No.902338

英雄伝説~光と闇の軌跡~エレボニアカオスルート

soranoさん

第26話

2017-04-22 23:36:52 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1926   閲覧ユーザー数:1651

~モルテニア・ブリーフィングルーム~

 

「バリアハート制圧作戦、パンダグリュエル制圧作戦ではそれぞれアルバレア公、”総参謀”ルーファス・アルバレアと大手柄首となる者達を自らの手で討ち取り、更にはバリアハート制圧作戦では”想定外の相手”である”有角の若獅子達”とその協力者達をよくぞ撃退した。」

「……身に余るお言葉、恐悦至極に存じます。ですが、それらは全て俺だけの力で成し遂げた訳ではなく、エリゼやセレーネ、ステラ、そしてベルフェゴール達――――多くの仲間達の支えによるものです。」

リウイの賛辞に対してリィンは謙遜した様子で答えた。

「確かに仲間達の支えもあるだろうが、今までの活躍はお前自身の努力の賜物でもあるのだからもっと自分に自信を持つといい。」

「……御意。」

「さて……エリゼとセレーネが自分達の望みをお前に譲った事でお前が望める褒美は3個となったが……何を望む?」

「………………俺が望む褒美の一つは………――――戦争状態に陥ってしまったメンフィル帝国とエレボニア帝国の和解です。」

リウイの問いかけに対して少しの間考え込んでいたリィンは決意の表情でリウイを見つめて自身の望みの一つを答えた。

「フム………従軍義務が免除されているにも関わらず今回の戦争にお主が従軍した理由をエリゼやシグルーンから聞いていたが………我が国とエレボニアの和解を望む理由やはり、両親の為か?」

リィンの望みを聞いたリフィアは静かな表情でリィンに問いかけた。

「―――はい。幼い頃よりメンフィル帝国に留学していた俺とエリゼは元祖国であるエレボニアに対してそれ程思い入れはありませんが、俺が父さんに拾われるまで……―――いえ、俺やエリゼが生まれるまでエレボニアの貴族であった父さんと母さんはエレボニアに思い入れがあり、特にエレボニア皇族である”アルノール家”の方々に対しては今でも自分達にとって大切に思っています。」

「……実際藁にも縋る思いで他国の貴族になった自分達を頼って貴族連合軍の目を盗んでユミルに避難してきたアルフィン皇女を匿った件もありますものね。」

「―――最も、その恩は仇で返される形になってしまい、我が国とエレボニアは戦争状態に陥ってしまったと言っても過言ではありませんが。」

「ファ、ファーミシルス様。」

リィンの説明を聞いたイリーナは静かな表情で答え、イリーナに続くように呆れた表情でアルフィン皇女に対する皮肉を口にしたファーミシルスの答えを聞いたペテレーネは冷や汗をかいた。

 

「和解の為にはメンフィルが要求する和解条件が書かれてある契約書に”エレボニアの代表者”の資格を持つ者が調印をしなければならない問題があると思うのだが………」

「あら、それなら”パンダグリュエル制圧作戦”で都合良く捕縛したアルフィン皇女に調印させればいいじゃない♪」

「……アルフィン皇女は”帝位継承権”を持つエレボニア皇族ですから、”エレボニアの代表者”であるユーゲント皇帝の代理人としての資格はありますね。」

レーヴェの疑問に対してレンは小悪魔な笑みを浮かべて答え、エクリアは静かな表情で答えた。

「ただ仮にアルフィン皇女に和解条件の契約書に調印させるにしても、メンフィルでもなく、エレボニアでもない中立地帯で国際的な立場がある中立勢力の人物が立ち会った状態で調印してもらわないと、七耀教会のような他勢力や他国―――特にエレボニアと友好を結び、メンフィルと同盟を結んでいるリベール王国が口出ししてくる可能性が考えられますが……」

「ならば、場所をリベールに用意させてアリシア女王かクローディア姫、後は七耀教会の代表者を立ち合わせれば問題はないだろう。元々アリシア女王達はメンフィルとエレボニアの戦争をできれば止めたいと思っておったから、事情を話せば調印の場の提供や立ち会いに応じてくれるだろうしな。」

