No.910431

真・恋姫外史 がんばれ一刀お笑い道中~僕が外史に降りた理由~  第八話

アキナスさん

邂逅、そして初陣

2017-06-17 06:37:19 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:3400   閲覧ユーザー数:2879

劉備軍本陣までやってきた一刀と明命は、劉備との対面を果たしていた。

 

「はじめまして。劉備玄徳です」

 

「北郷一刀だ。よろしく頼む。で、彼女が・・・・・・」

 

「周泰と言います。よろしくお願いします!」

 

互いに頭を下げ、挨拶を交わす。

 

続いて、劉備軍の将達が自己紹介を行っていく。

 

「関羽雲長と申します」

 

「張飛翼徳なのだ」

 

「はわわ・・・・・・しょ、諸葛孔明といいます」

 

「あわわ・・・・・・ほ、龐統士元です・・・・・・」

 

一通りの自己紹介の最中、一刀は脳内で尻評価を行っていた。

 

(劉備玄徳・・・・・・見事な桃尻だ。関羽は尻も中々だが、どちらかというと脚がいいな。張飛は・・・・・・スパッツとはな。しかし子供っぽすぎて色気はゼロだな。まあこっちとしては欲望を抑える努力しないですむから助かるが。孔明と龐統は小柄だが、中々美しい尻の持ち主のようだな)

 

本人達に極力気づかれないよう一瞬視線を走らせたうえでの感想だった。

 

本来なら堂々と褒め称える所だが、一刀は精一杯欲望を抑えつつ平静を装っていた。

 

明命に対してもそうだったが、欲望を抑えられたのは一重に、蓮華という至高の尻の持ち主と既に出会っていたことが大きかった。

 

もっとも、こんな所で醜態を見せては呉のイメージダウンもはなはだしいので抑えられなければ困るのだが。

 

「この度はそちらも大変な中、援軍に来てくださって本当にありがとうございます」

 

「いやいや。で、早速で悪いが、時間も無いようなんで作戦説明をお願いしたいんだが」

 

「分かりました。朱里ちゃんお願い」

 

「はい」

 

劉備の言葉に頷き、孔明は作戦説明を始める。

 

「まず私達は正面から黄巾党の攻撃を受け止めます。北郷さん達には機を見て黄巾の背後から奇襲を仕掛けてもらいたいんです」

 

「ふむ」

 

「敵が動揺した所を私達が一気呵成に攻め立てます。北郷さん達はその後、遊撃部隊として敵を混乱させつつ独自の判断で戦っていただきたいんです」

 

「遊撃か。まあ、そっちの方が戦いやすいかもな。そっちの隊に組み込まれて即席で連携が上手く行くか疑問だし・・・・・・」

 

「やっていただけますか?」

 

「ああ。ただ、馬を貸してくれるか?騎兵で構成した方がやりやすい」

 

「分かりました。ご用意します」

 

「決まりだな」

 

「では準備が出来次第、出撃しましょう」

 

こうして場は解散となった。

 

「北郷さん。よろしくお願いします」

 

「ま、やれるだけやってみるさ」

 

劉備に手を振りつつ、一刀は明命と共に自分の隊へと戻っていく・・・・・・

 

 

 

 

 

「明命」

 

「はい」

 

「意見聞かずに話進めちゃったけど、あれで良かったか?」

 

「大丈夫だと思います」

 

「そっか・・・・・・」

 

「どうかしましたか?」

 

「いや。俺、今回が初陣だから、不安でな」

 

「ご心配なく。一刀様は私がお守りします」

 

「・・・・・・頼りにしてるよ」

 

心強い反面、自分が情けないとも思う一刀であった・・・・・・

 

 

 

 

 

劉備軍と黄巾党の戦いが始まった。

 

「行くのだ~~!!」

 

「皆の者!私に続け~~!!」

 

正面からぶつかりあう両軍。

 

その様子を、一刀達は離れた場所から遠目に眺めていた。

 

「始まったな・・・・・・」

 

「はい」

 

「ようするに、敵が完全に劉備軍だけに注意がいっている時を狙って突っ込めばいいんだよな」

 

「そうです」

 

「・・・・・・」

 

固い表情で戦場を見つめる一刀。

 

無理も無いが、相当に緊張しているようだ。

 

そんな一刀の心境と関わりなく、戦況は刻一刻と変化していく・・・・・・

 

 

 

 

 

「一刀様。そろそろ頃合かと」

 

「・・・・・・ああ」

 

明命の言葉に頷く一刀だったが、その緊張は極限に達していた。

 

額には汗をかき、喉はカラカラ。おまけに全身の震えがとまらない。

 

「明命」

 

「はい?」

 

「俺の頬を思いっきり引っ叩いてくれないか?」

 

「ええ!?」

 

突然の申し出に驚く明命。

 

「気合だよ気合。ここまで来てブルってる俺に気合を入れて欲しいんだ」

 

「で、でも・・・・・・」

 

