1つ目の間違い。
今、赤い方がいいって言ったね?僕は青が大好きなのに。でもいいよ。君が好きなら仕方ない。そこは血のような赤いライトで照らせばいい。
僕は青い血にまみれた君の姿がすごく見たいけど。変なとこだけこだわりが強い君のために、今日はそれで我慢してあげるよ。
2つ目の間違い。
へえ、その曲、そんなに好きなんだ。この歌詞、このメッセージ、今、必要?
正直、マジでやりたくない気分だけど、でも君が好きって言い張るなら仕方ない。一曲だけ我慢してあげるよ。君のために。他の誰でもない、君だけを満足させるために。
その代り、気持ちが入ってないからってあとで文句言わないでね?そもそも無理やりやらせた君が全部間違ってるんだから。
3つ目の間違い。
朝6時の電車で帰るって言ったね?僕は10時まで君と遊んで、同じ電車で家まで帰りたかったのに。
でも君がしんどくて帰りたいなら仕方ない。僕に君を止める権利はない。だって君は僕のすごく大切な人ではあっても、僕の所有物ではないから。
本当は、調子に乗ってお酒を飲みすぎた君が悪いの知ってるけど。
ねえ、僕は心配して何度も止めたよ。それでも飲みたかったんでしょ?なら仕方ないよね。
10時までの4時間弱。君の代わりに、退屈な他の友達で我慢してあげるよ。いくつになっても自制心の欠如した、どうしようもない君のために。
ほら、今日だけで3つも見つかった。毎日楽しい間違い探し。
完璧主義の僕からすれば、君の間違いなんて腐るほどあるからいつまでも飽きないね。
生まれも育ちもよく似てるのに、どうしてもっと同じにならないのかな?人間ってめんどくさいね。
どう考えたって正しいのはこっちなのに。もっと僕のシルエット真似てよ。近付こうとしてよ。毎日毎時間毎秒僕が君を見てそう思ってることにいいかげん気付いてくれよ。
10時になった。
僕は一人、電車に乗って家まで帰る。隣りでバカ話しながら吊革持って揺られてる君がいないなんてとんだ間違い。大失態だ。
同じ間違い何度でもして、気付かずに平気な顔して笑って、ねじ曲がった醜い答えだけが世界のコアに積み重なってく。
間違い。間違い。大間違い。×印だらけのこの世界で、唯一人、正しい僕だけ損をする。
きっと、これから何度地球が回ったって、正解は永久に君の笑顔じゃない。
僕が本当に見たいのはね。僕という絶対的な答えにひれ伏し、絶望と無気力さに打ちひしがれた君の、表情を失くした青白い顔。
そうなった時の君は、もう人ですらないんだろうね。一度でいいから見てみたい。
考えただけで、楽しくてちょっと笑えてくるよ。
だからさ、その日がやって来るまでは、こうして二人で遊んでいようね。マイ・リトル・ブラザー。
性懲りもなく、間違いまみれの醜い君こそが僕の生き甲斐。僕の全てだ。
…up to you
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唯一人、正しい僕だけ損をする。