「後は遊撃士協会の代表者も立ち合わせた方がいいわよ♪ユミル襲撃の件は僅かだけど間接的に遊撃士も関わっていたんだから、遊撃士協会はメンフィルのエレボニアに対する要求に対してあまり文句は言えない立場でしょうし♪」

真剣な表情で考え込みながら呟いたシグルーンの疑問に対してリフィアが答え、リフィアに続くように小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「”神速”の件に続いてまた随分と悪辣な事を思いつきましたね、レンさん………」

「もう……確かに政治は時には腹黒い事をする事も必要だけど、あまりやりすぎたら貴女の謀略によって酷い目にあわせられた人達が貴女への”報復”をする為にメンフィル帝国全体を巻き込もうとする事もあるのだから、できればそう言った手段はとらない方がいいのよ?」

ツーヤと共に疲れた表情になったプリネは気を取り直して真剣な表情になってレンに指摘し

「うふふ、確かにプリネお姉様の言う通りね。ちょうど”鉄血宰相”がその見本ね♪」

自分の指摘に対して小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの答えを聞いたその場にいる全員は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「洒落になっていないわよ、レン……」

「………”鉄血宰相”の事は置いておいて、実際レン皇女殿下の仰る通り遊撃士協会も調印の場に参加させた方がよいかと。調印の場に立ち会う中立勢力は大いに越した事はありませんし。」

ペテレーネは呆れた表情でレンに指摘し、ゼルギウスはレンの提案に賛成するかのような意見を口にした。

「………そうだな。―――リィン。お前の望み通り、メンフィルがエレボニアと和解する事を叶えてやっても構わないが……先程の俺達の会話を聞いていたのならばわかると思うが、和解の為にはエレボニアは自国の広大な領土を始めとした様々な”代償”をメンフィルに差し出さなければならない。そしてその結果エレボニアは衰退してしまうだろう。それでも構わないのか?」

ゼルギウスの意見に同意したリウイはリィンに確認した。

「―――はい。今回の戦争の原因はエレボニア帝国。代償も無しにエレボニア帝国の内戦に巻き込まれた他国―――メンフィル帝国の”怒り”を鎮める事ができるなんて、常識で考えれば不可能である事は俺が戦争に参加した時から理解しています。それに確かに陛下の仰る通りエレボニアは我が国が要求する様々な”代償”によって、衰退してしまうでしょうが……それでも独立した国家として保つ事ができます。かつて”特務支援課”に出向し、領有権の争いに巻き込まれていたクロスベルをその目にし、ロイド達からも俺が来る前のクロスベルの状況を教えて貰った俺からすれば、戦争に敗北しても独立した勢力でいられる事ができれば十分だと思っています。」

「お兄様………」

「フッ、だがリィンの言う事も一理あるな。」

「うふふ、リィンお兄さんが来る前―――いえ、ヴァイスお兄さん達がクロスベル警察、警備隊の上層部になる前のクロスベルはもっと酷かったものねぇ?」

(”クロスベル問題”、ですね……)

リィンの答えを聞き、リィン同様クロスベルの現状をその目にし、かつての仲間達からも昔のクロスベルの状況を教えてもらった事がある為リィンの気持ちも理解していたセレーネは複雑そうな表情をし、静かな笑みを浮かべるレーヴェの言葉に続くようにレンは小悪魔な笑みを浮かべて呟き、ステラは静かな表情である事を思い出していた。

 

「………いいだろう。お前の望み通り、これよりメンフィルはエレボニアとの和解に向けて本格的な行動をする事を前メンフィル皇帝にして現メンフィル大使、リウイ・マーシルンの名においてこの場で確約する。」

「あ、ありがとうございます……!」

「―――ただし、既に兵達にも知らせてある作戦―――12月8日の”オルディス制圧作戦”については中止する事はできない。そこは了承してもらうぞ。」

「ハッ!メンフィル帝国の御慈悲に心から感謝致します!」

リウイの確認の言葉に対してリィンは会釈をして答えた。

「うふふ、それでリィンお兄さん。残り二つの望みはどんな内容なのかしら?」

するとその時レンが興味ありげな表情でリィンに問いかけた。

「それは………………」

レンの問いかけに対してリィンは答えを濁しながら考え込んでいたがふとある人物―――”蒼の深淵”の指示によって母を誘拐しようとしたが、失敗し、メンフィル帝国に囚われたアルティナ・オライオンの事を思い出した。

