「白蓮~・・・果物持ってきたよ~・・・」
キィ、と一刀は白蓮の部屋の戸を開けた。ゆっくりと、静かに。
「ああ、一刀か。わざわざありがとう」
白蓮は寝台に腰掛けて夫を出迎えた。彼女は毛布に包まれている存在に対して語りかけた。
「続、父上が来てくれたぞ~」
彼女の腕に抱かれているのは公孫続。薄幸と言われ続けてきた白蓮こと公孫賛の愛娘である。
「白蓮は座ってなよ、俺が剥くからさ」
一刀は立ち上がろうとした彼女を座らせて、一刀は取り出したリンゴを剥きはじめた。
「すまんな、一刀」
「気にするなよ。俺達夫婦だろ?協力するのは当たり前じゃないか」
相変わらずの一刀の優しい笑み。彼のこの笑みを見るたびに白蓮は生きててよかった、と思う。
袁紹―――麗羽に敗れて命からがら桃香のもとに落ち延び、その後は彼女のもとで曹操や南蛮軍との戦い、そして魏・呉・蜀の三国連合軍と五胡との大決戦・・・幾度も死にかけたが、それでも白蓮が生き残れたのは一刀がいたからだと確信している。
「よっと・・・こんなもんでどうかな?結構綺麗に剥けたつもりだけど」
「あははっ、全然だよ一刀。なんかちっちゃくなってるし」
「えー・・・これでも上手くなったんだぜ、白蓮」
妻に笑われながらも、一刀は皮を剥いたリンゴを切り分けて、
「はい、白蓮」
フォークでリンゴを刺して「あーん」と促す。白蓮は恥ずかしそうに頬を染めていたが周りには誰もいない事を思い出してか、
「あ、あーん」
白蓮は親鳥に餌をねだる雛鳥のように口を開けて、一刀のリンゴを口に入れた白蓮。
「やっぱり恥ずかしいな・・・」
結局そのまま切ったリンゴをすべて食べ終えた白蓮は、ベビーベッドに公孫続を寝かせて一刀と一緒にテラスに出た。
「一刀」
「ん?」
白蓮は自分の唇を夫のそれに重ね合わせた。薄く頬を染めながら、白蓮は微笑んだ。
「ありがとう」
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今回も番外編です。主役は白蓮!没構成が何本も生まれ、何気に3ヶ月くらいかかりました・・・