No.900638

真・恋姫無双 ~今度こそ君と共に~ 第13話

今回は曹操との対面並びに愛紗の抗議の場面なので、雪蓮は登場しません。

では第13話どうぞ。

2017-04-09 23:08:34 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:10780   閲覧ユーザー数:6193

雪蓮が劉備の陣に行っている時、一刀の陣に新たな来訪者が現れた。

 

それは先程軍議で出会った曹操だが、軍議ではお互いの自己紹介をしたのみで一刀は早々に引き上げて来た為、会話はしていなかった。

 

「先程は挨拶しか出来なかったわね…『天の御遣い』さん」

 

いきなり陣へ入ってくる曹操とその従者達であるが、過去の外史で雪蓮が曹操軍に暗殺された事を記憶している冥琳は目の色が変わる。

 

「勝手に入ってくるとは……貴様、何処の誰だ!!」

 

「黙れ下郎!曹操様に向かってなんという口の利き方…」

 

「はぁ!?ここは私たちの陣だ!勝手に入って来て何、言ってるんだお前?一度顔洗って出直して来い!」

 

曹操が無断で陣に入ってきた事に梨晏がそれを咎めるが曹操の家臣である夏候惇が梨晏に負けずに反論、お互い睨みあうが

 

「はぁ…姉者。少し黙ってくれないか?私たちが無断で入って来たのは事実な事だ」

 

妹の夏侯淵が夏候惇に大人しくする様に言葉を掛けると夏候惇は渋々これに従うが、今度は別のところ大声が

 

「あ―――!流琉、何でこんなところにいるんだよ!?」

 

「季衣こそ、何でここにいるのよ!?」

 

季衣こと許緒と流琉がお互い大声を出していた。

 

「だって僕、曹操様に仕えて、流琉と一緒に曹操様に仕えようと村に手紙を送ったんだよ!だけど流琉から返事が無くてどうしているのかなと心配してたのに!!」

 

「……ごめんね季衣。多分季衣の手紙が届く前に私、料理の修行の為、村を出ていて季衣の手紙読んでないんだ」

 

「そうか…なら仕方ないや。じゃ今から一緒に曹操様に仕えようよ!」

 

「ちょっと待ってよ、季衣!私、今、お兄様に仕えているんだから、そんな事できる訳ないでしょう!!」

 

季衣からの思わぬ勧誘を受けるが、即座に断る流琉。

 

「季衣、流石にそれは失礼だぞ」

 

「だって秋蘭様…」

 

秋蘭こと夏侯淵が季衣の発言を咎めるが、季衣は流琉と再び離れることに諦めきれない表情をしているが

 

「季衣、まだ諦めるのは早いわよ。もしかしたらお友達と一緒に仕えることができるかもしれないわよ」

 

「それどういう事ですか、華琳様?」

 

「まあ見てなさい」

 

曹操は一刀の方に向き

 

「ごめんなさい、私の家臣が失礼な事をして、自己紹介は先程したので省くわ。貴方達、私に仕える気はないかしら?」

 

突然の話だが曹操の事だろうから、恐らく本気で聞いていると一刀は思った。

 

「お待ち下さい、華琳様!このような男を召し抱えるおつもりですか!?」

 

「あら?桂花は反対なのかしら?この者は男としては優秀な人材だと思うけど?」

 

「他の者は良いとして、目の前の男は反対です!男なんて野蛮で、力だけが取り柄だけで女性より有能な訳ありません!!

 

ネコミミフードを被った女性は、桂花こと荀彧と言い、曹操が一刀を取り立てる事に真っ向から反対する。

 

この荀彧は大の男嫌いで、私用は勿論仕事中でも自分に近づく男性に対して常に悪口雑言を吐いており、この場には居ないが曹洪こと栄華も荀彧同様、男性に悪口雑言共に吐いていたことから曹操軍男性嫌いの双璧と言われ、曹操軍の男性連中から嫌われていた。

 

荀彧の発言に対し、腹を据えかねていた一刀が敢えて逆に挑発を始める。

 

「何、言ってるんだ?一つ言っておくが、俺は曹操殿に仕えるとは一言も言ってないぞ」

 

「何ですって!?華琳様に会うことですら光栄な事なことなのに、まして華琳様の誘いを断るなんて!これだから”男”は信用できないのよ!!」

 

一刀の言葉に荀彧は一刀に突っかかる。

 

「じゃ君は、女は男より全てに優れており、男は女に下僕として従うだけの存在とでも言うのかい?」

 

「そうよ。それ以外の答えがあるかしら」

 

荀彧はドヤ顔で答えるが胸を張るが、一刀はそれを無視して曹操に話を振る。

 

「曹操殿。もう少し真面な軍師を採用した方がいいと思うけど…」

 

「……申し訳ないわ。この子は男を見れば誰に対しても暴言を吐くのよ」

 

荀彧は一刀に対して何か喚き散らしているが、曹操は溜息を吐きながら謝罪をする。

 

「許突猛進の将に狭窄症の軍師がいる軍か……悪いがそんな者がいるところに仕えると酔狂な事に付き合っている暇はないよ」

 

一刀の言葉に夏候惇が完全に切れた。

 

「貴様ぁぁぁ—―――!!」

 

夏候惇は問答無用とばかりに愛刀の『七星餓狼』を抜いて一刀に襲い掛かる。

 

しかし夏候惇は一刀に馬鹿にされた事により完全に冷静さ失っており、刀の振りが大きかったので一刀は体を躱して、夏候惇の足に自分の足を引掛け、夏候惇を転倒させる。

 

そして一刀は刀を転倒した夏候惇の目前に突き付ける。

 

「姉者!」

 

