「まさに……夢の艦隊」
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マイ「艦これ」「みほちん」
:46話<夢の艦隊と赤城さん>(改)
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一同は鎮守府内の広場に出た。そこを通って少し内陸側に入ると、がっしりとした建物が見えてきた。
その建物に近づきながら祥高さんが説明をする。
「ここが艦娘の装備などの修理を行う『工廠(こうしょう)』です」
「ほう、これが」
「なるほど普通の鎮守府よりは遥かに小さいですね」
「……」
またしても三者三様。
「いま中に入れそうか?」
私が聞くと
「そうですね。本当に忙しいと夕張さん外で作業していますけど……まぁ今日は大丈夫でしょう」
応える祥高さん。
「夕張さん?」
私の言葉に彼女は応えた。
「ここの修理全般を担当する艦娘です。ちょっと、のめり込む性格なので作業に熱中していると周りが見えなくなるみたいです」
そんなものなのか?
改めて建物の外観を見る。普通の倉庫程度の大きさだ。大きな室外機がブンブンと唸り声を上げ窓には幾つもの換気扇が忙しく回っていた。
「では」
そう言いながら祥高さんは入口の重い扉をガラガラとスライドさせた。
私たちが中に入ると窓を閉め切った中で、むっとしている。鉄が溶けるような独特の匂いが漂う。海軍工廠では、よく接するもので参謀たちも慣れた感じだ。バチバチと溶接をする音が室内に響き渡っている。向こう側に大きな火花が見えた。
祥高さんは振り返る。
「私たち艦娘の武器……艤装は体のサイズが基本なので大掛かりな設備は要りません」
周りの騒音に負けじと少し声を張り上げた祥高さん。それはこの参謀たちは誰もが知っていることだろうが一様に感嘆の表情を浮かべている。
「凄いですな」
「まさに……夢の艦隊」
「……」
そうだ、これが艦娘の特筆すべき点なのだ。
繰り返すが艦娘には大規模なドックや地上設備は不要だ。それでいて美保のように小さな鎮守府でも普通の鎮守府に匹敵する戦力が確保出来る。
まだ美保鎮守府は実験段階だ。しかしここでの運用に問題が無いと判断されれば今後、同じような鎮守府が全国各地に増設されるのだろう。
それは帝国海軍の艦隊運用だけではない。世界の国家防衛概念そのものを根底から覆す可能性を秘めている。まさに革命的な変革。あの本省の青年将校が熱を帯びるほど力を入れるのも分かる気がした。
『司令……その……有り難う御座いました』
いかん……突如として山城さんの台詞が頭を巡った。
そう、その巨大な戦力と同時に、さっきの山城さんのように感情のブレが大きい艦娘がいるのもまた事実だ。艦娘の艦隊運営は一筋縄ではいかない。物事は、そう簡単にはいかないのだ。
私たちは建物の奥の火花の発生源まで近づく。するとそこには長身の少女が向こう向きに立っていた。艦娘だろう。簡易マスクをして溶接作業を見守っている。
彼女の向こう側に座って作業をしている青いリボンの頭が見えた。もう一人艦娘が居るな。あれが『夕張さん』か?
立っている少女は時々修理を担当している艦娘に指示を出したり声を掛けていた。
「あ……」
私は思わず声を出した。そうだ、あの長髪の後姿には見覚えがあった。その赤いスカート……。
「赤城さん、君か」
そう、彼女は舞鶴から馳せ参じていたんだ。すると少女は私の声に振り返った。
「司令?」
一瞬、驚いたような表情を見せた彼女。
私は言った。
「さっきの戦闘後、姿が見えないな……と思ったら、こんなところに居たんだ」
やや大きい瞳を開いた赤城さんは微笑みながら短く言った。
「はい……久しぶりの本格的な戦闘でしたから」
そう言いながらマスクを外した彼女。キリッとした表情になって私たちに向き直ると敬礼をした。
「舞鶴鎮守府所属の一航戦、赤城と申します!」
私を始め参謀たちも敬礼を返した。一航戦……正規空母の頂点とも言える彼女。やはりその所作はキビキビして気持ちが良い。恐らく私の背後に居る舞鶴も誇らしいだろう。
私たちは直ぐに敬礼を解いた。ところが……どういうわけか赤城さんが凍り付いている。
「どうした?」
……敬礼を解いても良いぞ、と私が言いかけた途端、彼女はボロボロと大粒の涙を流し始めた。
「お……」
焦った私は言葉が続かない。ちょ、ちょっと赤城さんストーップ!
平静を装いながら私は心で叫んだ。いきなり涙なんて……また誤解されるじゃないか!
周りの参謀たちも、この場をどう取り繕って良いのやら少々困惑気味だ。舞鶴なんか完全に呆れたような表情だぞ。
まったく今日は艦娘相手に時間の一時停止(ポーズ)が連続して起きる……はぁ、苦手だ。もう堪忍して欲しい。私自身、不慣れなことの連続で、もう心臓が止まりそうだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほちん」とは「美保鎮守府」の略称です。
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参謀たちと鎮守府内を視察する司令。彼は工廠で赤城さんと出会ったが、そこでまたまた事件が?