「二つ目の望みは現在メンフィル帝国が拘束している貴族連合軍もしくは結社に所属していると思われる人物―――アルティナという名の少女の身柄を俺―――いえ、シュバルツァー家に渡して頂き、彼女の今後についてはシュバルツァー家に一任して頂く事です。」

「え…………」

「アルティナさんと言うと確かルシアおばさまを誘拐しようとしていた………」

リィンの口から出た二つ目の望みの内容を知ったエリゼは呆け、セレーネは目を丸くした。

 

「アルティナ………確かその方はユミルでルシア夫人の誘拐をしようとし、セオビット様達に阻まれて失敗し、囚われた方でしたよね……?」

「………ああ。何故奴の身柄を引き受けようと思ったのだ?奴はお前の母を誘拐しようとしていた張本人だぞ。」

一方かつての出来事を思い出していたペテレーネの確認の言葉に頷いたリウイは眉を顰めてリィンに問いかけた。

「確かに彼女は母さんを誘拐しようとしましたが、陛下達のお陰で”未遂”で済みました。それに彼女の幼い見た目には見えない言動から予測すると、恐らく彼女は幼い頃から彼女が所属していた組織によって”組織の駒”になるように育てられたせいで、犯罪を躊躇いなくできるような子供になったのだと思っています。」

「………まあ、その可能性も十分にありえるだろうな。」

「……そうね………」

リィンの説明を聞いたレーヴェとプリネは幼い頃結社の”蛇の使徒”の暗示によって”執行者”に仕立て上げられた人物――――ヨシュアを思い浮かべて重々しい様子を纏った。

「ちなみに彼女―――アルティナはあの後陛下達によって本国に連行されましたが、彼女は何者なのかわかったのでしょうか?」

「……ファーミシルス、教えてやれ。」

「ハッ。………”黒兎(ブラックラビット)”アルティナ・オライオン。結社”身喰らう蛇”に所属している工房―――”十三工房”の一角である”黒の工房”によって造られた人造人間(ホムンクルス)よ。」

リィンの質問を聞いたリウイに促されたファーミシルスはリィンにアルティナの情報を教えた。

 

「人造人間(ホムンクルス)………?」

「……人造人間(ホムンクルス)とは錬金術等によって生まれた人―――”造られた人”です。」

初めて聞く言葉に首を傾げているリィンにペテレーネが説明した。

「なっ!?」

「と言う事はアルティナさんに両親は………」

「ええ……”最初から存在していない”でしょうね。」

ペテレーネの説明にリィンが驚いている中ある事を察したセレーネは辛そうな表情で言葉を濁し、複雑そうな表情をしているエリゼがセレーネの代わりに答えた。

「奴が人造人間(ホムンクルス)である事を考えるとお前の言う通り、奴を造った組織に裏工作や破壊工作を行うエージェントとして教育されていた可能性は非常に高いだろう。………奴の出自を知ってもなお、奴を引き取りたいと思えるのか?」

「―――はい。彼女が何者かは俺にとっては些細な事です。それにそう言う特殊な出自の人物は既に俺の傍にいて、その人も俺達と同じ”人”である事がよくわかっていますので……」

(ふふふ、ご主人様の傍にいる”特殊な出自の人物”ですか。)

(一体誰の事かしらね♪)

(ア、アハハ……間違いなく合成魔物(キメラ)である私の事でしょうね。)

(と言うか、広い意味で考えたらメサイアに限らず私達もその”特殊な出自の人物”になるのだけどね……)

リウイの問いかけに対して答えたリィンの答えを聞いたリザイラとベルフェゴールはからかいの表情でメサイアに念話し、メサイアとアイドスはそれぞれ苦笑していた。

「うふふ、確かに合成魔物(キメラ)のメサイアお姉さんを受け入れているのだから、人造人間(ホムンクルス)なんて”今更”よね♪」

そして小悪魔な笑みを浮かべて答えたレンの指摘を聞いたその場にいる多くの者達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「レン、その言い方はメサイアさんに失礼にあたるから止めなさい。」