「春蘭様!」

 

「おっと動かないでね」

 

「季衣、動かないで!!」

 

夏侯淵と許緒が夏候惇を助けようとするが、梨晏と流琉がそれぞれ武器を取り出し二人を制止する。

 

「さて…いきなり剣で斬りかかるのが貴女方の流儀ですかな?曹操殿。勧誘する前にまずは部下の教育はしっかり躾けて欲しいものですな。幸い我が主が身を躱したから良かったものの、下手したら殺されていたかもしれません…で、この落とし前をどうするおつもりですか」

 

冥琳が曹操を見下す様な目をしながら、曹操に何らかのケジメを付ける様に示唆する。

 

「家臣の不始末、私が代わりに謝罪するわ。申し訳ない、北郷殿」

 

曹操は深々と頭を下げ謝罪すると、夏侯淵や許緒は曹操に追随する様に謝罪し、荀彧は一刀を敵意剥き出しにしながら形だけ頭だけ下げるが、騒ぎを起こした夏候惇は

 

「申し訳ありません!華琳様!」

 

完全に謝罪する相手を間違っているので曹操から叱責を受け、漸く一刀に頭を下げた。

 

「俺も怪我なく無事だし、もう気にしてないから。頭を上げてください、曹操殿」

 

一刀は挑発し過ぎたのもあったのか、曹操たちの謝罪を受け入れた。

 

「北郷殿、今日はこれで帰るけど、私は貴方を諦めた訳ではないわ。私は欲しいと思ったものは全て手に入れてきた。だからいつの日か必ず貴方達を私の膝下にひれ伏せさせてみせるわ」

そう言い残して曹操達は帰っていった。

曹操たちが帰って行く姿を見て流琉は親友である許緒と再び分かれることとなった、立ち去る姿を見て、流琉は一刀に呟く。

 

「お兄様…もう昔みたいにいつでも一緒ってという訳にはいかないですね…」

「確かに……でも再び縁が戻る可能性もある。それを信じようじゃないか」

 

「そうですね…それを信じてみます」

 

流琉は許緒たちの姿が見えなくなるまで見つめていた。

そしてその日の夕方、劉備軍から使者2名がやって来た。

 

その使者は何と関羽と張飛であった。

 

だが関羽の表情はどう見ても敵意剥き出しで、恰も視線で一刀を射殺せるのではないかと思えるほど、殺気の籠った強い瞳で睨みつけていた。そしてその関羽から何故か雪蓮からの書状を受け取る。

 

雪蓮から書状というのも不思議な話であるが、一刀は取りあえず雪蓮からの書状を見る。

 

雪蓮からの書状は明日の戦いで関羽と張飛が劉備軍に居れば、どさくさに紛れて参戦する恐れがあったので一刀に預かって欲しい事、それと雪蓮自身が軍監としてこのまま劉備軍に留まる事が書かれてあった。

 

一刀はその書状を見て関羽と張飛に明日の戦い終了まで一刀の元で監視化に置かれる事を告げるが、

 

「何故、貴男は桃香様を1人で戦わせる様な嫌がらせをするのだ!貴男に言った事を恨んで盧植様に告げ口したのか!!」

 

関羽は劉備に対する仕打ちに対し一刀に食って掛かる。

 

「恨んで告げ口ね…君がそう思えばそう思うがいい。じゃ君に聞くが君は劉備をこのままにして世間知らずで自分たちの都合の良いお嬢様君主にでもするつもりかい?」

「それはどういう意味だ!」

 

「言葉の通りだよ。君たちの目指す物に誰も傷つかずに皆が幸せになれると思っているの?」

 

「………」

 

関羽は一刀の質問に返す言葉が無い。

 

「では改めて聞くが君たちの目指す物は?」

 

「それは皆が笑ってすごせる世の中にしたい事だ」

 

「……素敵な理想だが、実際それをどうやって成し遂げるつもりかな?」

 

「桃香様が皆の心を癒し、そして私と張飛が桃香様の理想の為に武を振うのみ」

 

「鈴々はお姉ちゃんと愛紗を信じて付いて行くのだ」

 

「正直言って君たちの理想は究極の理想だ。関羽、張飛、君たちが劉備殿の理想の為に武を振う、この時点で劉備殿の掲げるものとは真逆の行為だよ」

 

「何!」

 

「どうしてなのだ!?」

 

「君たちの理想の為に死んでいく兵士や逆に君たちに殺された兵士、そして残された遺族はそれで笑えるのかい?」

 

「「…………っ!」」

 

関羽と張飛は一刀の言葉に返す言葉がない。否、分かっているから返す言葉が無いのだ。

 

「劉備殿はその矛盾にまだ気づいていないし、君たちはその現実を知りながら劉備殿に隠して戦っている。君主に対して見せなければならない現実を隠してね」

 

「ではどうすればいいのだ!」

 

一刀に現実を叩き付けられた関羽の叫びに

 

「だからこそ劉備殿にも剣を取って戦って貰う。自分の理想を叶える為には自分の手を血に染めてでも戦いそして現実を知るだろう。だけど現実を知りそれら清濁併せ呑む事が出来たのであれば劉備殿は俺を上回る君主になるだろうね」

 

「そして君たちには劉備殿を甘やかせた償いとして今回の戦いを見学して貰う。もし劉備殿が現実を知り君たちの苦労を分かってくれるのであれば、君たち三義妹はより強固な絆になるかもしれない」

 

「まだ……心の整理が付かないが貴男の言った事は理解できた……先程の告げ口発言は失言だ。大変申し訳ない」

 

一刀からの説明を聞くと漸く関羽は一刀に対しての失言を謝罪したのであった。

 

 


 
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