「頼む」

 

戸惑う明命だったが、一刀の真剣な表情を前に断る事は出来なかった。

 

「・・・・・・分かりました。では、歯を食いしばってください」

 

言われたとおり歯を食いしばり、痛みに備える一刀。

 

「てえい!」

 

それから間を置かず、明命はスナップを利かせたビンタを一刀の頬に見舞った。

 

乾いた音が辺りに響き渡り、一刀の頬には真っ赤な手形が刻まれた。

 

「・・・・・・」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「・・・・・・おかげで震えが止まった。ありがとよ」

 

顔をしかめつつ礼を言う一刀。

 

「ど、どういたしまして」

 

「うん・・・・・・よし」

 

一刀はようやく覚悟を決めた男の顔になり、戦場へ向き直った。

 

「それじゃ行くか!」

 

「りょ、了解です!」

 

「総員突撃ぃーーー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

劉備軍に全ての注意を向けていた黄巾党の兵たちは、背後からの奇襲に完全に意表を突かれた形となった。

 

「う、うろたえんじゃねえ!あれだけの数で何ができるって・・・・・・」

 

「ふっ!」

 

声をあげていた男はその言葉を言い終える前に、明命に首を落とされていた。

 

その後も明命は先頭を切り、目にも留まらぬ斬撃で敵兵の命を奪っていく。

 

一方、一刀はというと・・・・・・

 

「うらあ!」

 

気合と共に鞭を振るっていた。

 

その鞭は練習に使っていた皮の鞭ではなく、棘に覆われた茨の鞭である。

 

「うぎゃあ!」

 

致命傷こそ与えられていないものの、鞭打たれて負傷した兵士達は一様に苦痛に顔を歪め、悲鳴を上げてのた打ち回った。

 

「何だ!?」

 

「後ろだ!後ろから敵が攻めて来てるぞ!!」

 

黄巾兵に動揺が広がっていく。

 

その隙を劉備の将たちは見逃さなかった。

 

「愛紗!」

 

「分かっている!行くぞ鈴々!!」

 

「なのだ!」

 

攻勢に出る劉備軍。

 

心身共に鍛えられた兵士達と将であれば、統率を回復して態勢を立て直す事もできたかもしれないが、黄巾党は賊軍。

 

混乱の収拾もままならず、戦線は崩壊の一途を辿っていく。

 

「舐めるなよガキが!」

 

馬に乗った大将格と思われる男が、張飛に対し朴刀片手に突っ込んでくる。

 

「鈴々は子供じゃないのだ!」

 

「うるせえ!」

 

張飛の強さを目にしてなお、彼女に向かって行けたのは勇猛というべきか蛮勇と言うべきか。

 

いずれにしろ、彼は一合も斬り結ぶ事も無く、張飛の蛇矛で腹部を貫かれた。

 

血を吐き、絶命する大将の姿を見てみるみる戦意を失っていく黄巾の兵士達。

 

「今だ!皆の者!一気に賊共を討ち滅ぼせ!」

 

「「「「「「うおおおおおおおおおお!!」」」」」」

 

それとは逆に、劉備軍の士気は天井知らずに上がっていく。

 

結局これが決定打となり、戦意を失った黄巾の兵たちは劉備軍の兵士達に次々と殲滅されていった。

 

 

 

 

ちなみに一刀率いる孫呉の部隊は、

 

 

 

 

「騎兵隊だ~~!!」

 

 

 

 

背後からの奇襲の後はヒットアンドアウェイを繰り返しつつ、作戦通り敵を混乱させながら戦場を走り回っていた・・・・・・

 

 

 

 

 

 

戦いを終え、一刀と明命は再び劉備達と対面を果たしていた。

 

「北郷さん。周泰さん。本当にありがとうございました。今回勝てたのはお二人と、孫呉の精兵の方々のおかげです」

 

「いや、そこまで大した事はして無いが」

 

「いいえ。本当に助かりました。私達だけでは正直、別働隊に兵を割く余裕もありませんでしたので」

 

謙遜する一刀に孔明が言葉をかける。

 

「まあ、お役に立てたならなにより。で、早速で悪いんだが俺達はもう行かせてもらうよ」

 

「え?もう行っちゃうんですか?」

 

「孫呉の本隊が気になるんで。大丈夫だとは思うけど、やはり心配なんでね」

 

「もっともな理由です桃香様。引き止めるのは失礼に当たるかと」

 

「・・・・・・うん。そうだね」

 

関羽の言葉に頷く劉備。

 

 

 

 

「それじゃ失礼。また会える日まで壮健で」

 

 

 

 

「はい。北郷さんたちも」

 

 

 

 

こうして劉備軍の面々と別れた一刀達は、孫呉の本隊へと戻って行った・・・・・・

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

初陣を終えた一刀君。

 

桃香たちとの接点も出来たわけですが、これからどう関わっていくのでしょうか?

 

ではまた次回・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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