「無い……。無い!」
津田善子は引き出しの中を乱暴に出し、次にクローゼットを開いてその中のものを慌てながら出して、更に血相を変え。
「なんでよ……なんでよぉ!」
とうとう涙目になり、悲痛な叫びを発した。
「なんで無いのよぉ。なんでぇ……」
一度出た涙を止めることができず、ポロポロと流れ、その顔をくしゃくしゃにした。
「?誰よ、こんな時に……」
机の上に置いていた携帯のバイブレーション音に気付いて、画面に映る発信者の名前に目をやる。
「梨子?」
桜内梨子。同じAqoursのメンバーで、善子の大事な娘。
今、出れるような状態じゃない。
受信ボタンを押すのを躊躇う。けど、声を聞きたい。震える指で受信ボタンを押し、耳に当てる。
「善子ちゃんどうしたの?練習来てないけど、体調悪いの?」
「べ、別に……」
「そう?あの、今善子ちゃんの家の近くにいるんだけど、寄ってもいい?」
「ふぇっ!?」
普段だったらうれしい言葉。けど、今の部屋と自分の状態で梨子を招くなどできない。
「え!?いや、えっと!」
「どうしたの?やっぱりちょっと変。今からいくね」
「あ!?ちょっとまっ!って、切れたー!!」
どうする?梨子の言葉が本当なら、すぐにでもすぐにでも来てしまう。
片付ける?いや、間に合わない。そもそも、今それをしたら、それこそ本来の目的が達成できなくなる。
どうするべきか、まとまらない思考に支配される。そのとき、
“ピンポーン”
「っえぇぇぇぇ!!」
善子の予想より早く、タイムアウトを告げる音が鳴り響いた。
づする?いっそ居留守を使うか?いや、先ほどの会話で自分が言えにいることは分かっているはず。
となると、迎え入れないわけにはいかず、重い足を動かしながら、善子は玄関を開けた。
「あ、善子ちゃん!」
目の前に広がるのは、大好きな梨子の笑顔。
けどその目には微かな不安が宿っており、それに気付いた善子は少し胸が苦しくなった。
「!善子ちゃん、目元腫れてる!どうしたの!?」
「い、いや、えっと」
「何があったの!?」
「……」
言えない。あくまで自分の事だし、それに、余計な心配をかけたくない。
だが、その逡巡が梨子へ更に不安を与えたようで、困惑と心配で、その目には微かに涙が滲む。
「ねぇ、本当にどうしたの?私には、言えないの?」
「っ!?あ、あんたには関係ないわよ!これは、ヨハネの問題よ!」
「誤魔化さないで!」
「!?」
「ねぇ、なんでそんなこと言うの。なんで……」
微かに滲む程度だったはずの涙は、今は大粒となって梨子の頬を流れる。
「っ、あ、……いいから入って!」
どうしていいのか分からず、ただ、玄関前でこの状況はまずいと思い、ひとまず家に上げることにした。
「……なんで泣くのよ」
「ごめんなさい。だって……」
「はぁ」
心配性で、泣き虫で、決して強くないのに誰かの事を思わずにはいられない。そんな梨子のことが分かっていて、大好き。だから、泣かせたくなんてない。
ゆっくりお茶でも、と促しても、きっとだめだろう。
「……来て」
「ぁ」
梨子の手を取り、先ほどまでぐちゃぐちゃにしていた自分の部屋へと招くことにした。
「え?これ、……何?」
善子としては、予想通りの反応だった。
梨子は目の前の状況に言葉を出せず、ただ見ることしかできなかった。
「……えっと、さすがに、散らかりすぎ……」
「……分かってる、わよ」
「……何があったの?
