公園には宇宙人が出るということが前々から言われており宇宙人の出るのは毎週水曜日の深夜三時であるとか3の付く日の3時であるとか6月30日の大祓えの日であるとかいろいろと言われており確証はないけれども出るらしいというので、前々から宇宙人と会ってみたいと思っていた私は公園へ行ってベンチに腰をかけて夜中の三時を待つことにした。
時刻は二時を回ったところで公園には宇宙人をかたどった宇宙人まんじゅうを売る屋台の灯りが灯っている他はぱらぱらと二三人の宇宙人マニアがいるばかりで静かなものであって、六月の湿った感じの空気の夜は蒸し暑く誰かが遠くで笛を吹いているみたいな音がしていたけれどもじきに聞こえなくなった、宇宙人まんじゅうを試しに買ってみるとそれは工場で作ったらしい宇宙人の絵の焼き印の押された饅頭で宇宙人は今となっては珍しいタコ型の火星人みたいな宇宙人でスーパーでコロッケを入れるような透明のプラスチックのトレーに六個ぐらい入って入れられて五百円、屋台の灯りの下では黄色く見えるけれども本当はたぶんきっと少し茶色い皮の色をしているんだろうなという気がする、私は売れますかと聞くと年齢の分からない顔をした店主ははちまきに少し触れてからまあまあですと言って今頃は少しブームも過ぎましたので、これが一時期の公園に人がわっと押し寄せてた頃は宇宙人関連の屋台も三つはでていて、毎日人が大勢押し寄せて警察が何度も出動しにくるくらいで、そのときは結構売れたけれども今はぜんぜん、おれももう少ししたら店を畳むよと言って居て静かな感じでゆっくりまばたきをした。ベンチに戻って宇宙人まんじゅうを食べているとどこかで食べたことのありそうな味の饅頭におざなりなアンコが入っており、別に味は期待しては居なかったけれどもまあいつもの饅頭を少し高めな値段で買ったというので、まあご祝儀相場みたいなものであって別に構わない、もぐもぐと食べていたらあっという間に六個なくなってしまって、無意識のうちに食べ終わった後になってやっと私は自分が腹が減っていたんだなということが分かってこうなればもっと何か買って食べるべきかなと思いでももう宇宙人まんじゅうは結構だから公園の近くにあるコンビニへ行って、コンビニは田圃の真ん中にあるものだから夜になると青色の誘蛾灯がバチッバチッと言って虫を取っていて虫の死骸が脇にたくさん落ちている気味の悪いコンビニだが、売っているものは別に普通なのでなんでもない、私はコンビニでカップめんの味噌ラーメンを購いコンビニの中においてある給湯ポットからお湯をもらってそれからこれは食べきれないかもしれないと思ったけれどもコロッケパンと缶コーヒーも買って歩いている内に三分経つだろうと思って公園へ戻る、公園では三時が近くなるのに連れて人が二人ぐらい増えていて、みんな各々の場所で思い思いの時間の過ごし方をしていて、なんだか野生の蛍の群生地で蛍が光り出すのを待っている人みたいだなあなんて私は思う、UFOを待っている時間の過ごし方っていうのは時間の過ごし方としてはかなり上等な部類に入るのではないかしらん、私は元いたベンチは別の人に占拠されてしまったからその隣のベンチに座ってちょっと五分ぐらいは過ぎてしまったかな、表示を見たら三分だったので少し伸び気味になってしまったかもしれないけれどもその方が生麺っぽくなるというのは聞いたことがあり、ずるずるとラーメンを啜っていると自分が何をしにきたのか分からなくなってとても美味い、思うに、何をしてるか分からない時に食べるラーメンほど美味いものはこの世にないのだ、私はずるずると調子に乗ってラーメンを食べてそれからやっぱりお腹が空いていた、コロッケパンも食べていい気になってコーヒーを飲んでいたら、だれかがおやなんだあれはと言うので空を見たけれどもそれは航空機の明滅でUFOとは何の関係もない、誰かがあれは飛行機だよといい宇宙人まんじゅうの屋台の店主がちょっとだけ屋台から出てきてそれからどういうつもりかみんなに聞こえるような声であれは飛行機だねと繰り返してまた屋台に戻る、時計を見たら三時をちょっと回っていて宇宙人が出るとしたらこれぐらいだけれどももうたぶん出ないんだろうなあって思う。
隣の人がタバコを吸ってうまそうな具合にしていたので私も禁煙が二週間目だったけれども吸ってしまって、やってしまったなあと思った。
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オリジナル小説です