No.88932

恋姫無双SS魏√ 真・恋MIX 9話

とにーさん

9話目となります
真・恋姫無双のSSではなくてあくまで恋姫無双の魏ルートSSです。
ただしキャラは真・恋のキャラ総出です。

無印恋姫無双は蜀ルートでした。

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2009-08-09 17:04:46 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:22450   閲覧ユーザー数:16816

間諜により蜀・呉の連合軍が夏口に集結しているとの情報を聞き、我が軍も広陵へと足を進めた。

「ついに一大決戦ですねー。」

久々の大きな戦に春蘭は嬉しそうだ。

俺は間諜の情報を神経質に伺いながら帯同していた。

「一刀様、どういたしました?ここの所なんだかおかしいですが・・・何かお加減が悪いのでしょうか・・・・」

秋蘭が尋ねる。

「あぁ、大丈夫。特に変わったことはないよ。」

俺は笑顔で答えた。

「ならば良いのですが、あまり一刀様が不機嫌ですと我が軍の士気に関わりますが・・・・。」

「ん、あぁ、そんなに変だったか・・・すまんね、少し考え事があって。もっと気を付けるよ。」

「一刀様はそう言うことに特に気を配る方ですし、何か心配事があるのでしたら私や桂花に相談してください。」

「うん、今はまだ相談出来る状況じゃないから。また、もう少し考えがまとまったら相談させて貰うよ。」

「はい。」

微笑む、秋蘭を見て自分の考えをもう一度見直す。

 

今回赤壁の件に関しては、俺の知識をまだ誰にも明かしていない。

それは歴史を語ることにより生じる不確定要素を極力封じたいのが目的だ。

周瑜達の策は最後の最後でひっくり返せればいい。

それで充分俺たちは勝てるはずだ。

後は俺の記憶にそった進行さえ成されればいい。

そう考えてたくさんの間諜からの連絡をすべて聞き逃さないようにしていたのだが・・・・

俺は少し神経質に成りすぎてたらしい。

軍全体の士気まで影響を与えるようでは指揮官失格だ

ちょうど良い戒めになったかなとポジティブな考えで馬の足を進めた。

 

