」と言わせてもらいます!

貴方は好きなゲームの絵を見ていろんなことを想像するでしょう?

SS作家と言うのはその想像力が一般ピープルよりも豊富な故に、

その執筆欲を抑えることが出来ないんです!(個人的主観)

SHUFFLE!シリーズ(無印、on the stage、チクタク、リアリア)

全て制覇しちゃうほど好きな自分が、

新作SHUFFLE!Eccense+発売を知ってしまって、その欲望を抑えることが出来ようか?いや出来ん!!(反語

 

と言う訳で、出来ればこれからもショタ一刀シリーズ共に今作もよろしく。

 

ps.恋姫†祭りみたいにSHUFFLE!祭りってならないかな?なったら執筆速度も跳ね上がるんだが…


 
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