・二次創作のつもりですがオリキャラしかいません。
・キャラとかその辺の説明は他所にあるので単体では何がなんだかわかりません。
・^o^
東倣現想境 その他
妖怪の手記 ~ Beautiful Killing Time.
私がこの場所を訪れるようになってから、そこそこの時間が過ぎた。
あいつが噂を流しているせいか、何時の間にか境界の神社は妖怪達の
溜まり場になっていた。
この神社は一体いつからほったらかしになっているのだろう。
まあ、元々無人で神社へ続く道も無いのだからこうなるのは当然である。
たまに起こる小さな異変を見つけては、呑んで騒ぐ日々だが、
ある日偶然居合わせた妖怪に奇妙な話を聞いた。
ここらで一番高い山の付近で、たまに見知らぬ妖怪を見かけるが
すぐに姿を消してしまうと言う。
この神社付近に来る妖怪は大体が同じ面子で、神社に来る妖怪の
顔は互いに覚えているような状態である。
「見知らぬ妖怪」がただの人見知り妖怪なら仕方ないが、どうやらそうでは無いようだ。
見知らぬ妖怪・・・それは、こちらの世界にはもう居ないはずの妖怪であったという。
その話が本当ならば、なかなか興味深いので少し調査をしてみる事にする。
私にこの事を教えてくれた妖怪は、昔この近くに住んでいて
結界ができる前の事ならある程度知っているらしく、調査にも協力してくれるらしい。
後日、奏を張り込ませてみよう。
こんな時、式神というものは便利である。
予想はしていたが何の遠慮も無く断られ、仕方が無いから交代で張り込む事になった。
この時だけは、さすがに普通の式神を持ちたかった。
今回の調査だが、割と早くに例の妖怪に会う事が出来た。
こちらの姿を見るやいなや、逃げ出そうとしたので捕まえて平和的に事情聴取した。
妖怪の正体は河童であった。
確かに大分昔から河童の姿を見る事は無かったので、新種の生き物を見た気分だ。
彼らがこちらに来たのは、結界に小さな穴を開けこちらの人間の技術を持ち込む為だと言う。
・・・考えれば考えるほど虫のいい話である。
自分から消えて言った癖に、都合のいい物はこちらから取り込もうとする考えが気に入らない。
私はちょっとした忠告を加えて河童を追い返した。
同行した妖怪によると、あの山は昔から妖怪の棲家となっていたらしい。
こちらから技術を持ってくるくらいなのだから、向こうの技術レベルは大体予想がつく。
向こうがこちらのような世界になってしまうのは、良い事では無いはずだ。
秘密裏に行っていたとしても、バレればバランスの崩壊は免れない。
妖怪が力を持ちすぎても、人間が力を持ちすぎてもいけないのだと言う。
一応忠告はしておいたが、あの様子だと河童はまた来るだろう。
次からは問答無用で追い返す事にする。
向こうのバランス云々は関係無く、個人的に気に入らない。
神社の様子を見るついでに、気の合う妖怪と何度か山の見回りをしていたが
私の予想通り向こうの妖怪を発見したので、とりあえず追い払っておいた。
元々弱そうな妖怪ばかりだったが、向こう側の妖怪がこちらで満足に力を出せるはずが無い。
向こうの妖怪を見つける度に退治して追い返して来たのだが、
今回ばかりは向こうも怒ったのか、少々厄介な妖怪がやって来た。
昔からこの辺りに棲んでいた妖怪達の上層部、大天狗である。
このくらい強力な妖怪になると、さすがに河童のような物珍しさは無い。
まともにやりあっては双方無事ではすまないので少しだけ後悔したが、
向こうは争う姿勢を見せず何やら話があるらしく、その場に居合わせた妖怪の代表として
私と犬神が話を聞くことになった。
話の内容に関しては後日書く事にするが、向こうが争う姿勢を取らなかったのは
私としても正直ほっとしている。さすがの大天狗も、こちらではあまり力が出せないのだろうか。
まあ妖怪同士の争いなんて不毛でしか無いので、その辺わかってるのだろう。
私が山から出てくる妖怪に攻撃したのは、決して不毛な事では無い。
普段目に見えない何かに対して抱いている鬱憤を晴らすと言う重要な目的があるのだ。
先日、私が犬神と共に大天狗と話し合った内容だが、
向こうでは妖怪同士の争いは印象が悪いらしく、何かあった時はルールに基づいた
決闘を行うのだと言う。
ルールに基づいた決闘と言えば、昔から一部の妖怪の間で行われてはいたのだが
どれも自分勝手な下らないルールで、最終的にはルール無用の乱闘になってしまう為
あって無いようなものだと思っていた。
大天狗の話す、向こうでの決闘ルールは割と公平なものだったが
一番興味深かったのは、人間とも同じルールで決闘を行うという事だった。
妖怪の世界で人間の数を保つ為だと思うが、よく考えたものだ。
で、大天狗が要求してきたのは、妖怪同士で戦闘を行う時は
双方の被害や関係の悪化を防ぐべくルールに基づいた決闘を行えと言うものだった。
楽園に棲んでる妖怪らしい平和的で甘ったれた考えだが、目の前にいる大妖怪が
本気で襲ってきたらと思うとさすがに合意せざるを得ない。
しかしながらこのスペルカードと呼ばれるルール、なかなか良く出来たもので
勝負だけでなく、身体を動かす機会の無いこちらの妖怪同士での暇つぶしにもなり
実に有意義である。
同行した犬神も割と気に入ったらしく、共にこれを広めて行こうと思うが
あいつに教えておけば勝手に広まっていくと思うので、私達が動くまでも無いだろう。
それでも、向こうから進入してくる妖怪を認めたわけではない。
このルールでは人間にすら負ける可能性が出てくるが、逆を言えば
今回のような強力な妖怪がやって来ても平和的に追い返す事が可能なのだ。
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