ある日の、天空稲荷神社。
「ふ~ぅ、やっと仕事も片付いたわ。一休みっと…」
「この時期って結構バタバタするわよね」
「まぁうちは神社だから年中だけどね…」
アツアツのお茶を入れてほっと一息の北城愛・唯の母娘。
「ねえお母さん」
「なあに唯?」
「気分転換に食べ歩きでもいかない?」
「…やぁよ、お母さん疲れちゃった…」
あくびをする愛を見て、唯は少しふくれっ面をするが、すぐにあることを思いついたようだ。
「…じゃあこうしましょ!お母さんはゆっくり休んでて!その代わりあたしが食べ歩いて…」
「…ちょっと唯。いくらなんでもそれはずるいんじゃな…い!?」
愛は背中に違和感を覚えた。それもそのはず、唯がマジカルファスナーを付けたのだ。
「え、唯、ちょっと、これって…」
「だから、こうすればお母さんも一緒に食べられるでしょ?」
「ちょっと唯!ゆ――…」
唯がファスナーを開いた瞬間、愛の瞳から光が消える。
ファスナーの効果で、愛は瞬間的に着ぐるみと化してしまった。
「ほら、だから『あたしがお母さんを着て行けば』大丈夫ってわけよ。よいしょっと」
唯はすかさず、着ぐるみになった愛の中へと入り込み、腕、脚、胴体、そして頭とぴったりあわせていく。
「ん、あーあーあーっと。…うん、予想通りお母さんの声だわね。おっぱいも…うひょひょww」
思わず胸を揉みしだく唯の頭の中に、愛の声が響いた。
(ちょっと唯!お母さんの身体で変なことしないで!)
「っと、ごめんごめん、食べ歩きに行くんだったわw」
(もう…しっかりしてよねっ)
さて、市街へ繰り出した唯(in愛)は、早速食べ歩きへ。
(ところでお母さん、食べたいものってある?)
(うーん、そうねぇ。じゃあ最近できた牛丼屋さんでも行こうかしらw)
(お母さんってば、なんだかんだ言ってノリノリじゃないw)
(いやー、実は楽しかったりするのよねwそれに結構楽だし)
「あっはっはっはっは!もうやめてよお母さ…ハッ!?」
つい声を出して笑ってしまった唯に周囲の支線が突き刺さる!これは恥ずかしい!
「し、失礼しましたーっ!!」
(したー!!)
そそくさと店へ向かう唯だった。
『特大メガトン牛丼 90分以内に完食で賞金10万円』
「…よっし!今のあたしなら食える!いまのあたしなら食いきれる!!」
(何言ってるの唯、『あたしたち』でしょ?w)
(そうでしたw)
ここでひとまず説明しておこう。
マジカルファスナーを使って相手を着ている場合、食べられる量は『中身』と『皮にされた相手』の2人分になる。
つまり今の唯は、『愛を着ている』ので、母娘2人分がっつりと食べられるというわけである。
ぐっと拳を握り、チャレンジングメニューを注文。
…30分後、そこには完食してガッツポーズを決めるキツネの女性の姿があったそうな。
その手には賞金10万円の入った封筒がしっかり握られていた。
…そんなこんなで神社に帰ってきた唯・愛母娘はファスナーを開き、元の姿に戻ったのだったが…。
「まったく、何やってんだい唯。こんなになるまで食べてくるなんて」
「い、勢いに乗ってついぃ…」
「しかし唯だけならいざ知らず、愛までこうなるとはね…」
「た、楽しかったものだから…いたた」
調子に乗って食べ過ぎた結果、母娘そろって腹痛に悩まされてしまったのだった。
Tweet |
|
|
2
|
1
|
追加するフォルダを選択
■出演
愛:http://www.tinami.com/view/744298
唯:http://www.tinami.com/view/742179
お天さま:http://www.tinami.com/view/742459
マジカルファスナー:http://www.tinami.com/view/843730