広陵の城に付くと気晴らしに街を彷徨いてみる。

この辺では俺の顔はまだ知られていないらしく注目を浴びることはない。

それが少し気分転換になった。

街の表通りを抜けて裏通りを覗く場所に来たときだった。

1人の少女が何人かの男達に取り囲まれている。

俺は腰に一刀を携えているのを確認するとその間に割って入った。

「どうしたんだい、女の子1人にたいした人数じゃないか?」

「うるせい、貴様には関係ない。そこをどきやがれ。」

粋がる若い男。当然俺は引くつもりもない。

すると女の子がこちら抱き付いてきた。

「助けて!この男達に手込めにされちゃう。」

見るとかなり可愛い女の子だった。

ひらひらした袖でヘソの見えるなかなか悩殺的な衣装だ。

だが、男達を見るとナンパとか襲いかかると言った雰囲気ではない。何かトラブルがあったようだ。

彼女の台詞の全てを信用する訳ではない。

しかし、俺はフェミニストだ。

「大丈夫、俺に任せておきな。」

そう言ってその娘の頭を撫でると、男達に向かって言った。

「三下では話しにならんな。誰か話しが出来る奴は居ないのか?」

「うるせい!やっちまえ!」

先頭にいる男が号を掛けると男達が殴りかかってくる。

「血の気の多い奴らだな。」

俺はその男達が触るか触らないか解らないタイミングで投げ飛ばす。

最近気の使い方が慣れてきたので習得した合気の技だ。

「こいつ!なかなかやるぜ!みんな気をつけろ!」

リーダー格の男が言うと、俺を遠巻きに囲み始める。

しかし、騒ぎを聞き付けたのであろう警備兵達が駆けつけてくる。

先頭はどうやら凪のようだ。

「あ、やばい。」

こんな所で喧嘩をしていることがバレれば桂花からお説教を受けるだろう。

「警備が来たから大丈夫、保護してくれるよ。俺はちょっと拙いので逃げるね。」

俺は女の子にそう告げると、そこから逃げ出そうとした。

しかし、女の子は俺に掴まると

「私も連れてって。」

と、俺を放さなかった。

仕方がないので女の子を姫様抱っこするとその場から急いで逃げ去ろうとする。

「コイツ逃げるぜ!」

「逃がすか!」

普段は警備兵など物の数ではない荒くれ達なのであろう、警備兵など気にせずに俺たちを追おうとする。

しかし、俺は縮地の法を使ってその場から移動した。

「むっ!消えた!」

その姿を見失った男達に警備兵がつかみかかる。

衛兵ごときと思っていた男達はあっという間に御用になった。

俺はその様子を遠目に見つつ

『やはり、うちの警備兵は優秀だね。』

と思っていた。

裏通りの奥まで来て周りの気配を伺うとどうやら巻いたことが解る。

警備兵達は男共に注意を惹かれたようだ。

『まだ、そんなに多くの警備兵は配備していないしね。』

そんな裏事情も知っていることから安心すると抱っこしている少女が首に手を回しているのに気が付く。

「あ、もう大丈夫だよ。」

そう言って降ろそうとするが首から手を放してくれない。

「お兄さん、いい男だね。腕っ節も強いし・・・・でも警備兵から逃げるなんて何かやましいところがあるの?」

「・・・・ん、まぁ、そんなところかな。」

「解った、どこかの国の間者でしょう。とはいっても、魏の国に間者を送る所なんて、ウチか蜀くらいしかないよねぇ・・。」

「ウチ?」

「うん、まぁ、その辺は内緒・・・。ってバレバレだよね・・・私呉の国の者なの。」

まぁ、そうだよなぁと思いつつ、少し興味がわいてきた。

「あぁ、まぁ俺も素性は話せないけど同じような者だよ。」

「やっぱりそうなんだぁ、さっきの様子から見るとかなりの凄腕ね。もしかして、刺客?」

「・・・・・・・任務は話せないかな・・・・。」

当然俺は惚けてみせる。しかし、彼女はプウッと頬を膨らませると

「いいじゃんいいじゃん、教えてよ。私は呉の君主の妹なのよ。どう、驚いたかしら。」

「えっ!」

そんなことを言う少女に俺は心底驚いた。

嘘を言っているようにも見えないからである。

しかも、こんな敵地で、俺の正体もまだ解りもしないのに・・・・・

うかつ・・・・なのか?それとも何か計算?

正直俺でさえ計りかねていた。

 

 