「……」
つい黙ってしまうが、この状況を見せて何も説明しないなど、無理だった。
「……無い、のよ」
「無い?」
「ヨハネの服が無いの!」
「え?」
悲痛な叫びで一瞬身をすくませる。が、一呼吸した後、状況について冷静に理解できてきた。
「なんだ、そんなことだったの」
思ったより重大じゃなくてよかった、と安心した。が、
「そんなことって何よ!?」
先ほど以上の叫び声が発せられ、再び身がすくんだ。
「ヨハネはね、私にとって大事なものなの!この私を表すものなの!Aqoursの活動も、それを大事にしているの!なのに、そんなことって何よ!?」
「ぁ……、ご、ごめんなさい」
善子の目から流れ出る涙を見て、自分の失言を痛感した。
他人にとってはたかがコスプレの衣装かもしれない。けど、善子にとっては違う。
時に自分自身の存在意義であり、アイドルでのキャラクター性でもある。
少し考えれば分かるはずなのに、その気持ちを考えずに言ってしまったことが、徐々に後悔として心に広がる。
「ごめん、ごめんね、善子ちゃん……」
「……なんで、また泣くのよ」
「だって……」
傷付けた。自分の不用意な言葉で、大好きな人を傷付けたことが、辛くて、苦しくて。自分を、許せなくて。
「いいわよ。こっちだって、八つ当たりして、ごめん」
「ううん……」
涙が止まらない梨子の頭を、そっと撫でる。
サラサラで、艶がある、綺麗な髪質。ちょっとだけ、ドキドキしてしまう。
「善子、ちゃん……」
「はいはい。梨子は泣かなくていいから」
撫でる手を止め、今度は梨子を優しく抱きしめる。
大好きな人を守り、温めるように、優しく。
「……」
ふと、鼻孔に甘い香りが漂う。
(梨子の髪、気持ちいい)
梨子の髪から感じられる甘く、爽やかなにおいを感じるたびに、鼓動が高鳴っていく。
「ねぇ、梨子?」
「善子ちゃん?」
「私のこと、好き?」
「うん……」
顔を赤らめ、恥ずかしそうに。でも、迷うことなく、返事をした。
「じゃあ、慰めてくれる?」
「……いいよ」
今のは少しだけ間があって。でも、嬉しそうに、呟いた。
「っん、は、ぁ」
「んんっ、り、こぉ」
散らかった部屋に、二人の脱ぎ捨てられた衣服が広がる。
その中で、二人は生まれたままの姿で抱き合い、梨子は善子の唇を何度も奪っていた。
「善子ちゃん、温かい」
「梨子だって。それに、肌のツヤ、すごく良いし」
「気持ちいい?」
「あ、当たり前よ!」
「じゃあ、もっと気持ちよくなって」
再び唇を重ね、梨子は自らの身体を動かして、善子の肌を刺激する。
「ん、んんっ!」
「ちゅっ、んっ!っは、善子ちゃん、舌、激しい」
「り、梨子が激しい、からぁ」
「ねぇ、もしかして、溜まってた?」
「!?なっ!」
「大丈夫、私も、実は……」
「梨子……」
「だから、もう、キスだけじゃ、我慢できない」
善子の身体からそっと離れ、梨子は先ほどまで自分の肌に触れていた善子の身体を見回す。
「そんなになら、早くしてよ……」
首を横に向け、ぶっきらぼうに言う。
けどその顔は紅潮しており、今すぐ求めているということが、梨子には分かった。
先ほどまで善子の唇を奪っていた口は、今度は善子の乳首をついばみ始めた。
「はぁっ!んんんー!!」
唇で挟んで吸い付き、時に舌先で先端を刺激する。
「あぁん!んぁぁぁっぁ!」
「善子ちゃん、感じてるね。勃ってる」
「そ、そりゃ、勃つわよぉ!」
「ねぇ善子ちゃん。口で吸われるのと指で摘ままれるの、どっちが好き?」
「ひゃぅぅ!!」
艶めかしい笑顔で善子を見つめながら、両手の指で善子の乳首を摘まむ。
指が動き乳首が締め付けられる度に、善子は嬌声を発す。
「あんっ!あぁ!んぁぁ!!」
「教えて?もっと、善子ちゃんを気持ちよくしたい」
「はぁぁん!い、いじわるぅ!」
「ふふ」
もっと善子の反応を見たくて、また指を動かした。
力を入れずこまめに動いたり、逆に力を強めて絞るようにしてみたり。
その度に善子は激しく喘ぎ、息が乱れていく。
「り、梨子ぉ」
「なに善子ちゃん?」
「そ、その……」
「どうしたの?」
「ひゃぁぁぁん!!ち、乳首、強く摘ままないでぇ」
「好きでしょ?」
「す、好きだけど。そうじゃなくて」
「何が良いの?」
「あ、アソコと一緒に攻められるのが、す、すごく気持ちいいの……」
「うん、分かった」
片方の手を胸からどけ、そっと善子の秘部へと触れる。
「んっ」
「善子ちゃん、すごく感じてたんだね。こんなに濡れてる」
「ふぁぁ!だ、だめ」
「ふふっ、まだ軽くしか触れてないのに、もう感じてるのね」
「だ、だって」
「分かってる。もっと、気持ちよくさせてあげるから」
表面に触れていた指を、善子の秘部の奥へと挿れる。
「あぁぁぁん!!」
膣の中に挿った指を出し入れしたり、中で掻き回す。
同時に、胸に触れたままの手で、再び乳首を摘まみ始める。
「あぁん!んぁぁ!んんっ!あん!そ、こぉ!だ、あぁぁぁんっ!!」
「善子ちゃん、すごい。聞こえる?こんなにぐちょぐちょしてるよ」