「はーい。」

我に返ったプリネはレンに注意し

「……リィンさん。彼女を引き取りたいと思ったのは、もしかして幼いながらも既に裏組織の使い手として育て上げられた彼女を”憐れ”と感じたからですか?」

「確かに彼女を”憐れ”と思った事は無いとはいえませんが、彼女を引き取りたいと思った一番の理由はカシウス准将の教えによるものです。」

「え……どうしてそこにカシウスさんの名前が出るのですか?」

イリーナの問いかけに対して答えたリィンの答えを聞いたツーヤは戸惑いの表情でリィンに訊ねた。

「……かつて陛下達がカシウス准将に俺を鍛えてもらうように依頼して頂き、カシウス准将が俺を鍛えていた時にカシウス准将から剣以外で”絆”について教えて貰いました。『人は様々なものに影響を受けながら生きていく存在だ。逆に生きているだけで様々なものに影響を与えていく。それこそが『縁』であり―――『縁』は深まれば『絆』となる。そして、一度結ばれた『絆』は決して途切れることがないものだ。遠く離れようと、立場を違(たが)えようと何らかの形で存在し続ける……』、と。だから彼女―――アルティナ・オライオンの件も俺の”縁”と思い、彼女を引き取ろうと思ったのです。」

「兄様………」

「フッ、まさかここでもエステル・ブライトや”剣聖”の意志が働くとはな。」

「フフ、さすがセリカ様をも救ったエステルさんの御父上……と言った所でしょうか。」

「うむ、何せ余が認めた友の父じゃから、当然じゃな!」

「ふふっ、”剣聖”カシウス・ブライト………話に聞いていた以上の人格者のようですわね。」

「ああ……機会があれば私達も一度会って、話をしてみたいな。」

リィンの話を聞いたエリゼが驚いている中レーヴェは静かな笑みを浮かべ、エクリアは微笑み、リフィアは自慢げに胸を張り、微笑んでいるシグルーンの言葉にゼルギウスは静かな笑みを浮かべて頷いた。

 

「……お前がアルティナ・オライオンを引き取りたい理由は理解した。だがアルティナ・オライオンは裏組織―――”黒の工房”に所属しているエージェント。奴は下手をすればお前達が奴にかけた慈悲を裏切り、再び”蒼の深淵”の指示によってルシア夫人やエリゼを攫おうとする危険性がある事は理解しているな?」

「―――はい。勿論そうならないように最大限に気を付けるつもりですし、ベルフェゴール達にも協力してもらう所存です。」

「うふふ、ベルフェゴールお姉さん達にも協力してもらうのだから、そのアルティナって娘はリィンお兄さん達を絶対に裏切れないでしょうね♪」

「た、確かに………」

「フフ、魔神に精霊王女、古神の目を欺いて寝首を掻く者等双界を探してもいないでしょうね。」

リウイの念押しに頷いたリィンの話を聞いたレンはからかいの表情で答え、レンの答えを聞いたツーヤは苦笑し、ファーミシルスは静かな笑みを浮かべた。

「わかった。望み通りアルティナ・オライオンの身柄をお前達に委任するように手配をしておく。それと奴が操っていた人形―――”クラウ=ソラス”だったか。その人形の残骸も残してはいるが、元通りに直しておいてやるのか?」

「……その件については俺では判断する事が厳しいので、恐れ多いですが陛下達の判断に委ねます。」

「―――いいだろう。最後の望みはなんだ?」

そしてリィンの言葉に頷いたリウイはリィンの最後の望みを問いかけた。

 

 

 

今回の話でお気づきと思いますがリィンはあるフラグを建てましたww……え?セオビット達にぶっ壊された人形を直すにしても直せるのかって?そんなの”作る事”に関しては最強の誰かさんに頼めば問題ない……というか下手したら原作より強化されるかも(ぇ)そして和解の件で遊撃士協会を黙らせようとするレンちゃんの真っ黒さは相変わらずというかむしろカオスルートだけあってレンちゃんの真っ黒な部分が輝きまくっている気がwwなおアルティナの設定に関してはウィキペディアの情報から推測しただけなので、この小説のオリジナル設定だと思ってください


 
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