『そういえば、当然孫権もいるはずだろうけどまだ見たこと無かったか・・・この子が孫権なのだろうか?』

そう思った俺は少女に尋ねてみる。

「君主の孫策の妹というと、君が孫権?」

首から手を放してくれないので相変わらず抱っこしたままだ。

軽いので苦には成らないがいろいろな部分が触れていて、少し得した気分にはなっている。

しかし彼女はちょっと不機嫌になり、少しいじけたように言う。

「やっぱり蓮華姉さんの方が有名なのかなぁ。私は三女の尚香よ。江東の美人三姉妹って有名でしょ。」

『尚香・・・・って、孫尚香か、って、孫尚香って最初から女の人じゃないか。』

この世界では男の武将は女の子に変わっている。ならもしかしたら逆が・・・・・・・・。

「えーっと、君は・・・・・女の子だよね?」

動揺していた俺は不必要なことを聞いてしまう。後から考えてみたら全く無粋だった。

すると、彼女は俺の肩から手を放し、その場に降り立った。

そして、右手を振り上げて俺の頬を打った。

「私を誰だと思ってるの!?胸がないからって女の子とも解らない?」

「失礼しちゃう。」

そう言って立ち去ろうとするが、俺はその手を掴む。

「放して!」

孫尚香はそう言うが、そこで放しては始まらない。

「悪かった、君みたいな可愛い子を見て動揺しちゃって、お詫びに食事でもおごるよ。」

俺がそう言うと、彼女はくるっとこちらを向いてニコッと微笑んだ。

「本当?」

「ああ、本当さ。これでも割とお金持ちなんだぜ。」

桂花からみっともない状態には成らない程度のお金は持たされている。普段あまり使わないからそこそこな金額だ。

「えー、それじゃぁ、何を食べようかな。」

「んー・・・・、あまり目立ちたくないから会員制みたいなところが良いかな。」

「へー、凄いのね・・・・・・えぇっと、なんて呼べばいいのかしら?」

「あぁ名乗ってなかったね・・・・・俺のことはカズって呼んでくれればいいかな。」

「ふうん、カズね。変わった名前ね・・・・あぁ、本名じゃないか・・・任務だものね。いいわ、カズ。よろしく。」

「よろしくね、孫尚香さん。」

そう俺が言うと、孫尚香は少し考えて言った。

「んーーーーーーー、いいわ、私のことはシャオで・・・・カズを信じちゃう。」

「シャオって真名?いいの、通りすがりの俺に?」

「うん、これでも人を見る目には自信有るんだ。」

「それよりカズが良かったら呉に来ない?今よりもきっと良い待遇に出来るよ。」

「そうだなぁ、とりあえず食事に行こうか。」

「うん、美味しい物食べさせてね。」

そうして、二人は食事に出かけた。

食事に選んだのは街でも一番の大きな店で全て個室になっている。

その方が俺にとっては都合が良かった。

しかし、部屋に案内されたとき誤算が生じた。

ふっと隣の部屋を見ると秋蘭と春蘭が来ていた。季衣と流琉も一緒だ。

しかも、部屋に入る際に秋蘭と目が合ってしまった。

どうやら秋蘭は俺が知らない女の子を連れているのに気が付いたらしく一瞥しただけでこちらには何も言わなかった。

俺は部屋に入り料理を注文すると厠と言って部屋を出た。秋蘭だけ見える場所を伺って目配せする。

秋蘭は、すでにある程度気にしていたのであろう。すぐに座をはずして出てきた。

俺は廊下の片隅で秋蘭と話す。

「ちょっと内密な事情で、他の3人には内緒にしてくれるか?」

「一刀様、女の子遊びはほどほどにしてください。桂花に見付かっても知りませんよ。」

「いや、これは遊びじゃなくってね・・・」

「なにやら街の片隅で女の子を助けたそうですね。その子ですか?」

「え、ばれてたの?まぁ凪が来たのならその可能性はあるか・・・。」

あの時俺が使った技は凪と一緒に開発した物だ。その様子が知れれば俺だと断定出来るだろう。

「まぁ詳しい事情は後で説明するから。済まないけどみんなを連れ出してくれる?」

「解りました。後でしっかり聞かせて頂きますね。」

「・・・・・・・あぁ、頼むよ。」

秋蘭も少し嫉妬混じりの台詞だ。俺は少し怖じ気づくがかろうじて声を出す。

『これは後で説明が大変だな・・・』

その後すぐに秋蘭がうまく誘導して店から4人は出て行った。

俺が戻るとすでに食事は届き、シャオは箸を進めていた。

「カズ、おそいー、もう一杯やってるからねー。」

「うっ、シャオ、お前、酒呑んじゃったのか?」

シャオは俺用に頼んだ酒を呑んでしまっている。

「なによー、子供扱いする気?シャオはもう大人の女なんだから。」

そうして如何に自分が大人なのかを力説するシャオ。

俺も酒を呑みながら相づちを打っていた。

シャオのペースに巻き込まれ、ついつい深酒をした俺はそのまま街の宿屋に一泊してしまった。

当然シャオと一緒に・・・・

 

次の日の朝、俺は隣で寝ているシャオを見ながらやっちまった感で一杯だった。

 

記憶は無くしていない、それだけに後悔が募る。敵国の王女をしかも、まだ幼さの残る少女を抱いてしまった。

当然シーツには赤いものが付いている。

まだこの娘が幸せそうな寝顔を見せていることだけが救いか・・・。

『城に戻った後のことを考えるのも憂鬱なんだけどな・・・。とりあえず、彼女には本当のことを言わないと・・・』

 