「あぁん!だめ、だめー!イク、あぁぁっぁぁぁぁん!!」
絶叫とともに腰が激しく浮く。
同時に梨子は善子の秘部から指を抜いた。
そして善子の秘部から、断続的に愛液が飛沫をあげた。
「すごい……。善子ちゃん、可愛い」
「ふぇぇ。お、お漏らししちゃった……」
「違うわよ。これ、潮吹きっていうの。知らなかった?」
「し、潮吹き?これ、が……?」
知識としては知っていた。けど、いざ自分が体験するとは思っていなかった。
それに、イったばかりで、あまり頭が回らない。
「ねぇ善子ちゃん。善子ちゃんがイったの見て、その、私もすごく疼いてきて」
「うん……」
「ねぇ、私にも、して?」
紅潮した頬。自分を見つめる潤んだ瞳。可愛くて、愛おしい。
梨子を攻めたい。梨子を感じさせたい。
けど、
「なんか、腰に、力、入んなくて……」
「え?」
初めて潮を吹くほどの激しい快感を得たばかりの善子の身体は疲労感により、思うように力が入らなくなっていた。
腕を踏ん張ろうにも、その腕にも力が入らず、善子は身体を倒したままの状態から動けないでいた。
「分かった。じゃあ、私が動くね」
「う、動くって」
「待ってて」
「え!?梨子!?」
善子から離れたと思った矢先、梨子は善子の身体を跨がり始めた。
そして自分の股が善子の顔の上になる位置で膝をつき、そっと腰を下ろした。
「り、梨子……」
「は、恥ずかしい」
「なら、そんな体勢とらなきゃいいじゃない」
「でも、善子ちゃんに、舐めてほしいから」
「っ!」
どきり、とした。
甘く、艶やかな声が耳に響き、目の前には梨子の秘部がある。
秘部は既に湿っていて、陰唇はヒクヒクと、微かながら動いている。
「だめ……、そんな、見ないで……」
「そう、じゃあ」
「ひゃぁ!あぁぁん!」
両手で梨子の腰を抑え、首を少し上げて、梨子の秘部に舌を這わした。
「あぁん!よし、こちゃぁん!は、んぁぁぁ!はげし、ぃよぉ!!」
陰唇や陰核、膣内を激しく攻める。
「んあぁぁぁぁ!ふ、ん、あぁぁぁぁぁ!!だ、だめー!そこ、あぁぁぁん!!」
梨子の嬌声が聞こえる度に善子の興奮は高まってくる。
もっとしたい。梨子を感じさせたい。
善子の舌の動きは自然と激しさを増していく。
「いやぁ!んぁぁ!あぁ!だめ、きもち、いぃ!はぁぁ!あぁぁぁん!!だめ、よしこちゃん、私、イっちゃう!あぁぁぁ!だめ、イク、いくぅぅぅ!!」
「!?」
梨子の腰が何度か激しく仰け反り、そして秘部から微量の愛液が飛び出した。
「は、ぁぁぁ」
「はぁ、はぁ。梨子も、出たわね」
「え?……あ、本当。善子ちゃんの顔に、かかっちゃったね」
「ええ。でも、いいわよ」
「ありがと、善子ちゃん」
重い身体をなんとか動かし、梨子は体勢を整えて、善子の身体に体重を預けた。
「んっ」
そして善子の唇へキスをした。
「梨子、キス好きよね」
「うん」
「ねぇ、もう一度して」
「んっ」
再び触れ、離してはまた触れ。それだけでは足りなくなり、梨子は舌を入れて、善子の舌へ這わせる。
「っ、ぷ、はぁ。なに、足りない?」
「うん。その、もっと、したい……」
「甘えんぼね。でも、そろそろ服探さないと」
「あ……。ごめんね」
「いいわよ」
名残惜しそうに離れる梨子を見て、少し辛くなる。
もっと抱きたい。と思った。
けど、このままではヨハネの服を見つけることができない。
今は我慢しないと。と考えることにした。
「?電話?誰から」
そんなとき、また善子の携帯に着信が入った。
「千歌?」
発信者の名前を確認し、疑問に思いながらも一先ず電話に出た。
「あ!善子ちゃん!千歌だよ!あのね、実は昨日間違えて善子ちゃんの衣装持ち帰っちゃったの!ごめんねー!えっと、今すぐ家に取りに行って返すから!」
ツー、ツー。と、伝えるべき事を伝えて、善子の返事も聞かず電話は切られた。
「……善子、ちゃん」
間近にいた梨子も、千歌の声がしっかりと聞こえていた。
「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ!!」
「善子ちゃん!?しっかりして!」
黙り込んだかと思ったら、急に携帯を放り投げて、頭を抱えてもがき始めた。
これまで一生懸命探していたのは、全部無駄だったわけで。
おまけにこれからこの散らかった部屋を片付けなければならない。
善子にとって、このオチは悲劇でしかなかった。
「もう、なんなのよぉ……。千歌のばかぁ……」
「ま、まぁ、千歌ちゃんも、悪気があったわけじゃないんだし」
「分かってるわよぉ。でも……」
分かってはいる。けど、それでもこれまでの自分の労力が無駄だったと思うと、悔しくてしょうがない。
「……ねぇ、服の問題は、解決したってことよね?」
「?そうよ。それが、あ……」
「うん。だから、またしても、いい、よね?」
「……」
小さく頷いた後、二人はまた身体を重ね合わせた。
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善子と梨子のえろです