それはある休日。
唯、和美、雪歩の三人組はたまの休みということで食べ歩きの真っ最中だった。
「ところで唯ちゃん、たまには今まで行ったことのない場所でも開拓しない?」
「そうねー。あわよくばお母さんやお姉ちゃんたちに紹介できるわw」
「でも探すったってこの広い天空市内だぜ?どうやって探すんだよ?」
と、考え込む三人のもとに痩せこけたヤギ型セリアンスロウピィと、小太りのサイ型セリアンスロゥピィの男が声をかける。
「お嬢ちゃんたち、三人で散策かい?」
「え?…まあ、そうですけど…」
「おじさんたちが連れて行ってやろうか?」
「その、お気持ちはうれしいんですけど」
「知らない人についてっちゃ駄目だって言われてるので」
そう言ってそそくさと二人組の傍を離れようとしたその時、ヤギ男が何やらポケットからスプレーのようなものを取り出した!
「まぁまぁそう言わずに…ちょっとこれ見てごらん。これは珍しいスプレーなんだけどね」
「なんですか?」
「うっさんくせーなぁ」
「これのどこが珍しk…」
と、三人が言いきらないうちに、ヤギ男はスプレーを発射!
「「「あ…ぅ…」」」
スプレーをまともに吸い込んでしまい、唯、和美、雪歩はその場に倒れ込んでしまった。
そう、ヤギ男が使ったのは催眠スプレー。相手を一時的に眠らせてしまう作用があるのだ。
「へっへっへ、上手くいったでごわすな」
サイ男は、自慢の怪力で三人を持ち上げながら大笑い。
「おっとおっと。傷をつけるなよ?この娘たちはオイラたちの楽しみなんだからw」
「そうでごわすなwさ、バレないうちにさっさと運んじまうでごわす」
サイ男はそういうと、トラックの荷台に三人をそっと寝かしつける。
やがてトラックは、そのまま何処かへ走り去っていってしまった。
…その一部始終を見ていた影が二つ。
「大変だわ!すぐに知らせないと!!」
「ええ!」
たまたまその現場を目撃していた戸隠真実と、宮内アヤメの二人。
彼女たちは中学生だが、晴天流忍術の継承者なのだ。
二人は身構えると、軽い身のこなしで音もなく空へと舞っていったのだった。
…天空稲荷神社・社務所。
「なんですって!?唯たちがさらわれた!?」
マミンとアヤメの話を聞いた奉は驚愕した。
「ええ、見るからに怪しい男二人組に絡まれてたみたいで…」
「それで、あの子たちはどうして…」
今にも泣きそうな顔の愛と美歩。
「必死に断ったみたいなんですが、なんでも片方が催眠スプレー?みたいなのを使って眠らせちゃったみたいで」
「そのあとトラックに乗せられてどこかに連れてかれちゃったんです…」
その話を聞いた愛は泣き崩れる。
「うっ、うっ、うっ…奉さん…」
「大丈夫ですよ愛さん、あの子たちはきっと帰ってきますよ」
愛を慰める奉だが、本心はやはり悲しみを隠せなかったようで、彼の目からも涙がこぼれ落ちる。
「ちょっといいかい、忍者のお二人さん」
「「お天さま?」」
神社の祭神・天洸がマミンとアヤメの背後に現れる。
「その連れて行った奴らの顔とか覚えてるかい?」
「即興でスケブに描いてはきたんですけど…」
と、言ってアヤメが取り出したスケッチブックには、犯人の男たちの顔が鮮明に描かれていた。
「ふん、ふん…なるほど」
「わかったんですかお天さま!?」
「なんとなくね…。以前から神社の境内をうろついてはいやらしい目で唯たちをじろじろ見てたんだよこの二人」
「…あー…変態さんの類でしたか…」
「そして、唯たちがどこへ連れていかれたかも実はわかってるんだよ」
「「「本当ですか!?」」」
奉、愛、美歩の三人は声を上げる。
「あたしゃ神様だからね。生きてる奴の霊圧を感じ取れるんだ。だからどこへ連れていかれたかもわかるってわけさね。ちょっといいかな」
そう言うと天洸は、裏紙にマジックで地図を描いていく。
「…ここだ。雨天区の工業団地の一角。再開発地域の隅っこにある廃倉庫…唯たちはここに連れてかれたんだ!」
その廃倉庫の中で、唯たちは縛り付けられていた。
「いやー!放してー!」
「くっそーっ!俺たちをどうする気だよー!」
「そうよ!お母さんたちからお金を巻き上げようったってそうはいかないんだから!」
「なぁに、そんなテンプレみたいなことしねえよw」
「おまはんたちにはこれから…これを着てもらうでごわす」
サイ男が取り出したのは、服と呼べるのかどうかすらわからないようなラテックス製の衣装。
「さぁ、これを着るんだ!そしてオイラ達にそのあられもない姿を見せておくれ!www」
「そしてその写真をネット販売して、おいたちは大儲けするんでごわす!www」
「「「へ、へ…変態だぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」
…さぁ、果たして唯たちの運命やいかに!?
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リレー小説前半部分。
いつもの三人が…ピンチになりますw
年齢制限?安心してください、ギリギリセーフですよw
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