俺は彼女が目覚めると神妙な顔で話し始めた。

「シャオ、ごめん。俺はお前に嘘を付いてた。」

「ん、もしかしてカズが北郷だって事?」

「え、気が付いてたのか?」

そんな素振りも見せなかったことに俺は驚いた。

「だって、昨日料理屋でカズが遅かったから見に行ったんだ。そしたら女の人と話してた。あれ、夏侯淵将軍でしょ。カズ、様付けで呼ばれてるんだもの。」

「最初はどこかの大店の若旦那か何かと思ったけど、籠絡出来れば便利かなぁと。でもシャオの目標の人だったんだぁ。」

「シャオがカズを籠絡しようと思ってたんだけど、残念、私の方が夢中に成っちゃった。」

あっけらかんに言うと肩に手を回しおはようのキスを求めてきた。

「で、どうするんだい?このまま呉に帰れるように手配しても良いけど。」

俺は軽くキスをすると腕を引き離してからシャオに尋ねた。

「あん・・・・。そうねぇ、私をこのまま置いてくれない?お后候補で。」

「・・・・捕虜扱いになるけどね。」

「んーしょうがないかぁ。もし、呉に負けたら私がカズの命乞いをしてあげる。」

「・・・・・俺が勝つかも知れないよ。」

「呉は強いわよ。でも、もしそう成ったら私にお姉さま達の命乞いをさせて・・・。」

「・・・・・解った。それでは城に行くよ。あと、俺の名は一刀だから」

「うん、一刀、よろしくね。」

 

そうしてシャオを連れて城に戻った俺を待ちかまえていたのは部下達の追及の嵐だった。

その日、俺は公務を入れてなかった。

それは内密に動く用件があったからだ。

まず、午前中。街の裏手にある工場に向かった。

そして、そこにいた真桜と話す。

「おう、休みなのに悪いな。」

「いや、あんなに凄いからくりを作らせてもらって、休みなんて関係ないで。」

「で、どう?完成しそう?」

「ばっちりや、すでに現地には千人単位の工作員を向かわせとる。しかし、大将も凄いこと考え付くなぁ。やっぱり天の国の知識なん?」

「あぁ、天の国にはもっと凄い物もあったけどね。さすがにこのくらいが限界か。」

「そうですかぁ、いつか連れてってくれへんか?」

「あぁ、機会があったらね。」

「あと、褒美を上げるから今晩おいで。」

「はいな」

 

そうして、工場から出ると今度は町はずれのとある建物に入った。

我が軍の借り宿舎の別館として借り上げている場所である。

そこで何人かの人物と会っていた・・・・・。

 

 

それから数日して、俺は軍議を開いた。

「さて、そろそろ決戦の日が近づいているね。桂花、説明を。」

「はい、我が軍は広陵から水路にて烏林に向かい陣を張ります。そこで呉、蜀同盟と一大決戦を行います。」

「船か・・・・・・私はあのふわふわしたのはダメなんだ。」

「そうですよねぇ、ボクも船の上だと気持ち悪く成っちゃいます。」

春蘭達が勝手な愚痴を言うが稟がそれをたしなめる。

「これは移動が速いのもありますが、水軍での戦いが今回の主流となりますので慣れて貰うのも目的であります。」

「いざ戦うと成って船の上で青い顔では話にならんからな。」

秋蘭が辛辣な台詞で釘を刺す。

「そう言えば昨日くらいから真桜ちゃんの姿を見かけませんが・・・・。」

流琉が思いついたように言う。

「あぁ、真桜なら俺の命で先に烏林に行ったよ。ちょっと準備する物があるんだ。」

「うー、なんだかあやしいの。最近一刀様真桜ちゃんと秘密で会ってるみたいなの。」

沙和が突然切り出すと桂花がこちらをじーっと見る。

「む、別にそんなに怪しいことばっかりしてる訳じゃないぞ。からくりのことで話があっただけだ。」

「少しはしていたんですね?」

「桂花は昨日したじゃないか・・・・まぁこの件は終了。文句のある奴は今晩部屋に来い。じっくり聞くから。

 

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

みんなの顔が桜色に変化するのを無視して俺は切り出した。

「さて、特に意見もないようなら評定はこれで終了するよ。軍の構成は稟に聞いてくれ。」

「出発は明後日とする。各自準備をするように。」

そう言って軍議を解散した。

 


 
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